ゲストはフラワーカンパニーズ。パンク系とかラウド系のバンドだったらまだいいけど、この空気の中にフラカンが出ていくのか……と正直心配したが、思った以上にお客さんがあったたかったのと、ボーカルの圭介が「ホルモンのTシャツ、お一人様5枚までだって! フラカンのは100枚買ってもいいよ? なんならバンドごと買ってもいいよ?」などと自虐的なMCで場をつかんだのと、何よりも演奏及びパフォーマンスがいきなりトップギアみたいな大熱演だったのとで、大いに盛り上がる。
特に、ラストの“真冬の盆踊り”で、フロア後方までしっかり盆踊り&シンガロングが巻き起こった(というか、巻き起こるまで圭介がしつこくあおった)のには目をみはるものがあった。あと、大名曲にもかかわらず、残念ながらライブハウス・キッズ以外は知らないであろう曲“深夜高速”のイントロのギターを竹安が弾き始めたら、フロアから「おおーっ!」とどよめきが上がったのは、「ああ、みんなちゃんと知ってるんだ」と、かなりうれしいものがあった。マネージャーみたいなこと書いてますが。
「恋の町、東京は八王子から、今日は“深夜高速”に乗ってやって来ました!」(ナヲちゃん)というわけで、ホルモン。初日なので詳しい曲目を書くのは控えますが、ちょっとこう、意外な感じのセットリストだった。いや、みんなが待ってるあの名曲とか、ライブでは必ずやるあの代表曲とかもちゃんとやってくれるんだけど、シングルのリリース・ツアーだからできるメニューになっていた。
つまり、アルバムのリリース・ツアーだったら、そのアルバムの曲いっぱいやらなきゃだし、フェスとかだったらとにかく盛り上がる代表曲を並べなきゃだけど、そのどっちでもないメニューだったってことだ。で、そのメニューにふさわしい演奏だったってことだ。
ハードコアやスラッシュやラウド・ミュージックを、ポップで親しみやすく面白くやれるバンド。それがホルモンではあるが、逆に、そんな、必ずしも売れ線ではない……いや、「必ずしも」じゃなくてはっきりと売れ線ではない音楽を、その破壊力や暴力性やラジカルさを損なわないまま、オーバーグラウンドに押し上げたバンドが、ホルモンでもある。全体に、そこが出ている感じのライブだった。ってことは、そういうツアーなのだろう。とにかく、激しくて、ジャンクで、鋭くて、重くて、恐い。そういう感じ。
ただし、シングルのツアーだから、そして大ブレイクしたあとのツアーだから、逆にコアなことを、お客を選ぶようなことをやってやろう、という閉じた印象ではない。やってることはコア寄りなんだけど、それは「ここで満足させていないで、もっと深く、もっと先の、もっともっと面白くて刺激的なところへ、ファンを連れて行こう」という意志の表れのように、僕には感じられた。
1年ちょっと前にこのRO69に書いたけど、前回のホルモンのツアーは初日からいきなり最終日みたいな完成度だった。けど、今回はそうじゃなかった。ホルモンだけあってかなり高い完成度ではあったけど、ホルモンにしては初日っぽいライブだった。つまり、ホルモン自身も、今できることとか今楽しいことの地点に留まっていないってことだ。お客さんと一緒に自分たちを、もっと先へ運んでいこうとしているってことだ。ホルモンは、全っ然止まらない。
このツアーが終わって、この方向で行くとこまで行って、いつだかわからないけど次のアルバムを作って、それが出たら、次はいよいよ海外かなあ。と、ちょっと思った。実際はどうか知りません。個人的に頭に浮かんだだけです。亮君、海外ツアーとか苦手そうだし。でも、次のアルバムがすごいもんになったら、そろそろ国内でやることがなくなりそうな気が、ちょっとした。(兵庫慎司)