SISTER JET@日本青年館

SISTER JET@日本青年館
SISTER JET@日本青年館
SISTER JET@日本青年館 - pics by 平沼久奈pics by 平沼久奈
開演前はクラシックが流れていたホールに、お馴染みのSISTER JETフラッグを掲げたメンバーが登場。アコースティック・ナンバーの“オーロラChannel”でしっとりと幕を開けたかと思いきや、“恋してクレイジー”“ラブコメ”とアップテンポのダンス・チューンが炸裂! さらにワタル.S(Vo/G)の「日本青年館の床抜かしちゃおうぜー!」というアジテートが会場の温度を上げていく……と、しょっぱなから「柔」と「剛」を織り交ぜたニクい内容で攻めた“DECEMBERS JETBOY”ツアーファイナル。日本青年館という趣深い会場の雰囲気も手伝って、切なさも、クレイジーも、ラブリーも、全てひっくるめてロックへの愛情や万能感につながっていくような、とてもマジカルなライブだった。

“DJ SONG”“8ビートはパンク少年のもの”など、シンプルで骨太なロックンロールを叩きつけた序盤。70年代のガレージパンクを彷彿とさせるドライなサウンドと、日本的な湿っぽさをたたえたワタル.Sのスイート・ボイスが体当たりしながら、甘酸っぱい情景を描いていく。個人的に大好きな“8ビート~”の少年性あふれるドライブ感は、もう最高。「一番初めのCDに入っている僕たちにとって大切な曲をやります」と紹介された“I.L.U”の、荒波に果敢に立ち向かっていくような精悍なワタル.S歌声も、聴く者の胸を掻きむしっていく。

いつものマイペースなトークも絶好調。日本青年館にまつわる思い出として、近くにある神宮球場、絵画館、銀杏の並木道、ホープ軒、おしゃれカフェなど、いろんな話があくまでもゆるーいペースで飛び交う。ここ日本青年館はドリフターズの『8時だヨ!全員集合』の生中継を行っていた会場だったということで、サカベ(B)が長さんの「オイーッス!」コールを悪ノリ感たっぷりに連発したり、「8時だヨ!」「全員集合!」のコール&レスポンスをオーディエンスに強要したりもしていた。

中盤には、1月12日にリリースされるニュー・アルバムからのナンバーもいくつか披露された。“キャラメルフレーバー”の続編だというミディアムテンポの“LOVE SONG(ON THE AIR)”も、ザクザクとしたギターリフの上で女の子の憂鬱な心情が歌われた“マギーメイブルース”も、彼ららしいエッジの効いたグルーヴ感と情景豊かなストーリー性が同居した楽曲。中でも「今もっとも聴いてほしい歌です」として、衝動むき出しのロックンロールが放たれた“SAY YES”の輝きはすごかった。これから必殺のアンセムに成長していくだろう予感をたたえた、王道感あるメロディと力強いメッセージ性で彩られたこの曲に、SISTER JETの新たな季節を見たような気がして、とても眩しかった。

“ナミダあふれても”を情感たっぷりに奏でた後は、“hello goodbye days”“MR.LONELY”の連打であっという間に本編終了。サカベが『8時だヨ!全員集合』のハッピを着て登場したアンコールでは、この日のために作ったという陽気なクリスマスソングを披露。さらに“カウント 2”“La La Dance”のキラー・チューン2連発で、色とりどりの風船がはじけ飛ぶフロアをラブリーなムード一色に染め上げて2時間に及ぶアクトは大団円を迎えた。終演後にはジョン・レノンの“Happy X’mas”が、SISTER JETからの一足早いクリスマスプレゼントであるかのように、とても優しく響いていた。

ライブ中、中学時代にはじめて買ったビートルズのアルバムの思い出とともに「悲しみはぶっとばせ!」と連呼していたワタル.S。ビートルズの曲のタイトルでもあるこの言葉を聞きながら、ロックンロールの万能感にハッとせずにはいられなかった。たとえ悲しくても、寂しくても、ギター片手にロックンロールをブチかませば強くなれる。元気になれる。それ自体は多くのバンドに共通している思いではあるけれど、その思いがSISTER JETの場合は尋常じゃないほどピュア。そしてストレートに解き放つことに迷いがない。だからこそ、軽快でアッパーなサウンドの数々も、ワタル.Sがたびたび口にする少しクサい台詞も、キラキラとしていて切ない。切ないからこそ救われる。フロアを見わたせば、楽しさを爆発しきれずに奥ゆかしく拳を突き上げているオーディエンスが沢山いたのだが、そんな、100%感情をさらけ出せないリスナーにとってこそ、SISTER JETの音楽は寄り添ってくれるのだと、強く実感させられる一夜でもあった。陽気さや攻撃性を前面に押し出したロックンロールはもちろんいい。もちろんいいけれど、こんなにも甘美で、ヤンチャで、切なさに満ちたロックンロールも、この世の中には絶対に必要なのだ。

COUTDOWN JAPAN 10/11では大晦日のCOSMO STAGEに出演予定。1年分の悲しみも寂しさもぶっ飛ばして2011年を力強く踏み出したい人は、ぜひSISTER JETのライブに足を運んでほしい。(齋藤美穂)

セットリスト
1. オープニング~オーロラ Channel~
2. 恋してクレイジー
3. ラブコメ
4. さよならポケット
5. DJ SONG
6. 8ビートはパンク少年のもの
7. I.L.U.(I love you)
8. キャラメルフレーバー
9. LOVE SONG(ON THE AIR)
10. マギーメイブルース
11. I my ガール Romantic ボーイ
12. I know
13. to you
14. SAY YES
15. ナミダあふれても
16. hello goodbye days
17. MR.LONELY
アンコール1
18. ニューヨークのクリスマスツリー
19. カウント 2
20. La La Dance
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