ONE OK ROCK @ Zepp Tokyo

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ONE OK ROCK @ Zepp Tokyo - all pics by Rui Hashimotoall pics by Rui Hashimoto
一階から二階までぎっしりと埋め尽くされた今夜のZepp Tokyo、開演前のフロアには今か今かとバーストする瞬間を待ちわびているようなオーディエンスの渇望感が充満し、分厚い熱気が立ち込めている。ONE OK ROCK初のZeppツアー『“Answer is aLive”TOUR』東京公演の2日目。バンドの底力を極限まで発揮するものであると同時に、オーディエンスの底力も最大限に引き出すという、ONE OK ROCKとオーディエンスの幸福な共犯関係が限界突破で迸る素晴らしい夜だった。

定刻を少しまわった19時10分、場内が暗転するとともにフロアからは怒号のような大歓声が巻き起こり、Toru(Vo/G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)、そして、最後にTaka(Vo)がオン・ステージ。オーディエンスの歓声はさらに膨れ上がり、超絶テンションのoiコールとハンドクラップで彼らの登場を迎え撃つ。今夜のキック・オフナンバーは脳天を貫くようなラウド・パンクの結晶“Riot!!!”だ。ミッド・セクションでは早くもTakaが「いくぜー!トーキョー!頭ふれ!」とアジテーションし、壮絶なヘドバン・タイムに突入! 下手をするとスタートから燃え尽きかねない戦慄のオープニングだ。1曲目からこれである。硬質リフを次から次へと量産するToru、重心を低くおき腹にくるぶっといベースラインでフロアを揺らすRyota、多彩なリズム・パターンを叩きながらも抜群の安定感で支えるTomoya。そして終始ステージを駆け回り、跳ね回りながらも、毎曲、最前線のオーディエンスとハイタッチを忘れないTaka。ウェットで艶やかな美声からシャウトまでを多彩に声色を変化させるそのボーカルはもちろん、赤いマイクをぶんぶん振り回し、時にはマイクスタンドもぶったおすマイク・パフォーマンスもいちいちかっこいい。ロックがサウンドとしてということに加え、ショウとしてどうあるべきかというのも意識的ではなく、感覚的にわかっている。ONE OK ROCKはそういうバンドだ。

そして“混雑コミュニケーション”、“じぶんROCK”と人気ナンバーをたたみかけ、フロアの熱気とタフなエネルギーを全身に浴びながらも鮮やかに疾走していくステージ上の4人。彼らの音楽はラウドであり、へヴィであり、パンクでありながらも、そこに乗せられる歌やメロディによって聴くものを突き放さずに、ライブ会場まるごとをエモーションの渦に巻き込んでいく。オーディエンスの渇望とフラストレーションの暴発をステージ上の4人は即座にグルーヴへと変換し再びフロアへ投げ返す。それが何度も何度も循環することで巨大なエモーションのうねりが生まれ、曲を重ねるたびに無尽蔵に膨れ上がっていく。「オレたちとお前らのでっかい声ではじめて完成する曲だ」とTakaが話し、フットボール・チャントのような「オーオーオーオー!」という狂騒のシンガロングが成立した“アンサイズニア”はまさにそれを象徴する楽曲だろう。

そして終盤では、Takaが「ロック垂れ流し!大売出し中の新曲!お店で試聴して微妙だったらすっと棚に戻してください」と語った、7月にリリースされる両A面シングルからの新曲“NO SCARED”をプレイ。ステージ後方にはどでかいONE OK ROCKの文字とツアー名が入ったバックドロップが掲げられている。これがまたライブの絶頂値のはるか上を更新するようなぶち上げナンバーなのだけど(新曲なのにシンガロングが起こっていたし)、衝動性や攻撃性だけではなく、さらに重厚になったサウンドと、日常の不条理を引き剥がし世界の美しさを描き出すような歌の力が結実し、ただ盛り上げるだけではないONE OK ROCK独特のカタルシスが滲み出る楽曲であった。そして会場のあちこちでモッシュが起こり、無数のダイバーが打ち上がった“完全感覚Dreamer”でフロアの熱気は完全にレッドゾーンを振り切り、切なさを抱きながらと地の果てまで疾走するような彼らのデビュー・シングル“内秘心書”でひとまず本編は幕となった。が、メンバーがステージから去った後も「オーオーオーオー!」のシンガロングが鳴り響き、それに応えたアンコールでは、Takaが「叶えたい夢があるのにむずむずしている人、叶えたいと願っている人に捧げます」と2曲を披露し、今宵のステージはクライマックスを迎えた。

「同じライブなんて2度とない。来てる人が違うんだから同じ空間なんてつくれないんだ」、Takaは中盤のMCでそう語っていた。それは彼らにとってのライブがリアルタイムで音を聴けるということだけでなく、冒頭にも書いたように、「盛り上がる」ということ以上に、オーディエンスのエネルギーを極限まで引き出させて初めて成立するもの、ということだろう。それがTakaにとってライブの中で執拗にオーディエンスをアジテーションする理由であり、今宵はそれが最も理想的な形で描かれ、ロックバンドとして一つの正しい形を提示した本当に素晴らしい夜だった。

なお、ツアーはこの先、震災の影響で延期となっていた仙台公演とファイナルの沖縄公演を控えており、その後には怒涛の夏フェスシーズンに突入する。『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』、『SUMMER SONIC』、『RISING SUN』といった日本の巨大フェスをはじめ、韓国のフェスなど数多くのフェス、イベントに出演することが発表されている。(古川純基)
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