東京スカパラダイスオーケストラ @ Zepp Tokyo

東京スカパラダイスオーケストラ @ Zepp Tokyo
東京スカパラダイスオーケストラ @ Zepp Tokyo - all pics by EIJI KIKUCHIall pics by EIJI KIKUCHI
「イェー! サンキューサンキューサンキューサンキューサンキューサンキューサンキュー! めちゃめちゃ気持ちいいよ! 帰ってきたね! ツアー『HEROES』15本中15本目。最終日にこんな笑顔、笑顔、笑顔……もう、冷静じゃいられないよね! ブレーキきかない感じ。もう止められないよね。♪ドント・ストップ・ミー・ナーウ……」と、熱い吐息のような調子のMCで、ツアー最終日の高揚感と満足感を語るのはもちろん欣ちゃんこと茂木欣一(Dr)。3月16日発売のワンコイン・シングル『Break into the Light〜約束の帽子〜/The Sharing Song〜トリコのテーマ〜』&ミニアルバム『HEROES』を引っ提げた東京スカパラダイスオーケストラの全国15公演ライブハウス・ツアーのフィナーレを飾るZepp Tokyo 2デイズの2日目—―なのだが。この日のステージとフロアが共有していたのは、「これで一段落」といった打ち上げ花火的な快楽とは違う。1月まで全32公演の一大ホール・ツアーを回った後もメキシコのフェスに参加したり、このツアーが終わった直後には全11公演のヨーロッパ・ツアーが控えていていたり、夏フェス連戦のみならず自ら主催のスカ・フェス『TOKYO SKA JAMBOREE vol.3』(8月6日@山中湖交流プラザきらら)があったり、その一方で8月3日にはミニアルバム『Sunny Side of the Street』を発表したり……といったアクションの数々から滲む「常に巨大な超陽性高気圧のように日本を/世界を駆け巡る」というスカパラの闘い方に、満場のオーディエンスの改めて驚愕と歓喜を感じていた、というほうが近いと思う。それだけこの日のスカパラのアクトは、加藤隆志(G)のジャンプ一閃“BOOGIE STOP SHUFFLE”の爆裂スカ・ロックンロールが炸裂した幕開けから、終始生命力の結晶のようなエネルギーに満ちていた、ということだ。

 ステージ中央からフロアへせり出した、いわゆる「デベソ」と呼ばれるお立ち台的スペースに、ハンドマイクのGAMO(テナーSax)&大森はじめ(Perc)など入れ替わり立ち替わりメンバーが立ってはフロアを煽りまくって割れんばかりのクラップを巻き起こした“Chase”。この上なく晴れやかな歌声でZeppをでっかく踊らせ揺らしまくった“The Sharing Song”。沖祐市(Key)のエレピとともに軽快なアンサンブルで歓喜のど真ん中を闊歩する“Straw Hat Boogie”……など、映画『ONE PIECE』『トリコ』との奇跡のコラボから生まれた主題曲&劇中曲群を軸に据えつつ、昨年の最新フルアルバム『WORLD SKA SYMPHONY』の“STORM RIDER”から、懐かしの90年代「カクテルバー」CM曲“花ふぶき〜愛だろ、愛っ。”(95年『GRAND PRIX』収録)、さらに“SKA ME CRAZY”“Pride of Lions”といったスカパラ最強ライブ・アンセムまで、本編17曲の中に凝縮。昔から応援し続けているファンも、たった今スカパラに触れたばかりの人も、全員まとめて高揚感の彼方へ連れていくような、意欲的なセットリストだ。

「新曲です。これはねえ……ドライブしてたら大変だよね! 最高速度を忘れる感じ(笑)」と欣ちゃんが紹介したのは、新作ミニアルバム『Sunny Side of the Street』からの欣ちゃんヴォーカルの新曲“Twinkle Star〜頼りの星〜”。“DOWN BEAT STOMP”など4つ打ちビートの曲はこれまでにもあったが、ソリッドなキック4つ打ちとスカの裏拍ノリをここまで高次元で結晶してみせるのは今のスカパラぐらいだろう。GAMOのジャズ音階駆け巡りまくりのサックス・ソロといい、バリトン・サックスでトランペットのトップ・ノートのような咆哮を聴かせてみせた“STORM RIDER”終わりの谷中敦のソロといい、“SKA ME CRAZY”前にメロディオンで『ジョーズ』のテーマ曲でフロアを沸かせてみせたNARGO(Tp)といい、川上つよし(B)の鋭利なベース・フレーズから狂騒の頂へ駆け上がる”Theme from Lumpy Gravy”といい、音源では上原ひろみと絶品のコラボを果たしていた“水琴窟”をまったく別のアプローチの激演で乗りこなす沖祐市のピアノ・プレイといい……デビューから20年以上にわたって血肉化した高度な音楽のエッセンスを「今、ここ」に100%ぶつけながら、その音と演奏そのものを至上のエンターテインメントにしていくスカパラ。最高だ。そして何より、曲目だけでも感激もののステージに途方もないエネルギーを吹き込んでいくのは、「アゲていくぞ! 気合い入れていくぞ! いくぞ東京! 闘うように楽しんでくれよー!」という谷中敦の魂のMCに象徴される、スカパラ9人の中でがっちり共有されている「ピースフルな音楽で世界を鼓舞する意志」そのものだ。

「いやほんと、ライブができるのはほんと嬉しい! 集まってくれてありがとう!」と終盤のMCで語る谷中。「3月に震災があって、4月にレコーディングしたので、テーマはシンプルに『WE CAN DO IT!』にしました」という言葉とともに披露したのは、「アクエリアス」CM曲としてOA中の新曲“All Good Ska is One”(ミニアルバムではFISHBONEのアンジェロ・ムーアがVo参加)。数々の苦難を乗り越えてきたスカパラが、今だからこそ放つ晴れやかな音と「僕らはできる」というストレートなメッセージ。むせ返るような会場の高揚感と凛とした空気が混じり合いながら、Zeppいっぱいに渦巻いていく。

エモーションで放つ波動砲のような“Break into the Light〜約束の帽子〜”の目映いサウンドスケープで本編を締め括った後、アンコールのMCで口々に「音楽を鳴らすこと」の喜びと決意を口にする9人。「東京、元気ないって感じてたんで……節電モードじゃないですか? 人間まで節電モードみたいな。いろんな人に合わせていくのが東京人なので、自粛モードだと『自粛しないと』みたいな。東京人っていう自覚がある人は、アゲていってもらいたいなと思うんですけど、どうですか!」の谷中のコールに応える大歓声! 「ライブってのは、リアルな告白だよね! 告白ってのは、終わらないね! 離れた途端に不安になっちゃうから」というMCはもちろん欣ちゃん。そして「被災地でトランペットを吹く少女」の姿に心を突き動かされた」と語るのはNARGO。「今回のツアーほど、ライブが待ち遠しかったツアーはありませんでした。Zepp Sendaiでやった時も、どこの会場よりも盛り上がってて、逆にこっちがエネルギーをもらって……僕たちはスカの力を信じて、世界中を元気にしていきたいと思います!」。熱く沸き上がる拍手喝采。最後は“DOWN BEAT STOMP”で大団円……と思ったら、終演アナウンスが鳴っても熱気冷めやらぬオーディエンスに応えて、まさかのWアンコールで“Just say yeah!”投下! 最高のグランド・フィナーレだ。

10月からは足掛け3ヵ月にわたって「世界各国を旅してきたスカパラが『日本国内の行ったことない場所』をひたすらツアーしまくる」というコンセプトの全国ツアー『DISCOVER JAPAN TOUR』を回ることも発表したスカパラ。その強くしなやかな彼らの音は、いよいよ音楽の希望そのもののようなヴァイブを放っている。(高橋智樹)


[SET LIST]

01.BOOGIE STOP SHUFFLE
02.Chase
03.The Sharing Song〜トリコのテーマ〜
04.Straw Hat Boogie
05.Soul Growl
06.STORM RIDER
07.Full throttle 〜 SEA MONSTERS
08.Twinkle Star〜頼りの星〜
09.花ふぶき〜愛だろ、愛っ。〜
10.Break into the Light #2 〜 Roar of Swords
11.SKA ME CRAZY
12.All Good Ska is One
13.DAY BY DAY
14.Theme from Lumpy Gravy
15.Pride of Lions
16.水琴窟
17.Break into the Light〜約束の帽子〜

EC1.
18.You'll never walk alone
19.DOWN BEAT STOMP

EC2.
20.Just say yeah!
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