LOSTAGE @ Shindaita FEVER

LOSTAGE @ Shindaita FEVER
LOSTAGE @ Shindaita FEVER - pics by アカセユキpics by アカセユキ
「めっちゃ嬉しいです。めっちゃ、ありがとうございます」とライヴ終盤に“五味兄”こと五味岳久が相好を崩して語れば、フルハウスのオーディエンスは、まるで我が事のように喜んで拍手とリスペクトを届け、会場のFEVERは一面の歓喜に満たされた――結論から言って、今夜の『CONTEXT TOUR』ファイナル・ワンマンは、LOSTAGEの東京公演としては初めてソールドアウトを記録し、バンドとオーディエンスの理想的ともいえる交歓が果たされた実に素晴らしいものだった。結成10年を機に自主レーベル「THROAT RECORDS」を立ち上げたものの、あろうことかミニ・アルバム『CONTEXT』の音源がリリース前に不正流出(怒!)……そんな試行錯誤と紆余曲折を経てのファイナルだっただけに、ステージからもフロアからも、最良の形でこの日を迎えられたハピネスで溢れかえっていたのだ。

とにかくオーディエンスとの蜜月が印象的なライヴで、冒頭で3人がステージに姿を現すなり、フロアから「フォー!」という大歓声が! その熱い声援を受けて、バンドは新作同様に“HELL”→“12”と、魂を込めた荒ぶるグルーヴと硬質のビートで畳み掛ける。「奈良から来たLOSTAGEといいます。よろしく」と無精ヒゲの五味兄が手短に挨拶して、さらに“BARON”、“目暈”と矢継ぎ早にプレイ。ベース、ギター、ドラムという最小限の編成ながら、他の何ものもそこに入り込む余地のないほどタイトに締まったサウンドは、並大抵の鍛錬や覚悟では鳴らせない類のものだろう。ステージ最後尾のドラムス・岩城は鬼神のごとく頭と腕をブン回し、五味拓人のリッケンバッカーは鋭利かつシンフォニックなフレーズを高らかに響きわたらせる(こんなふうにギターを共鳴できるギタリストを僕は他に知らない。bloodthirsty butchers・吉村氏を除いて――)。「『CONTEXT TOUR』ファイナル、たくさん集まっていただいてありがとうございます。こんな(人が)入ってるFEVER、俺、初めてやわ。気持ちいいです(笑)」(五味兄)とのMCにも大きな声援が送られた。

LOSTAGE @ Shindaita FEVER
中盤の“こどもたち”、“RED”といった過去曲ではFEVERがひときわ熱く湧き立ち、「11月には、ここ(新代田FEVER)でクリプトシティと7インチのレコーディングをして、来年の頭はちょっとライヴ休んで、またレコーディングをしようと。今度はフル・アルバムを作ろうと思います」とうれしいアナウンスも!
「いい眺めやな」(兄)、「そやな」(弟)、「しばらくこのまま見ときたいな」(兄)といった“素”なやりとりは、ストイックなパフォーマンスと余りにギャップありまくりだったけれど、それが妙に微笑ましくもあって、要するにLOSTAGEの魅力がダダ漏れだったということ。で、この夜最大の見所は、なんと言ってもアンコールでのスペシャル・セッション。「あからさまにやってない曲、あるんですよね(笑)。気づいてる? それ、やりますわ」と五味兄が語って、音源にもゲスト参加したRopesのアチコ、そしてツアーをサポートしたATATAのベース・金田とキーボードのイワシが登場。「ステージにいっぱい人が並ぶとワッショイ感が出て楽しいです」と笑いながら、「最後、キャッチーなやつです(笑)。ミラーボール回してもらっていいですか?」と五味兄はアコギを抱えて、総勢6人で“楽園”と“NEVERLAND”を盛大にプレイ。特に「(『CONTEXT』を)希望のあるエンディングにしたい」という思いで震災後に作られた“NEVERLAND”のハーモニーは、心温かい祝祭感に溢れていて、掛け値なしに感動的だった。

Wアンコールでは、ひとしきり感謝を述べて、再び3人で“海の果実”をプレイし、これでフィニッシュかと思いきや、オーディエンスの拍手がいっこうに鳴り止まず、バンドも想定外のトリプル・アンコールへ!
「これがホンマのアンコールやな。いつもの茶番みたいなやつもうれしいけど(笑)、これはホンマにうれしいです」と、既に着替えを済ませてしまった五味兄が笑顔で語り、裏でブッ倒れていた岩城を引っぱりだし、Art-School/Ropesのギター・戸高を迎えて“SURRENDER”を披露(ぶっつけ本番!)&大団円!
ほとんどノン・プロモーションに近いリリースであったにも関わらず、ツアーは各地で盛況となり、これだけの広がりを持たせられたことはひとつの達成といっていいだろう。過去10年での経験を礎に、身の丈にあったやり方で、できるだけ気持ちの通った活動を続けていくための独自の文脈(=コンテキスト)を遂に手にしたLOSTAGE。来る10月1日に大阪で主催する『生活 2011』(強力なラインアップ!)をはじめ、これから先もロック・ファンを楽しませ続けてくれるだろう。末永く、よろしく!(奥村明裕)
LOSTAGE @ Shindaita FEVER

セットリスト
1.HELL
2.12
3.BARON
4.眩暈
5.TOBACCO
6.喉
7.私
8.言う
9.こどもたち
10.RED
11.ひとり
12.断層
13.裸婦
14.カナリア
15.手紙
16.夜に月

EN.1楽園
EN2.NEVERLAND

EN3.海の果実
EN4.サレンダー
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