いきなり“Survive”“Black Market Blues”“Vampiregirl”と満場のZepp Tokyoを真っ向から挑発するようなナンバーの3連打でフロアを瞬間沸騰させたかと思えば、“Endless Game”“Face to Faceless”“Bone To Love You”“星に願いを”といった最新モードの楽曲群で熱気あふれる空間を支配してみせる……もはや9mmに関しては「曲順がどうなっていようが鳴れば圧勝」といったところはあるが、それでもこの日、『Movement』の全11曲を軸としながら、“Cold Edge”“Discommunication”といった熱狂必至の楽曲から背徳とロマンがせめぎ合う“Invitation”“Wanderland”“Battle March”といった9mmならではのヘヴィでハード・エッジな楽曲まで幅広く合体させたセットリストは、それ自体がどこまでもハイパーでダイナミックなロック合体超獣のような迫力を持っていた。
“Invitation”から切れ目なく流れ込んだ“Wanderland”ではZeppをがっつり揺さぶってみせたし、中村和彦(B)の不穏なベース・ラインで幕を開けたメタリック&インダストリアルな“Muddy Mouth”の音像の果てに吹き荒れた滝善充(G)のディストーション・サウンドには戦慄が走ったし、“Monday”で降り注いだ晴れやかな轟音のシャワーも、かみじょうちひろ(Dr)のツーバスが描く静寂の世界からダイヤモンドダストの如きクライマックスへ昇り詰める“銀世界”のドラマチックさも、その壮絶なバンド・アンサンブルの打撃力と切れ味を完全に血肉化した4人だからこそ描き得るものだ。「次の曲は静かに聴いても、大暴れして聴いても、どっちでもいいです」という“Face to Faceless”前の卓郎のMCも、「特に話すことは、ない! みんな楽しんでください! OK? OK! ヒア・ウィ・ゴー!」というコールも、不言実行的なバンドのモードを表していると言える。そんな4人が放射する音に応えるように、満場のクラップとシンガロングがフロア狭しと吹きすさび、ただでさえむせ返るような熱気に満ちた会場がさらに熱を帯びていく。
横浜アリーナの直後に観たツアー2日目:渋谷La.mamaでは、横アリの大舞台での堂々たる佇まいを勢いよく脱ぎ捨てて、ジャンクで荒々しくて常に暴発寸前!みたいな獰猛なテンションを見せていた9mmだが、長いツアーを通してその獰猛な衝動をもロック・バンドとしての爆発力として飼い馴らし、己の音の肉体を鍛え上げてきた。そう、この日鳴り響いた『Movement』のサウンドは、9mmの果てしなく高い音楽的到達点を示すものであると同時に、9mmの「ロック・バンド」としての強固な存在証明でもあった。ほぼ全曲マイナー・スケール(短調)の、メタルもハードコアもロックンロールも呑み込み尽くしたカオティックな音像を、それでも渾身のパワーとテクニックと気迫でもって炸裂させることで、僕らが前へ/先へと進むための目映いエネルギーそのものとして鳴らしてきた―—というか「ありったけのパワーとテクニックでしか開かない希望の扉がある」ということを身を以て示してきた9mmが、自らの抱える途方もない表現の可能性と、時代を突き動かすロック・アーティストとしての使命感を、4人の中でより強固に結びつけつつある……ということが、この日のステージからも窺えた。
「長くツアーやってると、みんなの考えてることがわかるわけだよ。オーディエンスを十把一絡げにするわけじゃないけど……みんな音楽が好きなわけだろ? 東北も行ったし、仙台3回(ツアーで2回と『ARABAKI ROCK FEST.11』)行ったし。今度4回目あるもんな? 和彦の実家も、わりと街の中なんだけど、すぐ裏に回るともう何もなかったりして」とツアーの日々を振り返る卓郎。つい先日、紀伊半島をはじめ日本中に被害をもたらした台風にも触れつつ、「でも、どんな大変なことがあっても、『やることやってました』っていうのがいちばん美しいと思う。俺たちはロック・バンドなんで、音楽を鳴らすんで。聴いてください」……いつになく決然とした口調で語る卓郎の言葉を、息を呑むようにして聴いていたキッズが、「盛り上がったほうがいいよな! いけるかあああっ!」という卓郎の絶叫とともに最高にエモーショナルな咆哮を高々と噴き上がらせたのは言うまでもない。
“新しい光”“Discommunication”でさらに惑星直列級の狂騒空間を生み出した後、本編を締め括った楽曲は『Movement』の幕開けを飾っていた“荒地”。サイレンの如き滝&卓郎のユニゾン・ギターのフレーズが、そして《どうか 君だけは覚えていてくれよ》のフレーズに続けてフロアから沸き上がった《守りきれないほど交わした約束を》の熱い合唱が、9mmとオーディエンスとの新しい、より強靭な絆そのもののように思えて、感激してしまった。終演後に会った本人たちは「まだいけた」といった面持ちだったが、それは時速300kmを叩き出したレーサーが「まだアクセル踏めたはず」と歯噛みするような、文字通り「未知の次元への冒険」を自らに課しているからだろう。ワンマン・ツアーはいよいよ翌日=9月30日のZepp Tokyoでグランド・フィナーレ! さらに11月からはツアー番外編として、マキシマム ザ ホルモンと北海道を回る対バン・ツアー『Movement Moment Tour 2011 番外編〜MAXIMUM THE HORMONE Movement〜』、POLYSICSと九州を回る『〜POLYSICS Movement〜』、avengers in sci-fiと中部地方を回る『〜avengers in sci-fi Movement〜』が控えている9mm。その闘いはまだまだ激しさを増すばかりだし、そんな4人の姿から僕らはなおも目が離せずにいるのだ。(高橋智樹)
[SET LIST]
01.Survive
02.Black Market Blues
03.Vampiregirl
04.Endless Game
05.Face to Faceless
06.Invitation
07.Wanderland
08.Bone To Love You
09.星に願いを
10.Muddy Mouth
11.Battle March
12.Monday
13.銀世界
14.The World
15.カモメ
16.Scenes
17.Cold Edge
18.新しい光
19.Discommunication
20.荒地