リンキン・パーク @ さいたまスーパーアリーナ

素晴らしいライヴだった。白い幕にメンバーの姿が映し出され、新作『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』の“ノー・モア・ソロウ”とともに、その幕が落ちる形で始まったリンキン・パークの来日公演。演奏されるすべての曲がヒット曲と言っても過言ではない圧巻のセットリスト。元々、現在のレコード会社と契約するまでに40社以上に断られたという経歴を持つ彼らだが、そんなことが信じられない圧倒的な地位を、彼らはわずかアルバム3枚で築きあげた。そして、今回のライヴがすごいのは、そうしたヒット曲の響き方が今までとは違うことだ。

これまでは2ndアルバム『メテオラ』の“サムホエア・アイ・ビロング”や“ナム”ニしても、1stアルバム『ハイブリッド・セオリー』の“ペーパーカット”や“イン・ジ・エンド”にしても、叩きつけるように、まさにこれから世に出ていくヒット曲としての響き方をしていた。実際、楽曲自体がヴォーカリスト=チェスター・ベニントンの深いトラウマに根付いたものであり、そうした攻撃性こそがリンキン・パークというバンドの最も得意とするところだった。けれど、今回の『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』のツアーでは、そこが変わっていた。そうした非常にアグレッシヴな楽曲もすべてオーディエンスを抱きしめるように響くのだ。そうしたヒット曲をヒット曲として受け止めながら、バンドとして更に先に進んでいくという、そんな意志が感じられるようなライヴだった。最新作の『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』はミクスチャー/ラップ・メタルというスタイルから離れ、大きな変化を遂げた作品で、ファンからは賛否両論が上がった作品だったが、ライヴでは最新作の曲が、前2作以上の反響を獲得していた。といっても、すべての曲に対して大反響だったのだが。

アンコールの3曲のうち、2曲が最新作からの楽曲だった。もうありとあらゆる楽曲をやり尽くしたんじゃないかと思った後に演奏された“ブリード・イット・アウト”が最大級の盛り上がりを獲得していたことが、現在のリンキン・パークの無敵とも言える在り方を物語っていた。(古川琢也)
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