9mm Parabellum Bullet @ 下北沢GARDEN(夜の部・男性限定ライヴ)

9mm Parabellum Bullet @ 下北沢GARDEN(夜の部・男性限定ライヴ) - pics by 橋本塁pics by 橋本塁
 SEが鳴った瞬間に、下北沢GARDENに響き渡る「男子のみ」の会場の歓声ーーというか野太い雄叫び! そして、「いくぞ野郎ども!」の菅原卓郎の絶叫をきっかけに、ステージとフロアが文字通り一丸となって“The Revolutionary”“Termination”のヘヴィ&エモーショナルな音世界へと突入していく場面の圧巻のエネルギー!……9mm Parabellum Bullet自主イベント『カオスの百年 vol.8』は「女性限定」「男性限定」の1日2公演スタイル。男子/女子限定ライブを行うアーティストは決して珍しくはないが、それを1日2本回しでやる人はそういないし、1曲1曲生き急ぐような爆裂ライブをこなす9mmのようなバンドではなおさらだ。ということで、開演前から壮絶な1日になるであろうということは容易に推測できた……が。この日の4人はある意味、その想像を軽く超えていた。すでにUPされている「昼の部」=女性限定ライブに続き、ここでは19時スタートで行われた「夜の部」=男性限定ライブの模様をレポートしていきたい。

 まず演奏曲。下記の「夜の部」の曲目と、前述の「昼の部」の2つのセットリストを見比べていただければわかる通り、10月24日リリースのニュー・シングル『ハートに火をつけて』収録の4曲=“Scream For The Future”“ラストラウンド”“ハートに火をつけて”“R.I.N.O.”以外は昼と夜で1曲もカブリなし。特に、ライブ後半にそれぞれカウントダウン形式で発表しながら披露していた、チケット購入者へのWEBアンケートで判明した「9mmの好きな曲」ランキング→ [女性]3位“Discommunication”、2位“カモメ”、1位“キャンドルの灯を”に対し、[男性]3位“Cold Edge”、2位“新しい光”、1位“Talking Machine”にも顕著だったように、この日のライブ自体が「女子の好きな9mm」「男子の好きな9mm」を曲目の形で遠心分離してみせる試みになっているのが面白い。「そういえば今日“Discommunication”もやってなかったし“Black Market Blues”もやってなかったし、“カモメ”も“キャンドルの灯を”も“Vampiregirl”もやってなかったなあ」と気がついたのは、ライブが終わった後、齋藤美穂氏による「昼の部」のレポを読んだ時だったし、「悲壮なくらいに激しい衝動の発露としての9mm」にフォーカスを絞った「夜の部」だけでも「出し惜しみ感」「温存感」はゼロ。それは単に「ライブ・アンセムをいっぱい持ってる」というだけではなく、下記のセットリストが男子ファンの快楽中枢ど真ん中を正しく撃ち抜いていたということだろう。それはおそらく、9mmの色気と妖気をより濃厚に凝縮させた「昼の部」でも同じだったと思う。

9mm Parabellum Bullet @ 下北沢GARDEN(夜の部・男性限定ライヴ)
 で、こういう「1日2試合完全燃焼」な試みだからこそ強く感じたのが、卓郎はじめ9mmの4人のロック・バンドとしてのタフな馬力だった。「ありがとみんな! よく来たわね!……『まだ引きずってんのかよ』って突っ込んでくれよ!(笑)」と、さっきの「昼の部」でのオネエ言葉をネタとして挿入しながら、「もうお前ら、カタマリになってるから、『野郎ども』っていうか『野郎』だよ!」とか「あちーよバカヤロー!(笑)」とか、むせ返るような熱気に満ちた男どもを讃え、「でも、俺たちはどーってことねえんだけど」と軽やかに男自慢をしながら、THE BACK HORNのカバー“刃”(!)へ突入してさらに熱狂のメーターをレッドゾーンへと振り切ってみせたり……と、男子だらけのオーディエンスのあふれんばかりのエモーションに真っ向から応え、それを1曲1曲の爆発力で凌駕していく。時折、明らかに暑さでグロッキー気味な空気を漂わせるフロアに比べ、熱気と照明でさらに灼熱地獄だったに違いないステージでこの日「2試合目」に挑んだ4人は最後の最後までライブを全力で楽しみまくっていたのが印象的だった。

「滝善充によるメタリカ“That Was Just Your Life”リフ合体バージョン」で披露された“Termination”の超硬質エモーショナル感も、男どもの情熱の炎にがんがん油を注ぎ回って大合唱を巻き起こしていたし、中村和彦&かみじょうちひろのビートがでっかく強靭なグルーヴ感を与えていた“Wildpitch”(『Supernova/Wanderland』のカップリング)も、ただでさえジャンプと拳の渦と化したフロアをさらに暑く煽り立てていく。“Living Dying Message”“Punishment”のようなライブ定番ナンバーはもちろん、“Sundome”の静と動のコントラストも、“Scenes”のドラマチックなまでの高揚感も、さらなる絶頂へ向けて4人が日々磨き上げ続けている9mmサウンドの精度と強度をリアルに物語っている。

 そして、何より新曲がいい。“Scream For The Future”でのポスト・パンク&メロディックな狂騒感から、卓郎が「かかってこいよ」的に指をクイッとやってフロアを挑発するのを合図に“ラストラウンド”のヘヴィ&ハードコアなサウンドスケープへ流れ込んでみせた瞬間のスリル。“ハートに火をつけて”スカ・ポルカ歌謡とでも呼ぶべき(そして9mmにしか実現できない)ポップでカオスでミステリアスな音像。ハード・エッジな荒野の先に壮大なスケールのサビが広がる“R.I.N.O.”のロマン……よりしなやかに、より切れ味鋭く、そしてより大きなポップ感と破壊力を秘めた9mmの「今」の4つの結晶は、音源リリース前ながら、この日のライブの中でもすでに男子ファンの感情起爆剤として十分な力を発揮していた。

 「俺たち野郎としては……何だろうね、このエネルギーは?(笑)。でも、混浴っていいなと思うよね、男だからさ。みんなもそうだろ?」と、本当に男湯に浸かってきたかのように全身ずぶ濡れの男ファンに呼びかける卓郎。「これからも我々は、女性に優しく、男性に激しくいこうと思います!」という言葉とともに、全編が決定的瞬間のようなこの夜のライブは“Living Dying Message”からさらなるクライマックスを迎え……1日2公演でもあくまで通常のワンマンと同様、本編20曲・トータル約1時間半のアクトをフルスロットルで駆け抜けてみせた9mm。さらに自由度と訴求力を増す楽曲世界&4人の底知れぬバイタリティに心地好く圧倒された、最高の一夜だった。(高橋智樹)


[SET LIST]
01.The Revolutionary
02.Termination
03.Wanderland
04.Wildpitch
05.Scream For The Future
06.ラストラウンド
07.Keyword
08.刃(THE BACK HORNのカバー)
09.ハートに火をつけて
10.R.I.N.O.
11.Sundome
12.命ノゼンマイ
13.Cold Edge
14.新しい光
15.Talking Machine
16.Living Dying Message
17.Scenes
18.エレヴェーターに乗って
19.(teenage)Disaster
20.Punishment
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