MAN WITH A MISSION × エンター・シカリ @ LIQUIDROOM ebisu

日本とUKが誇る“野獣競演”が実現! 片やニュー・アルバム『MASH UP THE WORLD』がスマッシュ・ヒットを記録し、全国に“ガウラー”増殖中のMAN WITH A MISSION(以下、マンウィズ)。片や最新アルバム『A Flash Flood Of Colour』が本国でチャート上位に食い込み、今年2月の来日公演(レポートはこちら→http://ro69.jp/live/detail/64500)も大盛況だったENTER SHIKARI――当然のごとく、爆音に飢えたオーディエンスが多数詰めかけ、開場直後から沸き立つような期待感に包まれているリキッドルームである。

先手を担ったのは、マンウィズ。オープニングの「HASTA LA VISTA」がプレイされるなり、爆破スイッチでも押されたように一時にフロアが大バースト! 激しいモッシュ&ダイブ、そして「オーオーオー!」との大合唱も巻き起こり、瞬く間にリキッドを席巻してみせる。さらに「カカッテ来イヤ、オラー!!」(ジャンケン・ジョニー)と気勢を上げ、「Get Off of My Way」「Smells Like Teen Sprit」「FLY AGAIN」と、ラウドでダンサブルな鉄板ソング乱れ打ちで爆走! そう、発情期なのか何なのか、いつもにも増してアグレッシヴで鼻息の荒いオオカミたちなのである。ジャンケンのMCによれば、ENTER SHIKARIは大のフェイバリット・バンドであると共に、マンウィズ初期のライブでDJとして出演していて、以来2年越しの念願叶っての対バンとのこと。ゆえにMCでは「ENTER SHIKARIトヤレルトイウコトニナリマシテ、必要以上ニテンション上ガッテオリマス!」、「一緒ニヤレテ光栄デス!」と惜しみないリスペクトと興奮が表明され、だからこそ挑戦状を叩きつけるような攻撃的パフォーマンスが繰り出されることになったのだ。圧巻は「DANCE EVERYBODY」「distance」と畳み掛けたラスト2曲で、前者ではDJ Santa MonicaがDJセットから脱走してステージを駆け回り(全力でタオルぶん回すオーディエンス!)、「distance」では躍動的なビートにあわせて誰もがジャンプ・アップ! 気合いみなぎるバンド・サウンドと抜群にキャッチーでジューシーな楽曲群はリキッドに半端ない一体感を生み出し、今のマンウィズの勢いをまざまざと見せつけたのだった。

入念なセッティングの後、いよいよENTER SHIKARIが登場! 冒頭の「System...」→「…Meltdown」からラウ(Vo)、ローリー(G)、クリス(B)のフロント3人はステージ狭しと動き回り、怪力ドラマー・ロブのタイトなリズムを後ろ盾として、ダイナミックかつフリーキーな音像で瞬時にオーディエンスを惹き込んでいく(ブリブリの低音とシンセ音が脳神経を直に刺激するようで、全身を貫くトリップ感がとにかくヤバい!)。続くメタリックなギター・リフ炸裂の「Sorry You're Not A Winner」でさらに熱を高め、フロアには闘志あふれるコブシが屹立。モッシュ・ピットでは激しい体当たりが繰り広げられている。ラウはジャック・ニコルソンさながらの形相でシャウトし、ローリーはマイク片手にクラウドに突っ込んでいったりと、ストロング・スタイルなアクションが展開される一方(序盤で「ちょっと疲れたね(笑)」とクリスが漏らすのも無理ない全力疾走!)、再会を喜ぶようにオーディエンスとハイタッチを交わしあったり、弾けるような笑顔も見せるメンバー。破天荒ながら余裕すら感じられるステージは見ていて頼もしいほどで、年単位でトレンドが移り変わる激動のUKシーンをサヴァイブし、グライム〜ダブステップの導入など新たな音楽フロンティアにも挑んできた彼らのタフさに驚くと共に、そんな理屈関係なしに変わらずヤンチャな4人の姿がこの上なく嬉しくもあった。

アンコールなしの1時間足らずのステージだったけれど、狂乱のレイヴ・パーティが次の瞬間にはハードコア・バンドのフロアライブの喧噪となるような、めまぐるしい熱狂の変容があり、クリスがローリーを肩車して演奏したり、2人同時にフロアにダイブを決めたりと、観る者を一時も飽きさせない意外性とエンターテインメント性に満ちたステージングが何しろ圧巻( MCでは「Thank you for having us!」と何度も感謝を届け、ポライトで謙虚な人柄も好印象!)。フロアのマンウィズ・ファンも、不定型でやりたい放題なアクトに冒頭こそ面食らっていたものの、みるみるカオスに巻き込まれ、終盤には誰もがENTER SHIKARIにぞっこんラブ!状態になっていたくらい、有無を言わさぬ快演を見せつけた4人。「すぐ戻ってくるよ!」(クリス)とも語っていたので、近い将来の再来日を期待したい。この日英野獣対決、終演後には心身からすべての老廃物が吐き出されたような爽快感があって、掛け値なしにベスト・マッチでした!(奥村明裕)
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