ぎっしりと埋まったZepp Diver City。オープニング・アクトを務めたのは大阪発の3ピース、BUZZ THE BEARS。「オフスプリングのJAPANツアー一発目にようこそ! オープニング・アクト、大阪よりBUZZ THE BEARS、始めます」というG&Voの越智健太の挨拶と共に高速のメロディック・チューンが投下される。攻撃的なギター・リフと裏腹に叙情的なメロディ、その組み合わせが気持ちいい。「初めて聴いてもらう人がほとんどやと思うけど、オフスプリングを聴いてて、オフスプリングが好きな人に、何か伝わるんじゃないかと思って、やってきました」という、オフスプリング・ファンへの愛に溢れたMCもそうだったけれど、ストレートな日本語詞も含めて楽曲に正面から聴き手と向き合うようなすがすがしさがある。約30分強という短い時間だったが、その存在を知らしめるには十分な時間だったと思う。ステージの後の客席からの拍手の大きさが何よりそれを物語っていた。
そして、いよいよオフスプリングである。場内BGMでボブ・マーリィやスペシャルズが流れるなか、19時53分、客席を照らしていた照明が落ちる。と同時に、ステージ中央に掲げられたスカルマークが浮かび上がり、メンバーが登場。PUNKSPRINGの時と同じく、サポート・ギターを加えた5人編成でのステージである。最後に出てきたデクスターは、黄色のラインが施された黒のジャケットに身を包んでいる。1曲目は新作より“Hurting As One”。新作の中でもオフスプリングの王道ど真ん中を行く楽曲でのスタートである。とはいえ、ショウの初っ端が最新作からの楽曲ということで、少し心配した部分もあったのだが、観客はオーオーというシンガロングで見事に応えてみせる。日本のオーディエンスが培ってきたオフスプリングへの愛の深さを象徴するような一場面だ。デクスターはギターを持たずにハンドマイクで歌う。2曲目は、ライヴの大定番曲“All I Want”。なのだが、ここからの展開がすごかった。
「これは世界で初めてライヴでやる曲だよ」というヌードルズのMCから始まったのは、新作からの“Cruising California (Bumpin' in My Trunk)”。オフスプリングならではのパーティ・チューンの最新型で、あくまで現在進行形のヒットチャートと向き合おうとする姿勢が素晴らしい。オフスプリングのように快楽性から逃げないバンドの場合、一発屋で終わるリスクというのは常につきまとうわけだが、それでも自分たちのダークなメッセージ性を損なうことなく、そこから逃げなかったし、90年代の未曾有のヒットの後も彼らはサヴァイヴしてきた。その底力を改めて感じるような楽曲だ。更に、オフスプリングのそうした姿勢を最も象徴する曲“Hit That”を畳み掛け、ここからは再び代表曲を連発して、終盤に向かって息もつかせぬセットリストを展開していく。
1. Hurting As One
2. All I Want
3. Come Out And Play
4. Days Go By
5. Have You Ever
6. Staring At The Sun
7. Original Prankster
8. One Fine Day
9. What Happened To You?
10. Cruising California (Bumpin' in My Trunk)
11. Hit That
12. Kristy, Are You Doing Okay?
13. Why Don't You Get a Job?
14. Slim Pickens Does the Right Thing and Rides the Bomb to Hell
15. Walla Walla
16. You're Gonna Go Far, Kid
17. Pretty Fly (For a White Guy)
18. Want You Bad
(encore)
19. Americana
20. (Can't Get My) Head Around You
21. The Kids Aren't Alright