PENPALS @ LIQUIDROOM ebisu

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昨年の2月13日に、約5年2ヶ月ぶりのライヴを行ったPENPALS。それから幾度か所縁の深いイベント出演を経て、今年7月に、8年ぶりのアルバム『PAST REST SUMMER』をリリース。8月には、彼らが名演を見せてきたROCK IN JAPANに帰還。……と、林宗應(Vo・B)はNACANO、上条盛也(Vo・G)、上条欽也(Vo・Dr)の双子はHasta La Vista Babiesへ軸足を置きながら、PENPALSとしてもコンスタントな活動を見せてきた3人。そして、いよいよ復活してから初めてとなる東名阪ツアーが、10月に行われることが発表された。その名も『PENPALS A.F.O.K. 2012 ~俺たちのリハビリーナイト~』。ぶっちゃけ過ぎる!

いよいよ当日。前説のA氏は“リハビリ”であることを強調。そして、みなさんも、と切り出し、「年齢層も上がっているので、まさかとは思いますが、ダイビング行為や、水を撒いたりとかは……」と注意を促すと、フロアからクスクスと自嘲的な?笑いが起きる。早くも生まれる一体感(笑)。

まずはゲストバンドが登場。トップは快速東京。最初は前座な空気が漂っていたが、モノともせずにショートチューンをぶっ放していく。福田哲丸(Vo)は「WOWOWで、ROCKIN JAPANでPENPALSが甚平を着てる映像を見てた。それが一緒にできるなんて」と感慨を口にしつつ、それをパフォーマンスで返すように、フロアまで飛び込んで熱演。オーディエンスを巻き込んでいた。
続いては忘れらんねえよ。柴田隆浩(Vo・G)は「ガキの頃から憧れてたバンドのリハビリツアーのファイナルに出れるなんて!」叫び、初っ端からハイテンション。捻じ曲がった世界観を、捻じ曲がり切れない人間性で鳴らす、生々しい歪さがいい。天然のトークでもオーディエンスを沸かせ、柴田は「サンキュー、セックス」(後で林も盛也も真似していた!)の決め台詞を連発していた。

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そして、いよいよPENPALS。彼らが嘗てカヴァーしていたマニック・ストリート・プリーチャーズの『YOU LOVE US』がBGMで聴こえただけでグッときて、メンバーがサウンドチェックで出てくるだけで拍手が起こる。待ちきれなくなったところで、お馴染みのSE、ビースティ・ボーイズの『SABOTAGE』が流れ、大歓声に包まれて登場!  そして、するーっと1曲目の『AMERICAMAN』がスタート。いっせいに揺れだすオーディエンス。最初のMCでは、林に指された盛也が「俺たちも、やっとリハビリが終わりそうだよ」と言っていたけれど、確かに、彼ららしいラフな雰囲気は残しながら、どんどんバンドとしてまとまってきていることがわかった。セットリストは、復活後のテーマである初期の楽曲を中心に、『PAST REST SUMMER』の曲を織り交ぜて、林と盛也がいいバランスでヴォーカルをとっていく。『Turn Me Back』の前には林が「盛也さん、いい曲書くなあ~」って笑顔で言っていたけれど、お互いがリスペクトし合っていることも伝わってきた。さらに林は、名古屋も大阪も打ち上げで朝まで飲んでいたことを明かし、「大阪では盛也さんと欽也さんが、朝5時にアメ村で兄弟げんかしてた(笑)」とも言っていたけれど、それもまた、バンドらしさが戻ってきていることや、ムードのよさを象徴するエピソードだと思う。

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そして、オーディエンスもリハビリ完了!と言わんばかりに『CARS』ではダイブが勃発。頭で記憶を辿る間もなく、体にぶわっと蘇る青春感を覚えていたのは、私だけではなかったんだな。ささくれてて、ひねくれてて、それでもワクワクを探し続けていたあの頃。PENPALSの楽曲は、そんな日々と余りにもシンクロし過ぎていた。興味深いのは、『PAST REST SUMMER』の収録曲にも、それを感じるというところだ。同期も使った新機軸の“Can’t Get Enough”でも、堪らない甘酸っぱさが胸に去来するのだから。オーディエンスも、何かを掴むように、手を伸ばしていた。

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締めは、キラーチューンに次ぐキラーチューン。拳を煽ってはじまった『JUMPING’ THE GUN』、シンガロングが響き渡った『I Wanna Know』、そしてコール&レスポンスのカウントではじまった『More Fun?』。ミラーボールが回る中、至福感で会場を満たして本編は終了した。

止まないアンコールに迎えられて、再び3人が登場。林が、11月10日に盟友ZEPPET STOREと2マンを行うことを告知すると、大歓声が。そりゃそうだ。あの頃のロックバンドが、今もカッコよくいてくれることは、物凄く力をくれるもの。そして、「テンポがいい曲でダイヴもいいけど、こういう曲でグシャッとなってくれ!」と、復活後の方向性を示唆するような言葉を林が叫んではじまったのは『Underground』。さらに林は「グランジを知らない世代もいると思うけど、俺らを見ていればいい。俺らがグランジです」と逞しく断言。『No Punk You』、『RIGHT NOW』でオーディエンスも弾け切って、最後は『Tell Me Why』。会場中が歌い、踊り、各々の思いを重ね合わせた。演奏を終えると、3人は照れたように肩を組んで頭を下げ、ステージを降りた。

復活後の彼らのライヴは、“その瞬間”だけで幸せだと思っていたけれど、この日は“これから”に期待したくなった。大人として生きる日常の一部に、永遠に青春があったっていいじゃないか。そんな思いをフワッと笑って受け止めてくれるPENPALSは、本当に必要なバンドだと思う、寧ろ、これからこそ。(高橋美穂)
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