BGMの音量が上がると、自然とハンドクラップが起き、わらわらと立ち出すオーディエンス。ソールドアウトで2階までビッシリ埋め尽くした人たちの視線がステージに注がれる中、まずは三柴“エディ”理が登場し、流麗にピアノを奏で出す。そのうち他のメンバーが現れ、始まったのは“サンフランシスコ”。メンバーがステージを立ち回る中、オイ・コールが巻き起こり、既に熱い盛り上がりを見せていく。そして、ここで早くもMC。「あーりがーとよー! 言いたくないけど、みなさんのおかげです」と大槻。ここまではロックバンドとして普通かもしれない。しかし、そこからは大槻ケンヂ。こんな近所でライヴが出来ると思わなかったこと、自分ご褒美でそこ(マジで目と鼻の先)のドンキホーテで布団乾燥機を買ったことを明かし、「ふかふかの布団で寝て来てやったぜ!」と誇らしげ。こんなロックスター、やっぱり4半世紀を経ても他にいないと思う(笑)。さらに、「祝ってくれるのかと問うならば!」、「問うならば!」とお馴染みのコール&レスポンスを挟み込み、「みんなからも何か欲しい。声援が欲しい! DVDを収録しているから、2.5割増しでキャーキャー言ってもいいんだぜ!?」と呼び掛け“くるくる少女”へ。そして復活後のライヴのフックとなっている“ワインライダー・フォーエバー”では、楽器を置いてニコニコとラップするメンバーたち。絶対にこの人たち、今、凄く筋少を楽しんでる! そう思えて、こっちもニンマリしてしまった。
ここで、25年前のデビュー時にいたメンバーで、今ステージに立っているのは大槻、内田雄一郎、三柴(89年に脱退、現在はサポート)という話に。「25年見てくれている人いる?」、「ナゴム時代から見てくれている人いる?」という問い掛けに、ポツポツと挙がる手。さらに、「再結成後から見てくれている人いる?」という問い掛けで挙がった手も多かった。これは、やはり彼らが唯一無二の存在という証だろう……と、真面目に聞いていると、今までで最も印象に残っているライヴは?という話に。大槻が「模範解答を言います。今日です!」と言うと、橘高が「残念だけど、ここ(DVDで)切るからね」とバッサリ! そしてDVD用に、大槻が階段からスポットライトに照らされて階段から降りてきて「今でしょ!」というシーンをわざわざ撮影(笑)。もう、極端すぎるでしょ!?
そして“じーさんはいい塩梅”へ。《ひなたぼっこじーさんはな/あの世でいい塩梅》という歌詞とほのぼのしたメロディの合わせ技を初めて聴いた時は、本当に衝撃的だった……それを2013年に大合唱していることが可笑しくも嬉しい。さらに名曲“孤島の鬼”は、大槻が「筋少、うま~い!」と言っていたけれど、楽曲の世界観が3Dで迫ってくるような、重厚な演奏だった! しかし実は大槻、「みなさんも足腰が弱っているだろうから、“じーさんはいい塩梅”から座ってもらうはずだったの」と、段取りを間違ったことを告白。そして「ここで座りませんか?」と座らせ、MC後に「何やってんの!? 立てよー!」とメンバーが口々に言うという小芝居があり(笑)、一体感を誇るジャンプが炸裂した“踊るダメ人間”へ。大槻のヌンチャクさばきが見られた“イワンのばか”、「この曲に共感してくれることは、筋肉少女帯のファンの証!」という大槻の言葉が染みた“蜘蛛の糸”と、どんどんヒートアップしていき、ラストは「再結成の1曲目に歌った曲でおしまいだ!」と“トゥルー・ロマンス”で締め括られた。
先日リリースされた『公式セルフカバーベスト 4半世紀』の収録曲を中心に、代表曲だけではなく、ファンの心を掴むセットリストだったこの日。エンタテイナーでありながら、常にライヴを主戦場としてきた彼ららしい記念日となったと思う。今では多くのバンドにあるオーディエンス参加型の楽曲を、何年も前から演奏し続けてきた事実は、揺るぎない。これからも、老若男女のバンド好きを巻き込んでいって欲しい!(高橋美穂)