[Champagne] @ Zepp Tokyo

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川上洋平/白井眞輝/磯部寛之/庄村聡泰の4人の音が放射する熱風というか爆風というか、とにかく途方もないエネルギーと、ソールドアウト超満員のZepp Tokyoのオーディエンスのエモーションが終始渦を巻きながら吹き荒れる、最高のロックンロール空間。4thアルバム『Me No Do Karate.』を引っ提げて、9月13日・千葉LOOK公演を皮切りに日本各地を回ってきた、[Champagne]の全国ツアー『We Don't Learn Anything Tour 2013-2014』の終盤・25本目にしてZepp Tokyo 2Daysの2日目。「言葉にならないくらい楽しかったです。ツアーまだ終わってないですけど、沖縄とか台湾とかあるけど……感慨深いっすね。憧れのZepp Tokyoのステージにね、立ってます!」という川上洋平の万感のMCの通り、脇目も振らずにロックンロールの彼方へ邁進する4人の鳴らす音のダイナミズムが、濃密な祝祭感となって咲き乱れた、至上の一夜だった。(※以下、演奏曲目およびセットリストに関する記述があります)

開演前から視界が白く曇るくらいに立ち込めるZepp Tokyoの熱気を、「他のお客様のご迷惑となりますモッシュ、ダイブ、痴漢、スリ、置き引き、空手は禁止となっております。特に空手は禁止となっております! 客席内での瓦割り、バット折り、正拳突きなどの行為も絶対にお止めください。また、会場内での道着の着用は、主催者のOKが出ております!」とアルバム・タイトルにちなんだ陰アナがさらに煽ったところで、いざ開演! スーツ姿の川上がハンドマイクで歌い上げる『Me No Do Karate.』のオープニング・ナンバー“Rise”の鮮烈なファルセットと白井/磯部/庄村が巻き起こす灼熱のダンス・グルーヴが轟々とシンガロングを噴き上がらせ、あっという間にZepp Tokyoを情熱の爆心地へ塗り替えていく。“Burger Queen”を挟んで流れ込んだ“Stimulator”の爆走感! さらにそのまま“Rocknrolla!”“Waitress, Waitress!”と鉄壁のライブ・アンセムを連射! 「Zepp Tokyo! 最高の夜にしようぜ!」「踊り狂っちゃってください!」と川上が呼びかければ「まだまだお前らそんなもんじゃねえだろ!」と磯部がさらに煽り倒し、気づけばあたり一面むせ返るような熱気に包まれている。徒手空拳のロックンロールで自分たちの未来を切り開いていく、と細胞ひとつひとつに至るまで信じ抜いている者だけが描き出せる、爽快にして途方もないロマンの形が、この日の[Champagne]のライブには確かにあった。

[Champagne] @ Zepp Tokyo
“Grand Daddy”から“Ho!”“Yeah Yeah Yeah”“言え”へと切れ味鋭いナンバーを息つく間もなく畳み掛け、“Revolution, My Friend”のスリリングにうねるビートでフロアを揺さぶってみせた後、「いやーっはっはっは、楽しい! 昨日もすげえ楽しかったけど、比べもんにならないくらいすでに楽しいです!」と川上。「毎回最高って言ってるんですけど、ツアーだと。そりゃそうですよね、だって昨日を超えようと思ってるわけですから、こっちはね。昨日より楽しいことしたいと思ってるから。もう、みなさんも超えてます(笑)」という言葉が、熱い歓声を巻き起こしていく。「Zepp Tokyo 2日間できるとは思ってなかったからね……嬉しいです! ヒロ(磯部)がちょっと泣きそうなので(笑)、次の曲はそんな寛之くんのために歌おうと思います」という川上のMCに続いて披露されたのはもちろん、ハード・バラードの名曲“涙がこぼれそう”。“Travel”“Wanna Get Out”など『Me No Do Karate.』の11曲をアンコールまで含め全曲セットリストに盛り込みつつ、[Champagne]の音楽が持つ爆発力と色彩感をあらゆる角度から提示していくような、実にアグレッシブなアクトだった。そして、ミステリアスなシーケンスとともに雪崩れ込んだ“Kick&Spin”での、圧巻の高揚感! タイトに、パワフルに、聴く者すべてを狂騒の果てへと突き動かしていく庄村&磯部のリズム。目映いほどの熱量と輝度に満ちて響く白井のギター・サウンド。そして、オーディエンスの心をひとり残らず震わせて回るような川上の絶唱。リミッター外れたようなフロアの躍動感が、さらに刻一刻と激しさを増していく。

「めっちゃ楽しいわ! ごめん、たぶんみんなより楽しんでます!」と、満場のフロアを見回して川上が語りかける。「2005年にはそこ(フロア)にいたからね。ヒロもそこら辺にいて、プライマル・スクリームのライブを見てて……」と、2005年のプライマル・スクリーム来日公演の思い出を語る川上。奇しくも今月5日にはまさにそのプライマルのサポート・アクトを務めたばかりの[Champagne]。ロックンロールに魂を揺さぶられ、ロックンロールの中へ自ら飛び込んだ「原点」と、今や日本のロックンロール・シーンを牽引する存在にまで成長した4人の「今」が交錯する。「ステージから見てて、そこに加わりたくなります。それぐらい、みんなの今日の顔は素晴らしいです!」という川上の言葉でフロアの温度がさらに高まったところで、“This Is Teenage”からライブは終幕へと向かう。《この場所で この乱れた時代で 傷付きながら 己の歌を刻んでいく》という真摯な闘志をこの上なく晴れやかなメロディとビートで打ち鳴らしていく“Starrrrrrr”が会場一丸のシンガロングを生み、『Me No Do Karate.』のラスト・ナンバー“Plus Altra”の雄大なサウンドスケープが勢いよく加速して——本編終了。

メンバーが姿を消すやいなや沸き上がる熱烈なアンコールの手拍子を受けて、再び4人がオン・ステージ。「ツアーを2ヵ月ぐらいやってたでしょ? フェスも挟んでるでしょ? 成長してるんですよね、バンドがね」と川上。「そうすると、何が起こるかっていうと……ライブやれるから、めっちゃ楽しくなるんですよね。だって、結構曲数多いからね。今回のツアー、[Champagne]史上でもアンコールめちゃくちゃ長いですね」という言葉からも、今の[Champagne]の充実感が滲む。「昨日の疲れもあるので……」と言いかける川上に向けて巻き起こる落胆の声を、「……昨日より長めにしたいと思います! 疲れさせてください、うちらを。お前らも、果てさせてやろう!」と宣誓してさらなる絶頂へとジャック・インさせてみせる。「じゃあ、12月25日に発売します新曲を披露します!」とアンコールの幕開けを飾ったのは、14日にリリースが発表されたばかりの両A面ダブルタイアップシングル『Run Away / Oblivion』から“Run Away”。清冽なアルペジオと緻密なリズムが編み上げる清冽な風景がサビで一気に燃え盛る、彼らの「今」のバイタリティそのもののような楽曲だ。さらに“Forever Young”から“Kill Me If You Can”まで出し惜しみなし!の名曲連打で、フロアをジャンプとダンスとクラウドサープの嵐に巻き込んでいった。

[Champagne] @ Zepp Tokyo
ジャズマスターを高々と掲げ、「愛してるぜー!」と絶叫する川上に、感極まったような猛烈な大歓声が湧き起こる中、客電が点いて終演……かと思いきや、「Wアンコールやらしてください!」と川上が三たび登場、アコギで“Starrrrrrr”“city”“Kick&Spin”“You're So Sweet & I Love You”をメドレーで演奏しつつ他の3人を待つ。「メンバー出て来てください!」と呼びかけるが出てこない。シリアにいた小学生時代にアコギを家庭教師の先生に教わった、というエピソードとともにオアシスの“Wonderwall”を歌い上げたところで、ようやく白井/磯部/庄村が合流。珠玉のロック・バラード“Untitled”で大団円。他ならぬ4人の進化が生み出した最高の風景を、満場の観客とともに分かち合うことで、さらなる夢が広がる——そんなミラクルに満ちた2時間半の名演だった。ツアーはこの後、11月23日:沖縄・桜坂セントラル、12月1日:台湾・THE WALL 台北での公演を経て、2014年3月28日、[Champagne]初の日本武道館ワンマンライブへと続く!(高橋智樹)


[SET LIST]
01.Rise
02.Burger Queen
03.Stimulator
04.Rocknrolla!
05.Waitress, Waitress!
06.Grand Daddy
07.Ho!
08.Yeah Yeah Yeah
09.言え
10.Revolution, My Friend
11.涙がこぼれそう
12.Travel
13.tokyo2pm36floor
14.Wanna Get Out
15.city
16.Cat 2
17.Kick&Spin
18.This Is Teenage
19.Starrrrrrr
20.Plus Altra

Encore 1
21.Run Away(新曲)
22.Forever Young
23.For Freedom
24.She's Very
25.Kill Me If You Can

Encore 2
26.メドレー(Starrrrrrr / city / Kick&Spin / You're So Sweet & I Love You)
27.Wonderwall
28.Untitled
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