ACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITH @ Zepp DiverCity

ACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITH @ Zepp DiverCity
ACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITH @ Zepp DiverCity
「はいみなさん、元気ですか! ああ、いいじゃないですか、今日もウシウシですねーーあ、ギュウギュウね?」……開演前の前説に立ったサンタ姿のBooから出会い頭に飛び出すダジャレまでもが最高のスパイスとして機能するくらい、ソールドアウト満場のフロアは開演前から汗ばむくらいの熱気に満ちている。MTVのVJとして、あるいはフェス/イベントetc.のMCとして大活躍のBoo主催による恒例のクリスマス・イベント=『Boo Xmas』。2009年にZepp Tokyo 2Daysで初開催され、2011年:新木場STUDIO COAST、2012年にはツアー形式、と毎回違った形式で開催されてきたこの『Boo Xmas』、今回の『Boo Xmas 2013』はACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITHという最高のラインナップがZepp DiverCityに集結した。

サンタの衣装に書かれたサインに気づいたオーディエンスに「あ、気づいちゃった? これ、出演者全員からサインいただいてます。イベントが終わったら、オークションにかけようかなと。で、それを義援金として、フィリピンとか東北の方に送ろうと思ってます!」と軽妙に語りかけたり、各バンドのライブ終了後に行われるサイン入りクリスマス・プレゼント抽選会の説明でフロアを沸かせたり、「Boo Xmas、始めちゃっていいですか!」と本編に突入しようとしたところに舞台袖から「ブーコデラックス!」と声が飛んだのをキャッチして「なんで袖から聞こえる? お前タイミング悪すぎるよ、大木伸夫!(笑)」といじり倒したり、その愛されキャラそのもののような前説を経て、いざ開幕!

ACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITH @ Zepp DiverCity
ACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITH @ Zepp DiverCity
■HEY-SMITH
満場のクラップに迎えられて意気揚々と登場したトップバッターはHEY-SMITH! 「遊ぼうぜ! 踊り狂ってくれ!」の猪狩秀平(G・Vo)のシャウトから、メロディック・パンクとスカとスラッシュ・メタルとロックンロールが渦巻く熱狂空間へ! 「誰のためでもない、自分自身のために思いきり遊んで帰ってくれ!」のコールから流れ込んだ“True Yourself”や「俺たちの中で最低な曲。『今夜、俺は大好きなあの子とやりたいだけ!』という曲」こと“Like A Gentleman”など最新アルバム『Now Album』のナンバーも盛り込みつつ、1曲1音ごとにぐいぐいとフロアをアゲ倒し、“Jump!!”でフロアを揺さぶるでっかいジャンプを生み出してみせる。

「我々、実は去年も呼ばれてまして、でも出れなくって、今年やっと念願叶って出ることができました! どう考えてもお祭ごとやねんからさ。俺らとMAN WITH A MISSIONとACIDMANって、クリスマスに相応しいから、ほんまに。思い切り楽しんで帰って! はしゃぎすぎて、Sax(満)がもうすでに1本壊しました!(笑)」と猪狩。ソリッドで鋭利なサウンドを放射する猪狩/Mukky(Vo・B)/Task-n(Dr)、そして晴れやかなホーン・サウンドだけでなく全身で躍動感を体現しまくる上半身ハダカの満&Iori(Tp)――その接点から途方もない爆発力と反骨精神を描き出すHEY-SMITHの真髄そのもののようなアクトだった。「いいね! YouTube観てるだけやったら、この感覚わからへんやったやろ? ダウンロードするだけじゃ、この空気感は味わえないんですよ! ライブハウスへようこそ! 俺たちとお前たちのこの空気感、ダウンロードできるもんならしてみろ!」の絶叫から叩き付けたのはもちろん“Download Me If You Can”! 本編最後には猪狩がギター抱えたままフロアへダイブ! いきなり沸点越えの熱量で会場を満たしてみせた、圧巻のアクトだった。

ACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITH @ Zepp DiverCity
ACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITH @ Zepp DiverCity
■MAN WITH A MISSION
転換時の前説で「ここでお知らせがございます! 今日、俺の友達の、俳優の塚本高史が観に来てくれてて、塚本高史のサインが加わりました!」とサンタ服を指差すBoo――以上に、2階席の袖にチラッと見えた塚本高史の姿へ向けて場内から黄色い歓声が沸き上がる中、HEY-SMITHグッズの抽選会を経て、いよいよオオカミ集団MAN WITH A MISSIONのアクトへ! 2011年のSTUDIO COASTにも出演していたMWAM、いきなり最新シングル曲“database”のハイブリッド・ミクスチャー・サウンドとJean-Ken Johnny(Vo・G)&Tokyo Tanaka(Vo)の熱唱でZepp DiverCityを狂騒レッドゾーンへ叩き込むと、“DANCE EVERYBODY”でフロア一面タオル風力発電所状態へ塗り替えてみせる。「人間ノミナサマ、楽シンデラッシャイマスデショウカ? 一足早イデスケド、メリー・クリスマス! クリスマスノ時期ガ近ヅイテキマシタノデ、リア充ドモモ、非リア充ドモモ、マトメテ、カカッテコイ!」のジョニーのコールに応えて湧き上がる歓声が、続く“Wake Myself Again”でフロアを揺さぶる原動力へと直結していく。横浜アリーナ単独公演も成功させたMWAMのエネルギーを、ほぼ至近距離と言って差し支えないキャパで堪能できる、実に贅沢な体験だった。

昨年の最新アルバム『MASH UP THE WORLD』からの“Get Off of My Way”、『database feat. TAKUMA(10-FEET)』のカップリング曲“your way”なども含め、「オオカミ最新モード」をがっつり提示するような、堂々たるステージ。「今年モ1年、ミナサマニハ大変オ世話ニナリマシタ!」とジョニー。本格的海外進出を見据えてレーベル移籍を果たし、ついには全米メジャー・デビューまで勝ち取ったオオカミたちに、惜しみない拍手が湧き起こる。「最後マデ楽シンデイッテクダサイネ! オオカミタチハ……マア非リア充バッカリデスケド、クリスマスニ備エテ、本日ハイロンナトコロデ飲ミ歩イテ、将来ノ嫁候補デモ探ソウト思イマス!」。さらに“Emotions”で高らかなシンガロングが巻き起こり、“FLY AGAIN”でクラウド・サーフ続出! ラストの「1、2、3、ガウー!」で会場一面オオカミポーズに包まれた瞬間まで、すべてが爽快な高揚感に包まれていた。

ACIDMAN×MAN WITH A MISSION×HEY-SMITH @ Zepp DiverCity
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■ACIDMAN
そして、ラストは昨年に続いての『Boo Xmas』出演となるACIDMAN! 遡れば2007年の『Boo Night』にも出演しているACIDMAN。「俺の音楽の歴史に、ACIDMANは欠かせないバンドのひとつです。ずっと一緒にいて、一緒に飲んで、一緒に語って、熱く生きてきた仲間です」とBoo自身も語っていた「盟友」を万感の思いで呼び込むコール。SEの“最後の国(introduction)”に高らかに湧き上がるクラップ。そして、フィードバック・ノイズを切り裂く大木伸夫(Vo・G)の鋭利なコード・ストロークから雪崩れ込んだ“±0”の凄絶なダイナミズム! 3ピース・ロックのサウンドスケープの中に心のミクロな揺らぎから宇宙規模のロマンまで呑み込んで極限進化を続けてきた大木/佐藤雅俊(B)/浦山一悟(Dr)。その真価を凝縮したような音の1つ1つが、“world symphony”でさらに轟々と噴き上がり、オーディエンスの身体と心をびりびりと震わせていく。“swayed”の凛とした高揚の風景。大木の爪弾く静かなアルペジオに導かれて流れ込んだ1stアルバムの名曲“赤橙”に思わず「おおっ」と驚きと感激の声が湧き上がり、ひときわ強度と深度を増したそのサウンドと歌が、Zepp DiverCityを超えてどこまでも届きそうなスケール感で鳴り渡った。

「Booちゃんは普段から仲良くさしてもらって。『トリやってくれよ』って言われて、『今をときめくオオカミに任せますよ』って言ったら、『オオカミにトリやらしちゃダメだろ! 人間がやるべきだろう』って(笑)。『でも、暗い曲やるよ?』『いいよ』って」という大木の言葉に、フロアに笑い声が広がる。続けて「うちらにも、クリスマス・ソングって言っていいかわかんないけど……」と、次の“ノエル”について大木が語る。「この歌を歌ってるツアーの時に震災があって、いろんな人が死んで……そのままツアーを続けて、各地でこの歌を、自分なりのレクイエムとして歌ってきました――ごめんね、せっかくみんなハッピーな気持ちにさせたのに、グッと落として。それでもやっぱり、どんどん風化していってると思うんですね、俺自身も。まだまだ悲しみが癒えてない人がいっぱいいて、救われない人たちに祈りをこめて、少しでもみなさまの悲しみが癒えるように……」。そんな言葉とともに響いた“ノエル”の雄大な音像が、目映いばかりのメロディを歌い上げる大木の絶唱と共に、熱く胸に染み渡った。そして、「我々ACIDMANは、命の歌をやっています。まだまだ生きてるんで。みんなも、まだまだ生きてますから。あとわずかですが、振り絞って、瞬間楽しんでください!」という呼びかけに湧き上がったフロアの歓声と情熱を、“ある証明”“新世界”でさらなる高揚の頂へと導いて……本編終了。

アンコールでは「また静かな曲を……この世界の星の歌です。星空を見ながら、自分が生きている奇跡を感じてください」という大木の言葉から“ALMA”を披露。澄み切った夜空に輝く星座のように、そのバラードはどこまでも美しく、揺るぎなく響いていた。すべての音が止んだ後、「ACIDMANのライブを観るとさ、帰り道が違って見えるよね!」というクロージングMCで現れたBooの言葉が、このアクトの感激を実にシンプルに言い当てていた。ラストは3バンド全員でオーディエンスと一緒に記念撮影! 「楽しんでいただけましたみなさん?……ああよかった。もうその笑顔だけで、俺は太れます!(笑)」のBooの言葉に、フロアはさらなる拍手喝采と笑いに包まれていく。「来年も再来年も、本当に俺が好きなバンドを集めて、イベントをやっていきますんで!」という彼の言葉に、2013年クリスマス本番をすっ飛ばして来年の『Boo Xmas』へ気持ちが飛んでいたのは僕だけではないと思う。最高の一夜だった。(高橋智樹)
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