UNISON SQUARE GARDEN @ Zepp Tokyo

UNISON SQUARE GARDEN @ Zepp Tokyo - pics  by 森 久(Hisashi Mori)pics by 森 久(Hisashi Mori)
UNISON SQUARE GARDENは更に進化している、と思った。演奏はもちろんのこと、新旧楽曲をふんだんに織り交ぜたセットリスト、曲の繋ぎ方、MC、さらには時間配分まで、全てにおいて完璧なライヴだった。ここまで完成度の高いライヴを体感できた私はなんて幸せなのだろう。終演後、会場が明るくなった後も表情は緩みっぱなしで、なかなか席から立ち上がれなかった。全身が多幸感に満ちていて、ふわふわとした感覚。とにかく気持ちが良かった。桜の開花を待ちかまえるかのように今年2月から始まったUNISON SQUARE GARDEN TOUR 2014 “桜のまえ”のツアーファイナルがZepp Tokyoで行われた。去年11月6日に発売された8thシングル『桜のあと(all quartets lead to the?)』、そして今年2月5日に発売された9thシングル『harmonized finale』の2枚を引っ提げての今回のツアーは、斎藤宏介(Vo/Gt)が「とにかく曲をぶち込んだ」と明言するに相応しい内容だった。本編2時間、演奏曲数20曲に対してMCらしいMCは1回のみ。それでも「まだ足りない!もっと聴きたい!」と思わせるほどの彼らの魅力が十二分に堪能できるライヴだった。

UNISON SQUARE GARDEN @ Zepp Tokyo
暗転した会場にイズミカワソラの“絵の具”が静かに鳴り渡る。ドリーミーなそのSEに包まれながら鈴木貴雄(Dr/Cho)、田淵智也(Ba/Cho) 、斎藤が順にステージに現れると、会場からは拍手と歓声が沸き起こる。落ち着いた様子で3人が楽器を手に持ち一呼吸を合わせると、鈴木が叩く4つのハイハット音を合図に斎藤にスポットライトが当てられ、“メッセンジャーフロム全世界”のイントロのジャキジャキのギターリフで遂に幕開け! フロアは一斉にハンズアップし、サビのメロディーに合わせて前後に動く一糸乱れぬその動きがなんとも気持ち良い。そして「ようこそ!」と早口で挨拶した斎藤の声に被せるように間髪入れずに始まったのは“23:25”。この瞬間に起きた大歓声と2階席も揺れる程のフロアのジャンプに、思わず「おおっ」と声が漏れてしまった。2曲目にしてこのテンションと勢い…まだ5分しか経っていないというのに、まるでラストスパート!と言われた直後かのような盛り上がり。もう、楽しい。満員の会場を包むワクワク感がビンビン伝わってきた。この空気感がライヴだなーなんて思っているのも束の間、“kid, I like quartet”に切り替わる。一瞬の油断も許されない程の、「ポップ」と「ハッピー」という言葉をそのまま100%還元濃縮したような音の応酬。そして、そのままのテンションで突っ込んでいった“セク×カラ×シソンズール”が終わると、ここでチューニング。しかしその間もフロアからはメンバーの名前が絶え間なく叫ばれ、その声に「東京、こんばんは! 元気ですか?…って聞くまでもなく元気って感じだね(笑)。今日のワンマンライブはとにかく曲をたくさんぶち込んでいきたいと思っていますので、最後まで楽しんでいってください。よろしく!」と今日のライヴへの意気込みを話すと、サイケデリックロックなナンバー“meet the world time”へとガラッと空気を変える。さらにここから最新シングルのカップリング曲である“ピストルギャラクシー”へと続くのだが、ここの曲の繋ぎがあまりにもなめらかすぎて、一瞬曲が切り替わったことが分からなかった。それは思わず鳥肌が立ってしまうほどの美しさ。
 
UNISON SQUARE GARDEN @ Zepp Tokyo
田淵が作り出すUNISON SQUARE GARDENの楽曲の一貫性を、こういった場面からも垣間見ることができる。映画とのタイアップや短いスパンでのシングルリリースで、バンド自体を高めながらストイックなまでに成長をし続ける3人だが、ユニゾンの代名詞ともいえるロックとポップの絶妙なバランスは決して崩さない。自身が楽しみながら聴き手を楽しませようとする姿勢や、自分達らしい音楽を演奏し続けることへのひたむきさが全ての楽曲に一貫して現れているからこそ成し得る瞬間なのではないだろうか。そこから“リニアブルーを聴きながら”“流星のスコール”“ため息 shooting the MOON”や“マスターボリューム”という、往年の〈ユニゾンらしさ〉の際立つキャッチーでありエッジの聴いた聴きどころを随所に散りばめた楽曲が続く。そのなかに“三月物語”を挟みつつ、ピアノの煌びやかな旋律が楽曲の切ない世界観に華を添えている最新曲“harmonized finale”で前半を締めくくる。

UNISON SQUARE GARDEN @ Zepp Tokyo
本公演唯一のMCでは、前日に3人が見た夢の話になる。ライヴにストイックすぎるが故に鈴木に激怒されたという最悪の目覚めをした田淵と、熊本の歓楽街を財布と相談しながら練り歩くという最高の目覚めをした鈴木。そして、上戸彩とサシ飲みをするところまでこぎつけるが、結局彼女の旦那様にバレて財布の3万円をとられるという完璧なオチ付きの夢を観た斎藤が「というように、それぞれ特別な思いを持って今日という日を迎えていますので、最後までよろしくね!」とこれまた綺麗に締めて「普段歌わない曲」という“さわれない歌”へとスマートに運んでいく。続く“ノンフィクションバス”“きみのもとへ”では、田淵ダンスの勢いが最高潮に。顔の位置まで両足を交互に高く上げたり、首がもげるのではないかと心配になる程のヘッドバンキングをしたり、さらにはムーンウォークさながらの後ろ歩きをしながらベースを弾きこなし、その上コーラスまでこなす田淵。感情の高ぶりがそのままプレイに現れすぎていて、一度見たら視界からも記憶からも離れなくなるほどの存在感。その体力とプレイスキルには尊敬の念が生まれてしまう。絶対に真似できない、完全オリジナル。そんなエンターテイメントに魅了されていると、斎藤と田淵はステージ袖に捌け、お次は鈴木の華麗すぎるドラムソロ。その手数の多さと勢いと強さと速さに終始開いた口が塞がらない。ドラムスティックを回す余裕さえ伺えて、もう参りましたと言わざるを得ない。さらにそこから田淵がステージに戻り、鈴木とのセッション。次々と披露される超巧テクニックに「どうしたらこんな音が鳴るの?」と頭をはたらかせる間もなく、斎藤がギターを携えて戻ってくる。ステージから目と耳を離させる一瞬の隙も与えられない。そしてそのまま“シャンデリア・ワルツ”へと畳みかけると、会場のから黄色い歓声が沸く。流れの作り方が本当に上手い。一度聴いたら頭から離れない歌詞が印象的なダンスナンバー“徹頭徹尾夜な夜なドライブ”から、“ワールドワイド・スーパーガール”、そしてキラーチューン“場違いハミングバード”まで怒涛の勢いをこれでもかと搔き鳴らし続けた本編ラストは、“桜のあと(all quartet lead to the?)。これからの季節に満開に咲き誇る桜の如く、満場のシンガロングを巻き起こした。

UNISON SQUARE GARDEN @ Zepp Tokyo
アンコールでは“シュプレヒコール~世界が終わる前に~”を斎藤が伸びやかに歌い上げた後、“ガリレオのショーケース”で田淵がスタッフにベースを預けてステージを全力疾走したと思いきや、そこからのまさかのハンドスプリングを披露! 恐るべし身体能力。さらに鈴木は曲間でシンバルを叩く度にスティックをフロアに投げ続けるという大盤振る舞い。そしてラストの“crazy birthday”では、ラストサビに入った瞬間に銀テープ砲がドカンと発射!熱気で霞むフロアの上を、キラキラと照明に反射したテープが舞うあの光景は最高に綺麗だった。さらには鈴木からファンへのシンバルプレゼントもあるなど、「そこまでするか!?」の連続。UNISON SQUARE GARDENのファンを楽しませようとする姿勢には頭が上がらない。帰り際にあった斎藤のマイクレスでの「ありがとうございました!」が響いた会場の光景を一言で表すならば、冒頭で述べたように「完璧!」の言葉に尽きる。充実しきりの2時間だった。 (峯岸利恵)

セットリスト
01.メッセンジャーフロム全世界
02.23:25
03.kid, I like quartet
04.セク×カラ×シソンズール
05.meet the world time
06.ピストルギャラクシー 
07.リニアブルーを聴きながら
08.三月物語
09.流星のスコール
10.ため息 shooting the MOON
11.マスターボリューム
12.harmonized finale
13.さわれない歌
14.ノンフィクションコンパス
15.きみのもとへ
16.シャンデリア・ワルツ
17.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
18.ワールドワイド・スーパーガール
19.場違いハミングバード
20.桜のあと(all quartets lead to the?)

アンコール
01.シュプレヒコール~世界が終わる前に~
02.ガリレオのショーケース
03.crazy birthday
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