モリッシーが批判した野良猫200万匹駆除作戦についてオーストラリア政府側が反論

モリッシーが批判した野良猫200万匹駆除作戦についてオーストラリア政府側が反論

現在ヨーロッパ・ツアー中のモリッシーだが、オーストラリア政府はモリッシーが批判した政府の野良猫駆除計画について反論している。

オーストラリアでは固有の在来種の動物保護政策の強化キャンペーンを行っていて、特に絶滅危機に瀕している哺乳類10種と鳥類10種についての保護強化を訴えているが、この中でオーストラリアにもたらされた外来動物である猫の駆除が叫ばれている。

オーストラリアには外来生物としてねずみやうさぎなどが持ち込まれて爆発的に繁殖してしまい、かつてその駆除のため猫が積極的に導入されたが、その後猫がオーストラリアの貴重な在来生物の捕食動物となってしまった。その対策が今回のキャンペーンでは打ち出されていて、およそ200万匹の野良猫の駆除を掲げている。動物愛護で知られるモリッシーはこれについて「愚行としてあまりに行き過ぎだ」と自身のファンサイトのトゥルー・トゥ・ユーで批判していた。

さらに動物愛護で知られる女優のブリジット・バルドーもオーストラリア政府の野良猫駆除計画を批判しているが、二人に対してオーストラリア環境省の絶滅危惧種担当官のグレゴリー・アンドリュースは次のようにオーストラリア版ガーディアン紙に反論している。

「あなたたちの動物と動物の福利への献身的な活動や啓蒙活動については称賛に値するものだと思います。しかし、この度、オーストラリア政府は野良猫の駆除措置に乗り出すことになりました。それはオーストラリア固有の動物の保護のためなのです。

こうしてブリジット・バルドーさん宛ての書簡をしたためることになるとは思いもよらなかったことです。自分でもちょっと不思議な状況です。ただ、こうした有名人の方たちが動物の福利について気にしていただいていることを嬉しく思いますし、ぼくもまた心から動物たちのよかれを願っています。しかしながら、オーストラリアの野生動物は今危機にさらされていて、その天敵のトップにあるのが野良猫なのです。わたしたちは別に猫が嫌いなわけではないのですが、ほかに策がないのです。できるだけ人道的な形でやっていきますし、そうすることでオーストラリアの動物全体が受ける苦しみの総量は減るはずです」

なお、モリッシーは毒薬入りの餌で薬殺するという駆除法も問題にしていて、特にこの劇薬で絶命する時には大きな苦しみを伴うもので、到底見過ごせるものではないと批判していたが、アンドリュースはブリジット・バルドーらが提案している野良猫を去勢させるという案についても、とてもコスト的に見合わないし、その世代が死に絶えるまでオーストラリアの固有生物が食い散らかされることになると反論している。

「オーストラリアの環境において野良猫は受け入れられないものなのです。それを受け入れることはビルビー、バンディクート、ウォンバットらの動物の絶滅を受け入れることになるからです。

わたしは今やっていることについて、後ろめたくなって眠れなくなるようなことはありません。オーストラリア国民の支持も得ています。ブリジット・バルドーとモリッシーはオーストラリアと今オーストラリアが失いつつあるものについての理解が足りていません。二人はオーストラリア人ではありませんし、今ここで起きている絶滅の危機を経験しているわけでもないのです」

なお、モリッシーは次のようにこの野良猫駆除策について批判していた。

「地球が愚か者に支配されていることは誰もが知るところではあるけれども、これは愚行としてあまりにも行き過ぎである。(齧歯動物の数を抑えているとされている)猫を残忍に抹殺するとのことで、想像を絶する恐怖を味わわせながら内臓を破壊していく毒薬のモノフルオロ酢酸ナトリウムを使うのだという。オーストラリアの人々ならこんなことを許すはずもないのだけれども、もちろんこうした事実を知らされていないわけで、それはなぜかというとこの国を統治しているトニー・アボット首相らの政府関係者が基本的に綿羊業者で動物愛護や動物への敬意などまったく持ち合わせていない輩ばかりだからだ。今回虐殺される2万匹の猫はどれも、先頃アフリカの自然国立公園で不当に密猟の餌食になった牡ライオンのセシルの小型版なのだ。ぼくにはもう……原子爆弾よ来ーい来い、と口ずさむしかない……」
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