BUMP OF CHICKEN、感激の結成20周年記念ライブ完全レポ!超初期曲~最新曲に滲む感謝と新たな決意!
2016.02.12 18:10
2016年2月11日、バンド結成20周年を記念したライブ「結成20周年記念Special Live『20』」を、幕張メッセ国際展示場9〜11ホールにて開催したBUMP OF CHICKEN。RO69では、この模様をライブ写真とレポートでお届けする。
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「はじまりは、僕たち4人だけでした。音楽をやることが楽しくて、夢中でやってて。そのうち、聴いてくれる人がどんどん増えてきて、演奏するたびに『自分たちの曲がそこに生まれたんだ』っていう実感を噛み締めてやってきたんですけど」。幕張メッセの広大なフロアを埋め尽くした2万5千人のオーディエンスに、藤原基央(Vo・G)が静かに語りかける。そして、「そういうことを繰り返してる内に、気づいたら……こんなにかっこいいスタッフのみんなと、あったかいお客さんに囲まれて、この看板は20歳になりました! みんなのおかげだと思ってます。本当にどうもありがとう!」という言葉に、惜しみない拍手喝采が巻き起こっていく――。
BUMP OF CHICKENが初めてライブを行った1996年2月11日を結成記念日として、それからちょうど20年目となるこの日、幕張メッセを舞台に開催された「BUMP OF CHICKEN 結成20周年記念Special Live『20』」。巨大なステージの左右のヴィジョンを除けば、特別な舞台セットも特効の演出もなし、4人の歌と演奏の訴求力だけで満場の観客を歓喜の彼方へと導いてみせた今回のステージはそのまま、純粋に音楽の力でシーンを/時代を切り開き、新たな可能性を提示してきたBUMPの20年間の足跡そのものだった。
藤原基央/増川弘明(G)/直井由文(B)/升秀夫(Dr)の4人が舞台に登場、冒頭から藤原がギター弾き語り状態で歌い始めたサビは“天体観測”! シンガロングを煽る藤原が「もっともっと」と言いたげにチッチッと指を振ってみせた後、割れんばかりの大合唱を受けて4人が気合い一閃、渾身のアンサンブルを叩き付ける……という開幕の場面からWアンコールまで、魂のクライマックスとでも言うべき熱気と高揚感に終始包まれていたこの日のアクト。ライブ前日にリリースされたばかりの最新8thアルバム『Butterflies』の楽曲は”Butterfly”と”Hello,world!”のみ、これまで彼らが生み出してきたマスターピースをトータル2時間半のアクトに凝縮してみせた。“R.I.P.”(2009年シングル)の凛とした疾走感から“バトルクライ”(1999年インディーズシングル『LAMP』カップリング)の熱量あふれるギターロックへ――といったキャリア全横断的な展開も、20周年記念日の特別なライヴゆえの醍醐味だ。
1996年の初ライブは「ちっちゃなコンテストの地区予選」だったことを明かしつつ、その時にもらったという賞状を掲げてみせた直井。「今年成人式を迎えた人!…(挙手)…お前らが『おぎゃー、おぎゃー』って言ってた頃から今まで、ずっとバンドやってんの、ずっと!(笑)。それもこれも……20年間聴いてくれていた、みなさんのおかげです!」と言いつつ感激に声を詰まらせ、「20年間ひとりも欠けることなく、仲良くここまでやってくれたメンバー、本当にありがとう!」と藤原/増川/升に呼びかけ、「いいかお前ら! 今までで一番の、最高のライブにしようぜ!」と観客に叫び上げる直井の言葉からも、この特別な夜への気迫が滲んでくる。
“ランプ”(前述『LAMP』表題曲)や“車輪の唄”(2004年)といったシングル曲はもちろん、“ひとりごと”(2007年アルバム『orbital period』)や“ナイフ”(1999年アルバム『FLAME VEIN』)などアルバム曲まで網羅したセットリストで、その都度オーディエンスの驚きと感激の声を呼び起こしていた4人。90年代後半~2000年代のギターロックの進化を体現するようなソリッド&タイトなロック感が1曲また1曲と濃密に織り重なっていく……というそれまでの空気感が、最新アルバム『Butterflies』から響かせた“Butterfly”で一転。藤原が奏でるアコギと増川の清冽なギター、直井&升のビートの躍動感、ハイブリッドなシーケンスといったテクスチャーのひとつひとつが、メッセ狭しと飛び交うレーザー光線と相俟って、鮮烈なまでの多幸感を描き出していく。創造性のおもむくままに、臆することなく自らの表現スタイルを柔軟に変化させながら、その結果として生まれた楽曲が紛れもなく「新たなBUMP像」を作っていく、という彼らの奇跡のサイクルが、ひときわダイナミックかつ揺るぎなく実証された瞬間だった。
“ロストマン”(2003年シングル)の力強い歌で会場の温度を高めてみせた後、「我々は昔の曲もちょいちょいやってきたつもりではいたんだよ。それでもやっぱりね、全然やってない曲がいっぱいあったんだよね」という藤原の前置きとともに、ライブ初演奏となる“ベル”(2002年アルバム『jupiter』)を披露。さらに“66号線”(2010年アルバム『COSMONAUT』)の決然としたブルースロック感で観客の心を震わせ、“K”(2000年アルバム『THE LIVING DEAD』)のドラマチックなストーリー性とエモーショナルな疾走感でフロアを揺らしてみせる。聴く者の情熱と衝動を抑え難く湧き上がらせるBUMPの音楽はしかし、若さ/衝動/フラストレーションの発露としてのロックだったことは一度もないと言っていい。むしろ、それらの未熟さを克服し、今この一瞬を真摯に生きて物語として焼きつけようとするアティテュードこそが、BUMPの音楽に圧倒的な輝度と強度を与えてきた――ということを、この日のライヴは雄弁に物語っていた。
「『支えてくれてありがとう』みたいなのって、ベタすぎるじゃん?ってね。何かうまいこと言えねえかなあと思ったんだけど……みんなが聴いてくれてたから、俺たちが20年やり続けることができました。どうもありがとうございました!」。そんな藤原の真っ直ぐな言葉に、熱い拍手が広がったところへ、“ダイヤモンド”(2000年シングル)、“ray”(2014年アルバム『RAY』)の連射で一面のジャンプとシンガロングを呼び起こし、“ガラスのブルース”(『FLAME VEIN』)でメッセを揺らして本編を締め括ってみせた。
アンコールでは“Hello,world!”のスケール感と加速度に満ちたアンサンブルで『Butterflies』最新モードの充実感を窺わせてみせる4人。会場一丸の記念撮影を呼びかける直井。「やりますよ、僕たちはこの先も。今日は20周年記念日だけど、25周年とか、どんどんやっていきます」と語る増川。「ありがとーう!!」とオフマイクで叫び上げる升。この晴れ舞台の喜びが、それぞれの表情にあふれている。そして、「この曲やってノった試しがない」(直井)、「悪くないと思うんですけどねえ」(藤原)というやりとりから、「アンコールをもらったら、この曲をやろうって決めてたの。“ガラスのブルース”って曲を書いたすぐ後に、『自分たちのテーマソングがあったらいいな』って……」という藤原の解説とともに、超初期のカセットテープにのみ収録された“BUMP OF CHICKENのテーマ”へ流れ込んで終了!――かと思いきや、「……全然終われなかったっすね!(笑)」と三たび舞台に4人が登場。Wアンコールでは「1996年2月11日のステージでやった曲をやって帰りましょうよ!」という直井のコールから“DANNY”炸裂! 祝祭感と歌声とロックンロールが広大な空間に弾け回る、至上のフィナーレの光景だった。
すべての音が止み、4人それぞれに舞台を降りて柵前のオーディエンスとハイタッチして回った後、「不器用な僕らですが、これからも応援よろしくお願いします!」と呼びかけた直井に続けて、「いろんな曲を――古いやつから最新のやつまで演奏してきて、胸がいっぱいになりました」と藤原が語る。「僕らは音楽に育てられてるから、音楽に恩返しをしたいんだよね。生まれてきた曲の足を引っ張りたくないんだよね。だから、ときどき僕らは、君たちの耳慣れないようなサウンドを弾いたり、やったことなかったようなことをやったり……それでもずっと、届くことを信じてやってきて。今こうやってライヴやって、みんなは昔の曲も最近の曲も、変わらず笑顔でリアクションを返してくれて……はじまりは4人だったんですけど、その4人に一番見せたい景色が、ここにあると思いました」。ひたむきな想いをそのまま解き放った言葉に、高らかな拍手と歓声が降り注いでいった。
「僕らが今まで作ってきた音楽、これから作っていく音楽……全部、君に会うために生まれてきました。忘れないでね。これからもよろしくね! ありがとう! バイバイ!」――そんな藤原の言葉を残して、最高の一夜は幕を閉じた。最新作『Butterflies』を携えて、4月からは初のスタジアムツアー『BFLY』に挑むBUMP OF CHICKEN。新たなトライアルを前に、20年間の足跡をステージ/フロア一体となって祝福し合うような、珠玉のアニバーサリーライブだった。(高橋智樹)
●セットリスト
01.天体観測
02.R.I.P.
03.バトルクライ
04.ランプ
05.車輪の唄
06.ひとりごと
07.ナイフ
08.Butterfly
09.ロストマン
10.ベル
11.66号線
12.K
13.ダイヤモンド
14.ray
15.ガラスのブルース
(encore 1)
16.Hello,world!
17.BUMP OF CHICKENのテーマ
(encore 2)
18.DANNY
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