現在発売中のロッキング・オン12月号では、オリヴィア・ロドリゴのライブレポートを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=粉川しの
弾けるような若さと勢い。最旬ポップスターの煌めき。そして揺るぎないコンセプトに則って骨太に構築された、エンターテイメントとしての説得力。オリヴィア・ロドリゴの初来日公演は、それら全てが高次元で融合した、天晴れ!としか言いようがない最高のステージとなった。この人の凄さは21歳の今しかできない思春期の表現を理解した上で、21歳とは思えないほどしたたかに、それをエンタメとして客体化するプロ精神を兼ね備えていることだとつくづく感じた。子役出身という背景も大きいかもしれないが、Z世代の象徴としての自分をコントロールしながらも、リアルな当事者性も発揮できるという、自意識のバランスが新鮮なのだ。
発売と同時に即完した初日の有明アリーナは、開演前から熱気で溢れ帰っていた。観客は極めて女性率が高く、特にオリヴィアと同世代の若いファンの姿が目立つ。スパンコールのミニスカートや薄紫のワンピースetc.のオリヴィア・ルックでキメた女子も多い。約5分押しで会場が暗転……と同時に轟いた怒号のような歓声には、正直度肝を抜かれてしまった。この日のアリーナを常に満たしていた観客の合唱と歓声は、同会場で観たビリー・アイリッシュやハリー・スタイルズすら凌ぐほどの大音量で、改めてファン超待望の初来日だったことが窺える。
オープナーは『ガッツ』収録の“バッド・アイディア・ライト?”で、同作のロックモードを直反映したパワフルな幕開けだ。容赦なくギターソロがうなり、オリヴィアがヘッドバンギングに突入するというロックの様式美が、若いオーディエンスに熱狂的に受け入れられている様は、どこかサマソニのマネスキンを彷彿させるものだった。ちなみにバンドは全員女性の7人編成で、ランナウェイズとスリッツをフュージョンしたような彼女たちのビジュアルは、後半のセクションでさらに際立つことになる。3曲目にして早くも“ヴァンパイア”をやってしまうのにも驚いたが、この曲のロックオペラ的な展開を、ドラマティックに肉付けしていく演奏にも、その過剰に圧倒されることなく全パート歌って打ち返すオーディエンスにも、驚かされた。『ガッツ』を引っ提げてのワールドツアーも既に終盤に差し掛かり、オリヴィア側も脂が乗り切っているし、ファンの予習も万全だったということなのだろう。
(以下、本誌記事へ続く)
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