サカナクション、更なる未来へ激走中!大進化が止まらないホールツアー終盤戦レポ!

  • サカナクション、更なる未来へ激走中!大進化が止まらないホールツアー終盤戦レポ! - all pics by 石阪大輔(Hatos)

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現在、全国ツアー「SAKANAQUARIUM 2015-2016 "NF Records launch tour"」を敢行中のサカナクション。RO69では、2016年2月24日に行われた東京国際フォーラム・ホールA公演の模様を、ライヴ写真とレポートでお届けする。

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「全国ぐるりんちょしてきまして、東京にまた戻ってまいりました。ただいま! 東京の人、関東の人、手挙げて!」。東京国際フォーラム・ホールAに呼びかける山口一郎(Vo・G)の言葉に応え、観客の大半が挙手したのを見て「……ですよね。みんな、すげえ踊り方がスレてる。いや、いい意味で(笑)」と続ける山口に、満場の客席がどっと沸く――。

昨年10月のアリーナツアー7公演、そして11月から今年3月まで開催中の25本のホールツアーからなる、サカナクションの全国ツアー=「SAKANAQUARIUM 2015-2016 "NF Records launch tour"」の東京追加公演として開催された、東京国際フォーラムのワンマンライヴ。昨年のアリーナツアーの日本武道館で観たステージよりも、オーディエンスの心の深淵によりいっそう深く迫りながら、色彩豊かなポップとアートの極みを繰り広げるような表現世界を、この日の5人は確かに見せてくれた。

この後に大阪/横浜/札幌の計5公演が控えているため、演奏内容の記述については一部楽曲のみとさせていただくが、数曲を差し替えた以外はほぼアリーナツアーを踏襲した選曲とは思えないほど、この日のサカナクションが編み上げる音空間はより鮮烈で、ディープで、リアルな手触りに満ちた密接なコミュニケーションを感じさせるものだった。

時に5人一列のクラブDJスタイルで繰り出すミニマルなダンスビートの、深海の底のさらに底へと潜行していくような背徳的な快楽感。“セントレイ”の目映い音像にさらなる輝度を与えて客席激震の祝祭感を生み出してみせた、江島啓一(Dr)&草刈愛美(B)の強靭かつしなやかなビート感。“アルクアラウンド”のシンセリードから“ネイティブダンサー”のピアノまで、サカナクションサウンドのハイパーなハイブリッド感と肉体的なポップ感を司る岡崎英美(Key)のキーボードワーク。岩寺基晴(G)の痺れるようなディストーション渦巻くシューゲイザー・バラード“壁”の緊迫感……といったテクスチャーのひとつひとつが、壮麗なまでの高揚感を呼び起こし、国際フォーラムの広大な空間を包んでいく。

ワンマン/フェス問わず披露している、“アイデンティティ”から“ルーキー”へクロスフェードしていく美しすぎる展開は、もはやそれ自体がひとつのアートとしての完成度を備えて、圧巻のシンガロングを呼び起こしていた。そして、着物姿の踊り子ダンサーを擁しての“夜の踊り子”の麗しき躍動感も、岩寺&草刈の太鼓乱打と山口のジャンプ&ダンスが5000人を狂騒の真っ只中へと導いた“SAKANATRIBE TRANCEMIX”も、ロックやクラブミュージックといった垣根を無効化するだけの熱量にあふれたものだった。何より、楽曲の単位を越えて壮大な世界を描き上げるステージングと、CGやオイルアートを駆使した映像、レーザー光線などの演出も含めた「チーム・サカナクション」の表現が、長いツアーの中でもはや不可分なほどに渾然一体となって、格段に深く強い訴求力を獲得していたのが印象的だった。

「まだまだ踊れる?」といった煽りを要所要所に挟みつつ、本編をほぼノーMCで駆け抜けた5人。アンコールでは山口がメンバーひとりひとりに「セットリストの良かったところ」のコメントを振っていくなど、一転してリラックスムードで語り合っていく。「“アイデンティティ”から“ルーキー”っていうセットリストは、もう結構何度もやってきたんで、今回のツアーが最後ですね」と話す山口に、客席から「えーっ!?」と声が上がる。そこへさらに「『えーっ』とか言ってるでしょ? でも、もう一回やったら『またやってる!』とか言うんだって。知ってる(笑)」とツッコミを入れる山口――といったMCのひとつひとつが、ステージと客席の距離感をぐいぐいと近づけていく。

「『NF Records』っていうレーベルをサカナクションは立ち上げたんですけど。そこでいろいろ、新しいことを発信していきたいなと」と、改めて新レーベルを立ち上げた「今」の決意を語る山口。「なんか、CD作ってライヴすることしか、僕らは表現する手段がないんですよね。音楽大好きだからさ、もっといろんなことやりたいじゃない? だけど、契約だとかさ、バブル時代に成功した音楽業界の人たちの古いやり方とかさ、そういうのに縛られながら、なかなか新しいことができないんだけど。新しいことを踏み出してみようかなと思って、いろいろ今やり始めてます」。ファッションブランド「MIU MIU」とのコラボで生まれた河瀬直美監督のショートフィルム『SEED』で劇中音楽を手掛けたこと、映画『バクマン。』の劇中音楽では日本アカデミー賞の優秀音楽賞を受賞したことも交えつつ、「その先」への意欲を語る言葉に、惜しみない拍手が湧き起こっていた。

「来年10周年になりますが、こうやってまた、新しい曲を作って、新しいツアーを回って、みなさんと音楽で繋がっていけたらなと思ってます。サカナクションは真面目だけが取り柄なので。これからも一生懸命頑張っていきたいと思います」……バンドの「これから」へ向けて沸き立つ想いを、山口は真っ直ぐに語っていた。4月9日・10日に開催される、ツアー集大成となる幕張メッセでのワンマンライヴについて「セットリストも変えようと思っています。」と明かしていた山口の言葉にも、さらなる期待感が抑え難く湧き上がる、最高の一夜だった。(高橋智樹)

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