9mm ×韓国バンドGUCKKASTEN、海を超えた”Discommunicaion”共演!熱き友情轟く一夜をレポ!
2016.03.04 18:30
2016年3月3日、9mm Parabellum Bulletと韓国ロックバンド・GUCKKASTENによる対バンイベント「9mm Parabellum Bullet presents『カオスの百年×Squall』」が、恵比寿LIQUIDROOMにて行われた。RO69では、この模様をロングレポートにてお届けする。
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約3年ぶりとなる6thアルバム『Waltz on Life Line』リリースを目前に控えた9mm Parabellum Bullet×韓国ロックの雄:GUCKKASTENの対バンが、東京・恵比寿LIQUIDROOMで実現! 9mm自主企画シリーズ「カオスの百年」とGUCKKASTEN自主企画「Squall」のコラボ企画として日韓2マンツアー形式で行われている今回の対バンライヴ。2月27日に韓国・ロッテカードアートセンターで開催された「GUCKKASTEN presents『Squall×カオスの百年』」に続き、「9mm Parabellum Bullet presents『カオスの百年×Squall』」としてここLIQUIDROOMを舞台に実施されたロック異種格闘技戦的な一夜は、9mmの音楽の特異性と「今」の爆発力を改めてダイレクトに伝えてくるものだった。
先攻はGUCKKASTEN。昨年のLIQUIDROOM恵比寿移転11周年記念シリーズ「LIQUIDROOM 11th ANNIVERSARY」の一環として行われた9mm×MO'SOME TONEBENDER(9月17日)のゲストアクトとして出演も果たしていたGUCKKASTEN。この日はギター/キーボード&コーラスのサポートメンバーを擁した6人編成でオンステージ。“スクラッチ”のメタル色濃いソリッドなロックサウンド&ハ・ヒョヌ(G・Vo)のハイトーンヴォーカル、さらに“Montage”ではハ・ヒョヌもギターを構えてのトリプルギターサウンドを轟々と鳴り渡らせて、フロアの温度をぐいぐいと高めていく。
「またここでライヴできて嬉しいです」とハ・ヒョヌが日本語で呼びかけ、ハ・ヒョヌのスカ風カッティングとジョン・ギュホ(G)のフレーズ、キム・ギボム(B)&イ・ジョンギル(Dr)のタイトな8ビートが絡み合う“鏡”を日本語バージョンで歌い上げたところで、「卓郎!」と9mm・菅原卓郎(Vo・G)を呼び込んでの“Discommunicaion”のカヴァー炸裂! GUCKKASTENのバンドTシャツ姿で歌う卓郎の佇まいと、ジョン・ギュホらが織り成すハードエッジなギターサウンドが、ステージ一丸の高揚感を生み出していった。ピンク・フロイド的なスロウナンバー“羽”のアンサンブルがラウドに昇り詰めていったり、“赤い畑”ではメヴィメタル直系の高音シャウトを聞かせたり……といったように、ロックンロール/ブルース/メタルなど多彩な音楽性を感じさせるあたりは9mmと相通じるものがあるが、それぞれのジャンルのオーセンティックな存在感を受け継いで「今」に響かせているような音の印象は、9mmと真逆のようでもある。「呼んでくれた9mmさん、ほんとにありがとう!」と感謝の想いを伝えるハ・ヒョヌの言葉に、熱い拍手が広がる。ラストの“尻尾”まで全9曲、渾身のアクトを見せてくれた。
そして9mm Parabellum Bullet。“反逆のマーチ”でオーディエンスの琴線をかき乱すギターの音色が、ラテンとロックンロールが渾然一体となったようなかみじょうちひろ(Dr)のビート感が、そしてお立ち台に昇ってギターを激奏する滝善充(G)の姿が、開演早々フロアをがっつり揺さぶっていく。メンバー四者四様の色合いを見せたクアトロA面シングルの中でもひときわ異彩を放ちまくっていたこの曲が、すでに9mmスタンダードとして機能していることからも、9mm最新型サウンドの威力が窺える。
さらに“Vampiregirl”“The Revolutionary”“Cold Edge”と歴代アンセムを立て続けに披露し、フロア一面むせ返るような熱狂空間に塗り替えてみせたところで、「アニョハセヨ、9mmイムニダ!」と卓郎。「GUCKKASTEN最高だね。9mmの“Discommunication”を演奏してくれましたよ、日本語でね。俺はハングルでは歌いきれないので、次の機会にね(笑)」と言いつつ、GUCKKASTEN“鏡”のイントロ部分を演奏してみせる9mmの4人。そこからそのまま、ついさっきのアクトでのGUCKKASTENの流れを踏襲するように“Discommunication”へ突入、会場激震の狂騒感を生み出していく。“Supernova”でギターをぶん回しながら轟音を撃ち放つ滝。中村和彦(B)がアップライトベースに持ち替えてのジャジーなロックンロール・ナンバー“キャンドルの灯を”で、ひときわドラマチックな艶やかさとともに響く卓郎の歌声……メタルもロックンロールもハードコアもダンスも歌謡も血肉化し、まったく別種のロック超合金的サウンドを作り上げた9mmの異能ぶりが、そんな展開からも滲んでくる。
「今日は『Squall』と『カオスの百年』のコラボイベントなんだけど。『カオスの百年』なんだから、なんか目新しいことしないとさ、面白いことしないとダメじゃん? だから……ここから新曲3曲連続でやります!」と、ニューアルバム『Waltz on Life Line』からの楽曲を一気に連射! アルバムのラストを飾る“太陽が欲しいだけ”のスリリングでエモーショナルな加速感。静謐なイントロから8ビートのエッジィな躍動感へと流れ込んでいく、和彦作曲のナンバー“湖”。そして、“キャンドルの灯を”にさらなる熱量とマッドネスを過積載したような“Lost!!”。昨年のクアトロA面シングル以上に4人の個性が渦巻いている新作アルバムの最高の「予告編」的展開に、フロアはよりいっそう熱く沸き返っていく。
「GUCKKASTENは、9mmのことを――自分で言うのも何だけど、本当にリスペクトしてくれていて。その熱意で、この対バンが実現しました!」と語りかける卓郎、お馴染みの「いけるかああああっ!!」をハングル(実際は「声を上げろ!」「もっと来い!」の意味の言葉だったらしい)で叫び上げたところで、“Black Market Blues”からライヴは激烈クライマックスへ! “Mad Pierrot”“ハートに火をつけて”に続けて雪崩れ込んだ“Talking Machine”のイントロに、3月3日にちなんで滝が「♪あかりをつけましょぼんぼりに~」のギターフレーズを忍ばせる遊び心も覗かせていた9mm。“新しい光”で湧き起こった高らかなシンガロングが、この日の会場の多幸感を雄弁に物語っていた。4月のアルバム『Waltz on Life Line』と6月19日の8年ぶり日比谷野外大音楽堂ワンマン「Waltz on Life Line」、そして全国ツアー「太陽が欲しいだけ」へ――という期待感とともに9mm新章開幕を強く感じさせる、圧巻のステージだった。(高橋智樹)
●セットリスト
■GUCKKASTEN
01.スクラッチ
02.Montage
03.鏡
04.Discommunication (w/菅原卓郎) ※9mm Parabellum Bulletカヴァー
05.羽
06.赤い畑
07.泥棒
08.Sink Hole
09.尻尾
■9mm Parabellum Bullet
01.反逆のマーチ
02.Vampiregirl
03.The Revolutionary
04.Cold Edge
05.Discommunication
06.Supernova
07.キャンドルの灯を
08.太陽が欲しいだけ (新曲)
09.湖 (新曲)
10.Lost!! (新曲)
11.Black Market Blues
12.Mad Pierrot
13.ハートに火をつけて
14.Talking Machine
15.新しい光
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