【完全レポ】エレファントカシマシ、27年目の野音! 雨の中の34曲、その全てを書く!

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エレファントカシマシが、9月18日に日比谷野外大音楽堂公演を行った。RO69では、この模様をロングレポートでお届けする。

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●セットリスト
(第一部)
1.ズレてる方がいい
2.歴史
3.ゴッドファーザー
4.浮き草
5.道
6.おれのともだち
7.土手
8.サラリ サラ サラリ
9.風に吹かれて
10.いつものとおり
11.月の夜
12.珍奇男
13.武蔵野
14.流れる星のやうな人生
15.昔の侍
16.流されてゆこう
17.Baby自転車
18.悲しみの果て
19.うれしけりゃとんでゆけよ
20.so many people
21.四月の風
(第二部)
22.友達がいるのさ
23.i am hungry
24.今宵の月のように
25.涙
26.コール アンド レスポンス
27.RAINBOW
28.FLYER
(第三部)
29.星の降るような夜に
30.夢を追う旅人
31.ガストロンジャー
32.ファイティングマン
(encore)
33.この世は最高!
34.待つ男

オクトーバーフェストでにぎわう日比谷公園を抜けて、日比谷野外音楽堂にたどり着く。会場はすでに立ち見エリアまでびっしりと人で埋まっている。今にも降り出しそうな曇り空ではあるが、昼間の蒸し暑さが和らぎ始めた夕方5時、ほぼ定刻通りにメンバーがステージに登場。“ズレてる方がいい”でライブはスタートした。高緑成治(B)の後を引くようなベースのリズムに、宮本浩次(Vo・G)の声が呼応するように伸びていく。

恒例のエレカシ野音公演が、今年は2days。それでも今年もチケットを入手できなかったファンが、その音だけでも聴きたいと、開演前から会場の外で、いわゆる「外聴き」をしようと静かに待っている姿も見られた。今回のライブは三部構成で、「第一部は今一番やりたい曲を選んできました」と宮本が語ったように、スペシャルな選曲に会場も沸き立つ。歌い出しからガツンと心を鷲掴みにする“道”、まだ明るい空に力強いファルセットが吸い込まれていくような“おれのともだち”、サポートの細海魚(Key)のメロウなキーボードが暮れかかる空に鳴り響く“土手”と、石森敏行(G)のヘヴィなギターも相まって、力強さの中にどこか幻想的な浮遊感を漂わせる極上のロックンロールサウンドが会場に染み渡っていく。いつにも増して、宮本の声が素晴らしい。絶好調。「(今回の選曲は)曲数がどんどん増えてしまって、せっかくこんな素晴らしいステージでやれるので、曲を増やしてやっちゃおうと思います」なんて嬉しい言葉も飛び出して、そしてその言葉通り、予定よりも多めにやってくれた(と、思う。当初のセットリストと、自分の覚書を突き合わせてみたら、本編は4曲増えていた!)。

中盤、ステージ後方からの、満月の光を思わせるようなライトの逆光の中、アコースティックギターの美しいアルペジオが耳に焼きつく“月の夜”が素晴らしかった。サイケデリックなキーボードの音、転調、そして静かなエンディングは野音の虫たちの声も重なって、しばしの静寂がとても美しい。こんな瞬間は、やはり野音ならではであり、エレカシファンにとって野音は聖地と言いたくなる所以でもある。続く“珍奇男”の振り切れっぷりがまた圧巻だった。冨永義之(Dr)のタイトで激しいドラムと高緑のうねるようなベースに、宮本、石森、そしてサポートのヒラマミキオ(G)の3本のギター、細海のキーボードも絡み合い、ラストに向かって激しくグルーヴしていく様は、いつまでも聴いていたいと思わせるほど。気がつけば、空はすっかり暗くなり、夜が訪れていた。

「一生懸命、新しいことをやろうと思って、下北沢のライブハウスとかでやってる頃に作った歌です」と紹介した“Baby自転車”から、「もう1曲、当時の曲で今も大事に歌い続けている曲です」と“悲しみの果て”へと続く流れにも、感情が揺さぶられた。この第一部の終盤から、雨が本格的に降り出すが、もちろん誰一人として帰る人はいない。《明日もがんばろう》の言葉が強く突き刺さる“四月の風”で、第一部は終了。この時点ですでに21曲である。

第二部は“友達がいるのさ”でスタート。「みんなこの曲、好きだよなあ。ありがとう」と言った宮本の顔が嬉しそうだった。続く、雨が激しく降る中での“I am hungry”は、生きていることを実感するような時間でもあった。会場の熱気もむしろヒートアップ。さらに、「野音に来ているみんなには、おなじみすぎる曲だけど、大好きな歌を」と、“今宵の月のように”へと続いていく。そして“コール アンド レスポンス”、“RAINBOW”と、爆発力最大のロックナンバーが連続で投下されると、もう雨などどうでもよくなってくる。最高。「バンドマンって、いいことも悪いこともあるんですけど、ひとえに俺の努力のみでここまでやってきたので、これからもみんなに喜んでもらえる俺でいたいと思います」という不遜な物言いも、宮本だからこその説得力を持つ。まずは己が自分を裏切らずに生きていくこと。だからこその軋轢も生んだはずだが、宮本がそれを避けて通ってきたのなら、きっと今のエレカシはないだろう。

「雨が降っちまったなあ」と、少し残念そうな口ぶりで始まった第三部は、曲数は少ないながら、宮本から私たちに贈られた、魂の応援歌、とでも言いたくなるような選曲だった。特に最新シングルである“夢を追う旅人”の圧倒的な力強さと、一点の曇りもない肯定感は、音源で聴く以上のエネルギーで、すべての者の背中を押してくれる。もちろん“ガストロンジャー”のアジテーションには否応なしに背筋が伸びてしまう自分がいる。「いい顔してるぜ、エブリバディ!」の言葉。やっぱりこの曲には、人を前向きにする即効性があるのだな、と思う。“ファイティングマン”では、宮本は靴を脱ぎ飛ばして裸足になり、ステージの端から端まで走りまわる。最後まで力強いサウンド、枯れることのない声、雨もいつしか止んだ。来年もまた、この季節にこの場所でエレカシの歌に酔いしれていたい。誰もがそう思いながら、帰路についたことだろう。全34曲、3時間の至福の時。ありがとう宮本。ありがとうエレファントカシマシ。(杉浦美恵)
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