【完全レポ】BABYMETALとレッチリが競演! O2 アリーナ2days、その全てを観た!
2016.12.12 18:10
BABYMETALが、現地時間の今月5日、6日にイギリス・ロンドンのTHE O2(O2 アリーナ)で行われたレッド・ホット・チリ・ペッパーズのUKツアーにスペシャルゲストとして出演した。RO69ではその模様をロングレポートでお届けする。
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BABYMETALのイギリス公演といえば、ウェンブリーアリーナでの単独公演の大成功もまだまだ記憶に新しいところだが、彼女たちはさらなるチャレンジを決断した。今度はレッド・ホット・チリ・ペッパーズのUKツアーに帯同し、スペシャルゲストとしてライブをするという、予測不能かつかなりアウェイな環境へ、まるで導かれるように足を踏み入れていったのだ。もちろん不安も怖れもあったはずだ。でも、彼女たちは迷わず進む。その姿を、今どうしてもこの目に焼き付けておきたいと思った。というわけで、ツアー初日と2日目の公演を観るべく、ロンドンへと向かったのである。
ロンドンでの知名度もかなり高くなってきたとはいえ、さすがにレッチリファンが手放しでBABYMETALを歓迎するということはないだろうなと思いつつ、初日、O2アリーナに向かう。彼女たちのパフォーマンスがレッチリファンにも届くだろうかと、客席で勝手にそわそわしている間にライブはスタート。神バンドの演奏に歓声があがって、少しほっとする。そして挨拶代わりの“BABYMETAL DEATH”。全員、これっぽっちもひるんでいない。いつも通りキレキレの堂々たるパフォーマンスだ。SU-METALの歌声も素晴らしく伸びやか。“メギツネ”では、じっと見入っているオーディエンスを煽りまくる度胸も見せつけ、クラップを促すとアリーナではたくさんの手が上がる。この日、SU-METALの《なめたらいかんぜよ》は、恐ろしいほどの覚悟と本気に満ちていて、まるで自分たちを奮い立たせるかのような強さがあった。初日のプレッシャーを自らのパフォーマンスではね退け、その熱量が会場に伝わっていくことで、オーディエンスの反応もどんどん大きくなっていく。終わってみれば、アリーナは多くの人で埋まり、誰もがステージに惜しみない拍手を送っていた。
おそらく彼女たちはこの日のライブで、ステージ上で心を動かすアクションがあるからこそ、観客のリアクションがあるのだという、とてもとても当たり前なリレーションシップを再び実感したのではないかと思う。それは直接的な語りかけや煽りに限った話ではなく、パフォーマンスに宿る熱量という部分でも。スクリーンで映像を流したり、凝ったステージ演出があるわけではなく、ただひたすら自分たちのパフォーマンスだけでオーディエンスを惹きつけるためには、アクションとリアクションという、そのシンプルな力学のみが有効なのだということを肌で感じたに違いない。
それを悟った2日目のライブは、驚くほどこちらの感情を揺さぶるものに変化していた。“Catch me if you can”では、コール&レスポンスを促し、“メギツネ”での「JUMP!」の煽りは明確で、アリーナ中が大きく波打つほど。SU-METALの《なめたらいかんぜよ》は、この日は完全にオーディエンスに向けて不敵に放たれ、思わず身震いするほどの迫力を感じた。ラスト、“ギミチョコ!!”では、3人がそれぞれに観客を煽り、YUIMETALとMOAMETALのダンスも、どこまでも振り切れていった。いつものBABYMETALからはみ出すことを1ミリも怖れないエモーショナルなパフォーマンス。圧巻のステージングで完全に観客の心をつかんだ瞬間だった。「SEE YOU!」の決め台詞も最高に清々しく響き、彼女たちは堂々とした足取りでステージを去っていく。その姿がとても頼もしく、眩しい。
そして彼女たちのチャレンジは続く。来年1月にはなんと、メタリカの韓国公演に出演するというニュースが流れてきた。BABYMETALの物語は、まだほんの序章に過ぎないのかもしれない。決して安全な道に逃げることなく、リスクを引き受けて未知の世界の扉を開けた者だけにもたらされる宝物。彼女たちが自らの手でそれをつかみ取って行く過程を、私たちは今まさに目撃しているところなのだろう。
ちなみに、今回のこのロンドン公演のレポートは、また別の切り口で『ROCKIN’ON JAPAN』2月号にも書かせてもらう予定です。機会があれば、そちらもぜひ。(杉浦美恵)