ダムド、3/4横浜公演を速報レポート

ダムド、3/4横浜公演を速報レポート

デビュー40周年を迎え、来日ツアーを開催中のダムド。

RO69では、完全ソールドアウトとなった同ツアー最終日、昨日3月4日(土)に横浜ベイホールで行われた来日公演のオリジナル・レポート記事をお届けします。

-----
【ダムド @ 横浜ベイホール】

デビュー40周年を記念したツアーの一環とした今回の来日ツアー。大阪、東京での公演に続く3日目となる本日においては、昨年から続く映画公開や音源のリリースなどによる「祭状態」も功を奏したか、ソールドアウトの会場で終始狂騒的なまでの歓喜の渦が巻き起こっていた。ビートルズの“Help”をカヴァーしていたことが象徴的だが、元々ダムドはポップにロックンロールをやることへの理解、ポップ・ソングを書くことへの意識が高いバンドだったのだと思う。そうして作られた曲達が、実際にこうして2017年の日本で老若男女を熱狂させている。つまりそれはただの偶然などではないが、一方でロンドン・パンク史上最初にレコードデビューし最速で解散するなどこれまでの紆余曲折をふまえると、決して当然とも言えない。1つの奇跡である。だからこそ、ダムドという最高のパンク・バンドの40周年を、40年前から衰えないバンドの音で、40年前と変わらないフロアの興奮で祝うことに繋がったのだ。おめでとう、そして、ありがとう、ダムド。

ライブは“Melody Lee”で幕を開ける。すぐさま、一塊のグルーヴが練り上げられ、バンドの状態の良さが伝わってくる。曲を終えると、かけていたサングラスを別の「ROCK」マークのサングラスに付け替えるキャプテン・センシブル(Gt)。彼と、噎せ返るような色気とほのかな胡散臭さを放ってやまない髭を蓄えたデイヴ・ヴァニアン(Vo)のオリジナル・メンバー2人にどうしても目がいってしまうが、演奏的には5人がしっかりと「1/5のダムド」を担っているのが素晴らしい。特に、上モノが多めに残した音の余白を埋めるために乱打系のフィルを連発するも決してリズムがぶれないピンチ(Dr)のプレイは特筆に値するものだった。曲が始まり、終わる度に怒号のような歓声を上げるフロアであったが、最初の頂点を迎えたのは、やはり“Love Song”~“Second Time Around”の必殺の流れ。BPMも音圧もまるで昔と変わらず、付け加えられたデイヴのフェイクもキャプテンのソロも最高にキマッている。余裕はあるが余分はない、円熟のパフォーマンスである。

その後も、“Eloise”や“Stranger On The Town”といったパンクの枠をはみ出した曲達に対してもバンドは一貫して安定した演奏を見せ、フロアも大合唱で応えていく。彼らを観ていてつくづく思わされるのは、なんて楽しそうにふざける人たちなのだろうということだ。モンティ・オキシモロン(Key)のソロの際にはキャプテンとスチュ・ウェスト(Ba)が左右に立ちにやけながら顔を覗き込んでみる。そのモンティは興奮が絶頂に達するとステージ中央に出てきてタコ踊りを始める。キャプテンがステージ前方でソロを弾いていると突き落とすフリをするのに、アンコールでキャプテンがメイン・ヴォーカルを取るとステージ端に引っ込んでコーラスをしてあげるデイヴ。そして、「The Damned 40th Anniversary」という文字が背中に刻まれたジージャンを着て、黒ラベル(ライヴ中に3~4本は飲んでいたはず)を片手に「ファミリーマート、ローソン!」と言ってみたり、一通りウケをとったら「ROCK」サングラスをフロアに投げてみたり、好き放題のキャプテン。しまいには、ライブのクライマックスである本編最後の“New Rose”から繋いだ“Neat Neat Neat”において、クラウドサーフをしていた紙袋を被った男性(”Neat Neat Neat”のシングル盤ジャケットへのオマージュだ)に目を留めたキャプテンが、ギターそっちのけでステージに引っ張り上げる始末。自身のベレー帽とその紙袋を交換するなど、何でもありである。何てキュートなジジイたち。しかし、これでこそ、ダムドなのである。3大オリジナル・パンク・バンドの中で、セックス・ピストルズには鋭利な知性に支えられた批評性があった。クラッシュには滾るような音楽愛と貴い理想があった。はっきり言ってしまえば、それらは、ダムドには無い。ダムドにあったのは、「今すぐ馬鹿やってやろう」という刹那的なユーモアだけである。だからこそ、ダムドは最高のパンク・バンドなのだ。時代が、他の奴らがどうだって関係無い。何がどうあるべきという大義も無い。とにかく今が楽しければいい。そんな出鱈目な野郎どもだからこそ、何度も離れ、散り散りになりながらも、こうして最高の今を刻み続けることができているのである。今、ダムドがいてくれてよかった。そんな幸福を噛み締めた一夜だった。(長瀬昇)

〈SETLIST〉
01. Melody Lee
02. Generals
03. Disco Man
04. I Just Can’t Be Happy Today
05. Alone Again Or
06. Love Song
07. Second Time Around
08. Street Of Dreams
09. Eloise
10. Stranger On The Town
11. Ignite
12. Plan 9 Channel 7
13. Wait For The Blackout
14. History Of The World
15. New Rose
16. Neat Neat Neat

En1. Life Goes On
En2. Noise Noise Noise
En3. Smash It Up
En4. Antipope
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする