おげんさんのナビゲーションにより深く伝わった星野源のライブの最新形

9月28日の『SONGS』(NHK総合)は『SONGSスペシャル 星野源』と題し、20万人を動員した全国ツアー「星野源 Live Tour 2017『Continues』」の千秋楽である、9月10日のさいたまスーパーアリーナ公演より厳選されたライブ映像が放送された。

番組内でも語られたように今回のツアー「Continues」は、「全部、なにかの曲と繋がっていて、どんな曲も絶対にまた後々に繋がっていく、っていう風に僕は思っていて。それをライブ全体で表現できないか」というコンセプトで構成されたライブであり、1曲目はマーティン・デニー/YMOのカバー“Firecracker”からスタートする。番組も“Firecracker”の映像から放送された。

マリンバと共に大歓声を受け、せり上がって来る星野。一瞬の静寂のあと、星野がマリンバを叩くのを合図に“Firecracker”の演奏がスタートする。この楽曲はYMO結成のきっかけとなっており、YMOの“Mad Pierrot”に影響を受け作られたのが星野の楽曲“時よ”であるという、最高にかっこいいライブの始まりでありながら「Continues」のコンセプトに忠実な選曲になっている。自身のラジオで「マリンバを叩いている姿を地上波で見てもらう、っていうのは非常に嬉しい」と語っていたように、テレビではなかなか見られないマリンバを演奏する星野を見られたのも嬉しい選曲だった。

マレットをハンドマイクに持ち替え“化物”へ。改めて「星野源でーす」と挨拶し、ライブの開幕を告げるようにステージを端から端まで歩き回り盛り上げる。

今回の番組にはナビゲーターとして「おげんさん」が度々登場。「対象がいるのにひとりな気がする」ことが「(夜中にひとりぼっちで曲を作っている)自分が曲を生む瞬間とすごく似てて非常に心地がいい」と弾き語りの魅力を語り、センターステージで照明を一身に浴びながら弾き語りで歌われる“くせのうた”へ。

おげんさんが「踊るって、本当に楽しいことなんだな」、と語ったダンス曲からは“SUN”、“恋”、“Week End”がオンエアされた。3万人が「恋ダンス」を踊り、次の“Week End”ではバラバラに踊り、まさに「ダンスフロア」というべき空間が3万人規模の会場で作り上げられている圧巻の映像だった。

続く“Continues”の前には敬愛する細野晴臣から「未来をよろしく」と言葉をかけられたエピソードが語られた。実際に今、音楽を繋げていく役割を大きく担っている星野が番組で自身のルーツをひもとき丁寧に語り、ライブで3万人の前で“Continues”を歌っていることこそがまさに音楽は続いていくということを証明している、と番組を見て感じた。

ライブで披露するのはこの公演が初だった“Family Song”についても、「大変だと感じている人にこそ本当に幸せであってほしい、と思ったりするので自分の素直な気持ちが書けたような気がした」と、《ただ 幸せが/一日でも多く/側にありますように》というサビの歌詞について語られた。

最後は「やるかもしれませんわよ」と『おげんさんといっしょ』の第2弾(?)の放送もほのめかしながら番組は締められた。

今回ナビゲーターとして「おげんさん」というキャラクターを通すことで、普段以上にライブや楽曲への考えや思いなどがしっかりと語られていた。また、ライブ映像を観て思ったのは、今までの星野源のライブもそうだったが、特に今回は照明・映像効果が素晴らしかったということだ。“Firecracker”での狂気的なフラッシュの点滅や、楽曲や歌詞ごとに変わる背景の色などが音楽の良さをより引き立てていた。

“Firecracker”のようなインストゥルメンタルに、惹き込まれる“くせのうた”の弾き語り、星野が見たかったという「客席がむちゃくちゃになっている景色」を生み出す“SUN”、“Week End”などフルで放送された選曲も星野の楽曲の幅広さがわかるものになっており、星野源のライブの魅力が凝縮されて伝わるような放送だった。(菊智太亮)
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