【知りたい】20年前にシーンに登場したSUPERCARが今も放つ「未来」の煌めきとは?

【知りたい】20年前にシーンに登場したSUPERCARが今も放つ「未来」の煌めきとは?
SUPERCARのオリジナルアルバム5作がアナログ盤リリースされるというニュース(https://rockinon.com/news/detail/167337)が届けられたのは、彼らのデビューシングル『cream soda』の発売日からちょうど20年後にあたる、9月21日のことだった。

石渡淳治(JUNJI/G)、中村弘二(NaKaKō/G・Vo)、古川美季(MIKI/B・Vo)、田沢公大(KōDAI/D’z)(括弧内はデビュー当時のクレジット)の4人により青森県で結成されたSUPERCARは、その後の約10年、音源リリース期間は7年という活動の中で、一貫して鮮烈なままのロックの手応えを残し、解散したバンドだ。

青春の情景の瑞々しさと、若い逡巡や諦観。醒めているようでありながら、なお無限に広がるロマンチシズム。彼らのロックはそういったものを内包していたのだが、それだけでずっと「鮮烈なまま」でいられるわけではない。人間はどんなものにも慣れ、飽きる生き物だ。

デビューアルバムの『スリーアウトチェンジ』(オリジナルは1998年)をはじめ、順次アナログ盤でリリースされる『JUMP UP』(1999年)、『Futurama』(2000年)、『HIGHVISION』(2002年)、『ANSWER』(2004年)という5作のアルバムは、端的に言ってそれぞれの時期の世の中のムードを真空パックしてみせたような作品である。1年や2年のスパンでこんなにも世間の空気が変わるのか、と思えてしまうところだが、でも本当にそうだったのだ。

僕には、SUPERCARのサウンドと重なって忘れられない風景の記憶がある。2000年と2001年の境目、つまり21世紀を迎えようというときに、僕は例年どおり車に乗り込んで二年参りと初日の出のためのドライブに出かけた。そのとき車中で聴いていたのが、2000年にリリースされたSUPERCARの『Futurama』と、ニール・ヤングのライブ盤『Road Rock Vol.1』だった。ノイジーで美しいギターの音に浸って新世紀を迎えたいという思いで、この2枚を選んだ。

年越しから暫くはニール・ヤングを聴いていたのだけれど、夜明けが近づくと『Futurama』に切り替える。ニューヨーク万博の「未来の展示」になぞらえたと思しきタイトルのこのアルバムは、明らかに未来を照らし出そうとする作品だった。「未来を切り開け」だの何だのといった暑苦しい掛け声とも、新世紀を迎える世間のお祭り騒ぎともかけ離れているように思えたクールなSUPERCARだったが、彼らのロックは力強く丹念に、未来と希望を重ね合わせようとしていた。そんな心持ちで眺めた初日の出が途方もなく美しかったのは、言うまでもないだろう。

ポップミュージックは時代を映し出す。確かにそうだろう。SUPERCARもまさにそうだった。しかし、そのロックはただ鏡のように時代を映し出していたわけではない。声を荒げるでもなく、しかし確かな変革の意志が込められていた。デビュー以来3作のシングルを経てからの『スリーアウトチェンジ』というバンド感豊かなデビューアルバム。そして、ギターロックとブレイクビーツ、エレクトロニカを巧みに融合させた『JUMP UP』も、タイトルからして然りだ。

“Strobolights”や“YUMEGIWA LAST BOY”といった、ハイファイなエレクトロニック路線を推し進めた楽曲群で更なる人気を博した『HIGHVISION』の頃も、SUPERCARの有機的なバンド構造は揺らぐことがなかった。それは、ギタリストである石渡が大半の作詞を、ボーカリストの中村が作曲を手掛け、また中村と古川が男女ボーカルのコントラストを生み出したり、あるいはリードボーカルを交代したりするという、SUPERCARならではのバンド内メカニズムがずっと活かされていたからだろう。

最後のアルバムとなった『ANSWER』は、バンドとしての創造性が極限まで研ぎ澄まされた、まさに意志を帯びた「解答」であった。バンド活動中のリリースは、この後の『WONDER WORD ep』で役割を終えることになる。SUPERCARとは、意志を帯びたバンドの在り方そのものが創造性であり、また作品だったように思えてならない。

21世紀の初日の出なんてのは、本当は毎日やってくる日の出と変わらなかったのかも知れない。でも、そこに意志や意味を投げかけることで、人間は歴史を作り、時代を作り、未来を思い描いてきた。SUPERCARは一時代の変化を鮮やかに描き出してバンドの役割を終えたが、その意志の煌めきはこれからも作品を通して、燦然と輝き続けるだろう。(小池宏和)
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