本当に寝耳に水とはこういうことだ。11月23日、オフィシャルサイトに新しいアーティスト写真と共に現れたのは「LAST ALBUM RELEASE IN 2018」の文字。そして本日、「チャットモンチー完結のお知らせ」が発表された。「LAST ALBUM」という響きだけでも、多くのファンがSNSに色んな想いを書き込んでいるのを見たけれど、ここ最近までリリースの度に取材をさせてもらっていた身としても「何で今、解散なんだろう」という気持ちと、「今、なんだな」という気持ちが胸の中に渦巻いている。
ラストアルバムのリリースが発表された11月23日は、12年前にチャットモンチーがデビューミニアルバム『chatmonchy has come』をリリースした記念日でもあった。1曲目に収録されている“ハナノユメ”を聴いた時の、衝撃とワクワクは今でも忘れられない。徳島から上京してきた3人のロックバンドに対する憧れと、天真爛漫で純粋で、でもそれだけではない女の子らしいナイーブな感受性と、とびきりユニークな表現力。その全てが渾然一体となって輝いていた。すぐさま夏フェスがコアな音楽ファンのみならず一般的なレジャーとしても盛り上がってくる時代に求められ、“シャングリラ”、“風吹けば恋”、“とび魚のバタフライ”など次々と生み出されるヒット曲と共にどんどん大きな舞台へと勇敢に漕ぎ出していく様は圧巻だった。
「チャットモンチー完結のお知らせ」に書かれていた通り、このバンドは何度も「変身」を遂げてきたバンドだ。特に2011年にドラムの高橋久美子が脱退し、橋本絵莉子と福岡晃子のふたりになった時。それでもチャットモンチーを続けるという強い意志を持って、ベースを担当していた福岡がドラムに挑戦し、橋本はギターに加えて鍵盤やドラムなど曲ごとにパートを変えて弾き始めたのには驚かされたし、かなり興奮させられた。そうして常に新たな発想で音楽と向かい合う姿こそがひとつのメッセージとなり、バンドとしての更なる自由を獲得しながら“満月に吠えろ”、“コンビニエンスハネムーン”、“majority blues”などの名曲を生み出し続けてきた。そんなチャットモンチーがついに「完結」してしまう。
当たり前のことだが、チャットモンチーを誰よりも愛し、人生そのものだったであろう、橋本と福岡にしかチャットモンチーを「完結」させることはできない。それがどういうものになるのか、そして完結作となるラストアルバムを聴いた時、どんな気持ちになるのか。これまでもそうだったみたいに、ワクワクしながら待っていたいと思う。私たちもチャットモンチーを愛しているし、彼女たちの音楽と共に、毎日を生きてきたから。「ただでは終われない私たちですので、また元日にいろいろ発表しますね」と書いてあるように2018年7月まで、まだまだ楽しいことが待っているだろう。チャットモンチーがどんなに素晴らしいバンドであったか、最後まで見届けたい。(上野三樹)
突如、発表されたチャットモンチーの「完結」に寄せて
2017.11.24 18:30