U2、新曲参加のケンドリックを「聡明な奴」と賞賛。「心から尊敬してて大好きなアーティスト」

U2、新曲参加のケンドリックを「聡明な奴」と賞賛。「心から尊敬してて大好きなアーティスト」 - photo by Anton Corbijnphoto by Anton Corbijn

12月1日に新作『ソングス・オブ・エクスペリエンス』をリリースしたU2が、新作の意図や方向性、そしてケンドリック・ラマーとの共演などについて語っている。

「Stereogum」のインタビューに答えたU2はバンドの原点に回帰した2014年の『ソングス・オブ・イノセンス』と今作との対比について語っているが、『ソングス・オブ・エクスペリエンス』は特に、ポップで聴きやすいU2としてのサウンドが形になったアルバムであることを認めている。

トランプ政権の誕生により、ほぼ完成していたという新作の「文脈が失われた」ため制作期間が約1年延びたというエピソードは先日紹介した通りだが、ジ・エッジがその意図について次のように語っている。

明るさや喜ばしさという意味では、これは間違いなく僕たちがいつも求めるものだけど、もちろんその一方で生きていくことの現実味も考えられてなければならないもんだよね。じゃないと無味乾燥なものにしかならないから。

でも、今のような時代では光をより明るくするように考えるのを強いられるものなんだ。暗いことに拘泥するよりも、前へ進もうとするべきなんだよ。実際、暗い現実はたくさんあるわけだし。

だけど、そういうことをただ表現してもあんまり役に立つようにも助けになるようにも思えないんだ、不思議とね。というのも、それは見え見えなことだから。でも事実、みんなそういう方向に向かっちゃってるんだよね。



さらに、前作『ソングス・オブ・イノセンス』の制作時に残された楽曲群の多くが今回のアルバムに持ち越されることになったこともこれまでにバンド自身が語っていたことだが、あくまでも今回のアルバムについては「現在」という時制にこだわったものであることをジ・エッジは次のように語る。

今回の楽曲はしばらくの間温めてきたものだけど、結局、アルバムについては土壇場までずっと手を入れてきたからね。だから、ここにくるまで相当時間がかかったけれど、出来立てのものでもあるんだ。

今というこの瞬間についてのものだし、音楽的にも政治的にも僕たちの周りで起きてきたあらゆることに影響されたものなんだ。個人的な意味でもね。

でも、アルバムというのはそういうふうにしか作れないものなんだ。仕上がったその瞬間には、僕たちにとってのすべてであって、すべてを意味していないとだめなんだよ。


その一方でボノは「イノセンス(純粋さ)」と「エクスペリエンス(経験)」との間で揺れた自分たちの活動の道程を振り返って、次のように語っている。

これまでちょっとやばそうな政治家と握手することになった時か、ビジネス面にマジで取り組んだりした時には、若かった頃の俺がこの姿を見たらなんて思うかなとちらっと思ったりしたことはあったよ。音楽うんぬんよりも、哲学としてどうなんだっていうね。

実際ね、10代の頃や20代の頃に持ってた、何にでも白黒をつけてみせる世界観が今じゃ羨ましく思うよ。単一主義というか、二元論で世界を捉えるっていうね。俺たち対あいつらっていう。俺たち対俺とかさ。


そうした事情を踏まえて、今回の作品で見据えていた境地についても次のように語る。

今回の『エクスペリエンス』の道はね、どこに行き着くかわからないという状態で辿ったわけ。つまり『ソングス・オブ・エクスペリエンス』がどういう形になるのかはさっぱり分かってなかった。

とにかくもうどんどん転がしちゃってみて、その過程でハードな問いかけをしてみたかったんだ。ただ、この経験を経て辿りついた果では多少の知恵もついて、イノセンス(純粋さ)を取り戻すことができるかもしれないと信じたいんだよ。



その一方で、“American Soul”でケンドリック・ラマーを客演に指名した理由についてエッジは次のように明かしている。

実際のところは、僕たちはただのファンだったということさ。心から尊敬してて大好きなアーティストについていろいろ考えた時、ケンドリックはそんな僕たちのリストのてっぺんにいたんだよ。僕らは自分たちと似たような精神を持っているアーティストをいつも探してるからね。


そしてボノは、ケンドリックを「本当に聡明なやつ」と以下のように賞賛する。

とても抵抗できない、まっとうな怒りがこもってるよね。アメリカが今“置かれている”状況についてラップしてくれないかって俺から頼んだことがある。それに対するケンドリックの返答は、アメリカが今“いない”場所についてラップするってものだった。本当に聡明なやつだよ。

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