フランス生まれのファッション・デザイナー、エディ・スリマンの名前を聞くと、ピート・ドハーティやベック、アレックス・ターナーを始めとしたロック・ミュージシャンたちを連想する人も少なくないだろう。
イヴ・サンローラン、ディオール・オムを経てセリーヌのクリエイティブ・ディレクターに抜擢されたスリマンは、デザイナーとしてのみならず、フォトグラファーとしての活躍、そして音楽界との関係の深さでもよく知られている人物だ。
先に挙げたピート・ドハーティのファンであることを公言しており、2005年には自身が撮影を手掛けたピートの写真集『London Birth of a Cult』を出版。
さらにアレックス・ターナーはライブの際、スリマンが手掛けたサンローランの衣装で身を固めることも知られており、同じくサンローランの衣装を愛用するベックは、2013年春夏のメンズ・コレクションのキャンペーン・モデルに起用されたことも。
ベックが2016年のフジロックで着用していたシャツとレザー・ジャケットは、スリマンがデザインしたものだ。
また、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのマイケル・シューマン率いるミニ・マンションズとアレックス・ターナーのフィーチャリング曲“Vertigo”のミュージック・ビデオは、サンローランのプライベート・パーティーで夜が明けるまで遊んだ後、そのまま朝9時から撮影したというエピソードあり。
マイケル・シューマンによると、出演者の女性たちが待ちくたびれている様子がこのビデオの雰囲気にピッタリだったのだとか。
他にもダフト・パンクの“Get Lucky”のミュージック・ビデオでは、ダフト・パンクの2人、ファレル・ウィリアムス、ナイル・ロジャースと全員がサンローランの衣装を着用している。
Daft Punk - Get Lucky
こうしてさまざまなアーティストたちからも愛され続けているスリマンのデザインだが、スリマン自身は以前から「子どもの頃から、生活のすべてが音楽に囲まれていた。音楽を聴いていると、ファッションのアイディアが形になるんだ」と、自身が創り出すファッションと音楽との密接な関係性を語っている。
そんなスリマンがフォトグラファーとしての才能を開花させたのは、子どもの頃に誕生日プレゼントとして両親からカメラをもらったことがきっかけだという。2008年出版の写真集『Rock Diary』でも知られるように、多数のロック・ミュージシャンたちのポートレイトを撮影し続けている。
スリマンのInstagramで公開されている作品の一部は以下。
コートニー・ラヴ
ジョニー・ロットン
キース・リチャーズ
エイミー・ワインハウス
イギー・ポップ
チャック・ベリー
最近ではトロイ・シヴァンのアーティスト写真や、リアム・ギャラガーの『アズ・ユー・ワー』のジャケット写真を手掛けたエディ・スリマン。さまざまなアーティストたちを写した作品がスリマンのブログやSNSでシェアされているので、これを機に覗いてみてはいかがだろうか。