ボブ・ディランが語るソングライティングの秘密とは? 「俺の歌詞には他にはない勇敢さみたいなものがある」

ボブ・ディランが語るソングライティングの秘密とは? 「俺の歌詞には他にはない勇敢さみたいなものがある」 - 『rockin'on』2018年6月号より『rockin'on』2018年6月号より

7月に新潟県湯沢町苗場スキー場にて開催される「FUJI ROCK FESTIVAL '18」の最終日、7月29日(日)にヘッドライナーとして出演することが決定しているボブ・ディラン

『ロッキング・オン』6月号では、そんなフジロック来日で湧くボブ・ディランのソングライティングについて迫った、3万字におよぶインタビュー記事を掲載。ボブ・ディランが表紙を飾ったのは、本誌創刊以来初めてのことだ。

曲を書いている時、意識的に意味を導き出すよう努めるか、それとも潜在意識の中の方向性に従うか、と問われたディラン。「何がそれを書かせたのかなんて、誰にも分かりゃしない」と答え、自分の頭の中から考えを追い出すことが出来なければ曲は書けないとも口にしている。

そして、具体的に曲をどうやって書くのかと訊かれると、ディランは以下のように答えている。

うーん、まず最初にね、人間の心の中には常に2種類の思考が存在してるわけだーー善なる考え方と邪(よこしま)な考え方だね。そのどちらも、キミの心が生み出すものだけど、人によって善の方が多かったり、邪な方が多かったりする。いずれにしてもそれは顕現する。

で、キミはそれを選り分ける能力を持ってなきゃダメなんだよ、もしソングライターになりたいなら、それも優れたシンガー・ソングライターを目指すならね。余分なものは全部始末しなきゃならない。そういうアイディアを全部淘汰出来るようでなきゃならないんだ、何故ってそいつらには何の意味もないし、下手すりゃいたずらに引っ張り回されるだけだからさ。


インタビュアーから自身の曲が聴き手を過去の時代に連れて行ったり、神話的なイメージで満たしたりすると伝えられたディラン。さらに、どうやって曲を着想するのかと問われると、ディランは以下のように答えた。

(しばらく考えて)そういう曲っていうのは、書いてしまった後になって何がそうさせたかと言われても、知る由もないんだよ。誰かがそこに立ち会って、時系列に沿って整理をしたり、モチベーションの背景を探りでもしなければね。

(更に考えて)でも見方によっては、勿論、あれも俺の他の曲とさしたる違いはない。同じくらいの量の韻律を重ねた、詩みたいなものだ。俺の頭の中に浮かぶメロディはごくシンプルでね、子供の頃に聴いてきた音楽がベースになってるんだろうな、本当にシンプルなんだ。

(中略)頭の中に浮かんだ音楽をいつまでも抱えて回るんじゃなく、書き留められるように、ある程度の音楽的な心得を持った方が絶対いいよ。俺に言わせりゃそういう連中こそが、本当にこの(ソングライティングという)職業に対して真剣に向き合ってる連中だと思うね。ただその時その時の自分の考えを吐き出したいだけだったり、俺はこんな凄い考えを持ってるから、世界中に吹聴せずにはいられない、みたいな奴らじゃなくてね。


インタビューの最後では、インタビュアーが楽曲のタイトルを挙げ、それに対してディランが答えていくという場面も。“Idiot Wind”(愚かな風)が取り上げられると、ディランは同楽曲のことを紐解きながら、自身の歌詞について以下のように語った。

(中略)あれにはとてつもない数のヴァースがつけられる可能性があるんだ。止まらないんだよ。止められない、と言った方がいいかな。どこで終わるんだ?ってこっちが思うくらいでね。本当のことを言えばまだまだ書き続けてられるくらいだよ。やりようによっては継続的に、現在進行形の作品になってもおかしくない。

(中略)俺の考えとしては、俺の歌詞は、他の誰の曲よりも俺自身の曲に合ってるはずなんだ。俺の曲に対して、時に俺と同じくらい思い入れてくれる人たちもいるんだけど、そういう人たちからは、「あなたの曲はとても難解だ」と言われることがある。彼らは俺と同じ視点で物を見、同じ考え方に基づいて表現したいって言うんだな。そういう時の俺の答えはいつも決まってる、「どうぞ、やりたければお好きなように」ってね。でもそいつは取り外し可能なわけじゃないんだ。

彼らの歌詞が俺の歌詞より勝ることはない。俺の歌詞には何か、他にはない勇敢さみたいなものがあるんだよ。もしかしたらその他には何もないのかも知れないけど(笑)、でもそれは決して取るに足らないことじゃないんだ。


ソングライター、詩人としての自身を語ったボブ・ディランの貴重なインタビューのほかにも、世代の異なるライター3名がフジロックの見どころなどを語った鼎談や、ミュージシャンとしての彼の音楽遍歴を辿るコラムなども掲載している。

フジロックまで約3ヶ月。この特集を通して、フェスへの期待を高めるとともに、改めてボブ・ディランの魅力を再発見してもらいたい。



『ロッキング・オン』6月号の詳細はこちらから。
http://www.rockinon.co.jp/product/magazine/144391

ボブ・ディランが語るソングライティングの秘密とは? 「俺の歌詞には他にはない勇敢さみたいなものがある」 - 『rockin'on』2018年6月号『rockin'on』2018年6月号
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