【ロッキング・オンを読む】来日目前! グレタ・ヴァン・フリート、最新インタビューでZEP愛をたっぷり語る【全文公開】

【ロッキング・オンを読む】来日目前! グレタ・ヴァン・フリート、最新インタビューでZEP愛をたっぷり語る【全文公開】

インタビュー:鈴木美穂

今後の音楽シーンを塗り替える力を持った驚異的な4人組、グレタ・ヴァン・フリートが遂にデビュー・アルバムを発表する。ジョシュ(Vo)とジェイク・キスカ(G)は双子の兄弟で、弟のサム(B、key)と幼なじみのダニー・ワグナー(Ds)と共に、小さい頃からキスカ家の両親が集めていたブルース、フォーク、ソウルといった古き良きレコードを聴いて育ったという。昨夏、私がLAで彼らのショウを初めて目撃した時、その電撃的とも言えるパフォーマンスに全身に鳥肌が立つほどの興奮を覚えた。そして、有機的でブルージーなクラシック・ロックを大音量で鳴らす彼らのルックスがまだ幼いことにも衝撃を感じた(サムとダニーは未だ10代)。全米のロック・ラジオ局のバックアップを受け、昨年の2枚のEPから全米メインストリーム・ロック・チャートの首位を達成するヒット曲が生まれ、精力的なツアーによって彼らは急ピッチで成長を遂げた。

彼らのデビュー作『アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー』は、その成長を如実に反映している。ロックの未来を彼らに託してしまいたくなるほど、ピュアなロックンロールそのもののアルバムが誕生した。見るからに仲の良い4人が、これまでの旅路とバンドの信念を語ってくれた。

●まず、このバンドがどのようにして生まれたか教えて下さい。

サム・キスカ(B、Key)「僕達は、ミシガン州の広大な草原で誕生したんだよ。小川をカヤックで下ったり、ザリガニ釣りをしたりしてて」

ジョシュ・キスカ(Vo)「トウモロコシ畑の中を歩いたりね」

サム「生まれ育った環境のおかげで、僕達はなりたいものになれる、創造的になれる自由を手にしていたんだ。そして僕達の家族とコミュニティが、常にゴーサインを出してくれてたんだよ」

●結成は、今から6年前?

ジョシュ「そう、約6年前だよ」

●昨年7月、ヴァイパー・ルームであなた方のライブを初めて見たのですが、10月には同規模のトルバドールを3日間完売にし、今年のコーチェラ・フェスティヴァル出演後には、ハリウッドにある1200人収容の劇場を完売にして、ショウの度に観客が何倍にも増えていきましたよね。振り返って、どう思われますか?

ジョシュ「その全てが、すごく短期間で起こったんだよね。だから、ヴァイパー・ルーム公演から今までを振り返ると、全てがぼやけてる感じがするんだ。いつか、ちゃんと思い返すことができるようになる日が来るんじゃないかな」

●このバンドを始めるきっかけとなった、強く影響を受けたバンドやアーティストは誰でしょうか?

ジェイク・キスカ(G)「それってすごく難しい質問の一つで。全員が一番大きな影響を一つに絞れないんだ。本当に沢山の影響があるからね。幾つかあげるとしたら、ビートルズとか、ザ・フーローリング・ストーンズレッド・ツェッペリンとか、ブリティッシュ・インヴェイジョン時代の多くのバンドから影響を受けてるよ」

ジョシュ「でも、その他にボブ・ディランにも大きな影響を受けてるし。ジョン・デンヴァーにもね。僕はソウルが大好きで、ジャニス・ジョプリンやウィルソン・ピケットやジョー・コッカーも大好きなんだ。フォーク・ミュージックもすごく好きだし、あらゆるタイプのワールド・ミュージックもね」

●なるほど。レッド・ツェッペリンの影響はあまり強く受けてはいないと他の取材で発言していましたが、バンド・アンサンブルやサウンドの爆発力という点では、大きな共通点があると感じます。一番好きなツェッペリンのアルバムと曲は?

ダニー・ワグナー(Ds)「僕は昔から『III』だな。変化があるし、フォーキーだから」

ジェイク「僕は“ホット・ドッグ”が好きだよ」

ダニー「(笑)いい曲だよね」

サム「『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』は間違いなく最高傑作だな」

ジョシュ「僕は『フィジカル・グラフィティ』が好き。楽しいアルバムだからね。何でもありな感じで」

ジェイク「僕が一番好きなのは、『II』だね。全身全霊をかけたような作品で、驚いたよ」

ジョシュ「『III』もフォーキーで好きだよ。クールだね。曲は、“タンジェリン”だな」

ジェイク「うん、僕達は“タンジェリン”が大好きだよ」

サム「僕が一番好きなアルバムは、彼らのデビュー作だと思う。聴く度に彼らが登場した時、あの作品にどんな意味があったかを考えさせられるんだ。それは新しくてエキサイティングで、爆発的で実験的だった。進歩的だったんだ。それこそ、ロックンロールだよね」

●『アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー』は、真のロックンロールと呼べるアルバムで、しかも森羅万象と共鳴するオーガニックなサウンドになっている点が非常に個性的だと思います。リスナーには頭から最後まで通して聴いて欲しいと感じました。あなた方は、このデビュー・アルバムをどう形容しますか?

ジェイク「このアルバムには沢山の自然が入っていて、人類の進化の旅や、歴史上の教訓、そして“平和、愛、調和”も沢山込められているんだ。それらの事柄がアルバム全体を繋ぐテーマになってる。制作中にそれを意識していたわけじゃないんだけどね。より無意識的に、それがアルバムの個性というか、僕達が創造したかったアルバムの内容を定義するものになったんだ」

ダニー「沢山の人間的な要素、沢山の人間の感情が込められてて、神秘論もかなり含まれてる」

サム「だから、リスナーにその解釈を委ねる作品だよ」

●“平和、愛、調和”はあなた方のSNSのプロフィールにも書かれているメッセージですが、それがあなた達の哲学で、今作を通して伝えたいことですか?

ジョシュ「ある意味、そうだよ。僕達は全員が繋がっていて、そこには人間の物語があって、人類の歴史から僕達が学べることがある。だから過去の出来事から知恵を得て、それを未来に運んで、僕達が生きる世界に平和や癒しを見出そうっていうことなんだ。そして願わくは、それを僕達の一番の能力として発揮して、僕達が地球を去る時に世界がもっと良い場所になっていたらいいなと思ってる。『我々は我々の先祖から地球を受け継いでいるのではなく、我々の子孫から借りている』っていうネイティブ・アメリカンの偉大な発言を、僕はこのバンドの一部として捉えているんだ」

●アルバム・タイトルは、今作を締めくくる曲のタイトルでもあります。美しく壮大なこの曲についても教えて下さい。

ジョシュ「“アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー”はステイトメントになっていて、人はそれぞれに違う意見を持ってるけど、最終的に僕達は、異なる意見に同意しないことにも同意する必要があるってことを歌ってる。なぜなら、それでも空は青いし、草原は緑だし、山の小川は流れるもので、それは誰にでも同意できることだから。森羅万象には、真実か偽りかしかないから、正しいか悪いかではないんだよ」

ジェイク「ジョシュが書いた詩から始まった曲だよね」

ジョシュ「うん。朝の5時位に半分寝てて半分起きてるような頭で思いついたんだけど、突然それが“アンセム”の詩になった。どこから来たのかは分からないけど、特に重要な曲になったよ」

●グレタ・ヴァン・フリートの最大の武器は何ですか? 逆に、弱点と感じているところは?

ダニー「僕達の忍耐力と、お互いから力を得る能力が最大の強みだと思う。それに僕達の音楽に対する考え方と独自の姿勢はすごく強力で、素晴らしい長所だと思う。弱みは多分、僕達が若いことかな。僕達がまだまだ勉強中なのは認めるけど、若いという理由で、真面目に受け止めてもらえない時もあるからね」

●私はあなた達の強みはライブだと思っていて、度々もの凄いジャムに突入するので、まるで生きている生物のようで、観る度に全く違う体験ができる点が素晴らしいと思います。あなた達にとって、ライブとは?

サム「この活動で一番楽しい部分だと思う。毎晩、新しい何かを創造できるからね。4人がその瞬間に感じていることによって、ある曲が10分にも30分にもなる。とてもユニークで他と一線を画すライブだよ」

ジェイク「その説明はいいね。僕達のライブは生き物みたいにその場で変化して、成長して、進化する。それに毎晩変化させることで、僕達自身の興味も維持されてるんだ」

ジョシュ「ライブをやりつつ探求して発明することで、全員の活力が維持されるっていうのが僕達のライブの美点だね。僕達は本当に、ライブ・バンドとしてスタートしたからね。そしてこのデビュー・アルバムでは、スタジオで実際に生演奏をしながら、僕達のライブ・サウンドをアルバムに変換しようと試みた。だから、前進して変化して進化し続けるっていう僕達のライブの本質が、僕達のミュージシャンシップの大事な部分だと思うよ」

●ありがとうございました。サマーソニック2018の出演は、ダニーの手の負傷で中止になってしまい残念でしたが、来日公演が楽しみです。

ジェイク「うん、数ヶ月後に行く予定だよ。僕達全員が、すごく興奮しているよ!」



グレタ・ヴァン・フリートの来日公演の詳細は以下の記事より。

「現代のレッド・ツェッペリン」グレタ・ヴァン・フリート、来日公演が決定!
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「現代のレッド・ツェッペリン」グレタ・ヴァン・フリート、来日公演が決定!

【ロッキング・オンを読む】来日目前! グレタ・ヴァン・フリート、最新インタビューでZEP愛をたっぷり語る【全文公開】 - 初出:『rockin'on』2018年11月号初出:『rockin'on』2018年11月号
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