『スペイス・オディティ』(1969)の50周年を記念し、当時の貴重なデモ音源などを収録した7インチ・シングル・ボックス・セット『スパイング・スルー・ア・キーホール』を4月5日にリリースすることが発表されたデヴィッド・ボウイだが、今回新たにこれに続く初期レコーディング音源集、『クレアヴィル・グローヴ・デモ』のリリースが決定した。
同音源集にはボウイが自宅でレコーディングしていたという全6曲の貴重な音源が収録されており、うち4曲は完全未発表音源とのこと。全音源がモノラル録音の45回転仕様となっている。
この収録音源は、1969年1月、ボウイが当時住んでいたロンドンのクレアヴィル・グローヴにあるアパートにて行われたデモ・セッションをレコーディングしたもの。
ボウイと当時のガールフレンド、ヘルミオーネ・ファージンゲールと共にThe Feathers(この頃には既にThe Feathersとしての活動は終わりを迎えていた)として活動していたJohn 'Hutch' Hutchinsonとの、デュオ編成でのレコーディングとなっている。
また『スパイング・スルー・ア・キーホール』と同様、『クレアヴィル・グローヴ・デモ』に収納されているシングル盤のデザインは、ボウイが当時出版会社やレコード会社に音源を送る際に使っていたデモ盤のレーベルを復刻したものとなっており、中にはEMI DISCのレーベル面にボウイ直筆の楽曲タイトルが書かれたものも含まれている。
なおボックスのジャケットおよび中面には、当時のボウイのマネージャーであるケン・ピットがボウイのアパートで撮影した貴重な写真が使用されているという。
『クレアヴィル・グローヴ・デモ』の詳細、ならびに各楽曲の概要は以下。
●リリース情報
デヴィッド・ボウイ(ウィズ・ジョン・“ハッチ”・ハッチンソン)
『クレアヴィル・グローヴ・デモ』
3 枚組7インチ・シングル・ボックス、輸入盤で2019年5月17日発売
【SINGLE 1】
Side A: Space Oddity
完成形の歌詞をフィーチャーしたこのデモ音源は、長らく廃盤となっている『スペイス・オディティ』40周年記念2枚組作品で初めて公開された音源。未公開のTV映画『Love You till Tuesday』用にMorgan Studiosでレコーディングされた音源よりも前にレコーディングされた音源だ。
Side B: Lover To The Dawn
以前の恋人に向けて書かれたこの曲は、その後「シグネット・コミティー(原題:Cygnet Committee)」へと姿を変え、その年の後半にリリースされたアルバム『スペイス・オディティ』に収録されることとなった。
【SINGLE 2】
Side A: Ching-a-Ling
デヴィッドとヘルミオーネ、そしてトニー・ヒルからなるトリオ、Turquoise(その後トニーの代わりにハッチが加入し、The Feathersとなる)が1968年10月にレコーディングにレコーディングしていた楽曲。The Feathersからヘルミオーネが脱退した後も、デヴィッドとハッチはデュオとしてこの曲を演奏し続けていた。
Side B: An Occasional Dream
後にアルバムに収録されることとなったバージョンとは若干歌詞が違うこのデモ・バージョンは、『スペイス・オディティ』40周年記念2枚組作品にも収録されていた音源。
【SINGLE 3】
Side A: Let Me Sleep Beside You
最初にこの楽曲のスタジオ音源がレコーディングされたのは 1967年9月のことだったが、1970年の『The World of David Bowie』に
収録されるまで未発表となっていた。この音源は、1969年10月にBBC用のセッション時に再度レコーディングされたもの。この曲に思い入れのあったデヴィッドは、30年後に、未発表作品となったアルバム『Toy』のためにレコーディングをし直している。その『TOY』用にレコーディングした音源は、2014年にリリースされた 3枚組ベスト・アルバム『Nothing Has Changed』でようやく世に出ることとなった。
Side B: Life Is A Circus
ロジャー・バンの曲で、ボーカル/インストゥルメンタル・カルテット、Djinn がレコーディングした楽曲のカバー。デヴィッドとハッチによるボーカルは、サイモン・アンド・ガーファンクルのようなスタイルをとっている。
レコーディング・メンバー:
デヴィッド・ボウイ ─ ボーカル、ギター、スタイロフォン
ジョン・“ハッチ”・ハッチンソン ─ ボーカル、ギター