米津玄師による“パプリカ”セルフカバーを聴いた!

米津玄師が歌う“パプリカ”を聴いていたら、ふわっと懐かしい匂いが漂ってきた。あの夏の日の匂いだ。騒がしい蝉時雨に、生き物のようにも見える大きな入道雲。夕方になると、どこからかお祭りの音が聞こえた。親戚のお姉さんから借りた浴衣の鮮やかな赤。綺麗なのになぜか胸をぎゅっと締め付ける打上花火の下で、「これって埋めたらどうなるかな?」なんて話しながら、庭にスイカの種を埋めた時の生ぬるい土の感触。

あの場所に行くのが毎年楽しみだったけれど、もう戻れないのだ。そんなさみしさと同時に、夏休みに感じた「どこまでもいけそうな無敵感」と歌を通して再会できた喜びが込み上げてきて、思わず涙が出そうになった。

昨年7月に発表された楽曲“パプリカ”は、作詞作曲およびプロデュースを米津が手がけ、小学生5人組ユニット・Foorinが歌唱を担当。今、子供たちの間でも大人気の作品だが、今回はNHK『みんなのうた』8・9月のうたとして米津のセルフカバーが解禁となった。可愛らしい振りが付いていて、どこか童謡チックな雰囲気もあるFoorinの“パプリカ”に比べ、セルフカバーは祭囃子や民謡を彷彿させる一味違ったアレンジに仕上がっている。そして、加藤隆が手掛けた心温まるアニメーションとあわさることで、ノスタルジーが鮮やかに蘇ってくるのだ。同じ曲でもそれぞれの良さがあるから、どちらも繰り返し聴きたくなる。

新しい“パプリカ”を聴いて、あなたはどんな夏の日を思い浮かべただろう? それはきっと悲しい思い出なんかじゃなく、ほんのり切なくて、でも胸の奥でずっと大切にしていたい風景のはずだ。初回放送をうっかり見逃してしまったという人は、『みんなのうた』の公式サイトにショートバージョンの動画と放送予定が掲載されているので、是非チェックしてみてください。(渡邉満理奈)
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