“セルアウト”ってどういう意味だよ? 俺たちは反逆者の中でも反逆者なんだ、他所の奴らのことはあんまり気にしないでおこうぜ
さまざまなことに挑戦してきたメタリカならではの最新企画が、世界各地の映画館で上映される『メタリカ&サンフランシスコ交響楽団:S&M²』だ。サンフランシスコのチェイス・センターのこけら落とし公演として行われたライブで、99年に同じ組み合わせで出したライブ・アルバム『S&M〜シンフォニー&メタリカ』が20周年ということもあって行われたスペシャル・パフォーマンスである。
ベースがまだジェイソン・ニューステッドだった時代の『S&M〜』はグラミー賞も受賞したし、映像版も出されているが、正直言ってコアで初期からのメタリカ・ファンの間での評判は決して良くはない。もちろんメタルとクラシック・オーケストラというだけで水と油だし、“メタル・マスター”や“バッテリー”といったエッジの鋭い飛びっきりの代表曲にストリングスが絡む世界に違和感を覚える人たちがいても当然だろう。
なぜ、そんなことを……そんな素朴な疑問に力強く答えるのが、今回のジェイムズ・ヘットフィールドのインタビューだ。いつもストレートに、余計な演出や飾りなく話す彼の話は面白いのだが、今回のは、特にファンを驚かせ続ける挑戦について、自分たちの意図を明確に語ってくれ、実に刺激的だ。あんなことも、あれやこれやも、既成概念に狭められることなく挑戦し続けるメタリカの根本姿勢について語ってくれている。
それこそ、このバンドがキング・オブ・キングスの座に居続ける秘密でもある。ルー・リードとアルバムを作ってみたり、南極でライブをやったりと驚かされてばかりいるが、それもメタリカというバンドならではの無二の宇宙を形成する重要な一部だ。
そんな全てを中央にいて受け止め、更に全員を奮い立たせて前進させているのがジェイムズだ。この充実しきった言葉を読んでいると、まだまだメタリカの玉座は揺らぐことがないだろう。(大鷹俊一)
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