雫がポルカのバンド構造と楽曲で示す令和ならではのリーダー像とは?

雫がポルカのバンド構造と楽曲で示す令和ならではのリーダー像とは?
常に何かを企んでいる。それが、ポルカドットスティングレイ・雫(Vo・G)の印象だ。楽曲制作のみならず、アートワークやMVのディレクションまで手掛け、ゲームクリエイターの肩書も持つマルチな存在。彼女の手から生み出される作品には、いつだって新しい何かが仕込まれている。「次は何を見せてくれるのか?」雫の一挙手一投足には、いつだってそんな期待のまなざしが集まる。

ポルカがリスナーのニーズのリサーチを基に雫によって戦略的に展開されていることは、すでに有名な話だ。
雫はゲームクリエイターとしてチームを率い、ディレクションしたゲームをApp Storeのランキングで1位獲得に導いた経歴を持つ。そんな彼女にとって、バンド活動が単なる音楽活動ではなく、戦略を練り、ロードマップを引き、プロモーションを仕掛けることまで含まれるのは、ごく自然なことなのだろう。その手腕はバンド結成から約2年半でメジャーデビュー達成という実績が証明している。もはやアーティストという呼び名だけではおさまらない、ポルカを成功へと導く知将だ。

“リスミー”をけだるげに歌い上げたかと思えば、“オトシマエ”で挑戦的に掻きまわす。MVでは自らを素材に七変化。“エレクトリック・パブリック”では怪盗に扮し、“DENKOUSEKKA”では「けたたましく動くクマ」というキャラクターと組んで制服姿で軽快に踊ってみせる。常に新しい切り口を提示することで、ファンの関心を掴んで離さない。
≪忙しいのは好き/立ち止まるのは嫌いよ≫(“7”)や≪大体夢は夢のまま終わっていくようで/私にそんな暇はない≫(“ドラマ”)が歌う通り、雫とポルカは停滞することなく駆け抜けていく。


熱いことをやりたいバンドなら趣味でいい。そう言い切る雫のプロデュースは、潔く「売れるため」に振り切っている。けれど、それは単にビジネスライクなわけではない。「音楽でも一番になりたい」というピュアな貪欲さと、「やるからには人生を賭けて」と伝えているバンドメンバーを背負う覚悟があるからだろう。
“バケノカワ”では、その思いがポップに歌われている。
≪退屈は嫌い/二番目なんてヤダ/全部欲しい、見たい/同じなんて意味がない≫

簡単なゲームをクリアしてもつまらない。難易度の高いミッションをクリアして初めて得られる達成感がある。目標が高いほどに雫の瞳は輝くのだろうし、私たちは雫が次に繰り出す驚きに期待して、もっともっと目が離せない。(満島エリオ)

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