モーニング娘。が「アイドルを超えた存在」としてシーンの垣根を飛び越え続ける5つの理由

モーニング娘。が「アイドルを超えた存在」としてシーンの垣根を飛び越え続ける5つの理由
「アイドルが憧れるアイドル」として名前が挙がることの多いハロー!プロジェクト。
特にその中でも最も長い歴史を持つモーニング娘。は、もはや「アイドルを超えた存在」とも言われている。
彼女たちはさも当たり前のように様々なことを涼しい顔をしてこなしながら、時に最高の笑顔を私たちに向けてくれる。
なぜそういられるのか――その秘密を様々な角度から検証してみたい。(ウエハラミキ)


■楽曲を深く追求する姿勢は紛うことなき「歌手」である

女性アイドルといえば、かわいらしい衣装で笑顔を振りまきながら歌い踊っている姿をイメージする人が世間一般には多いかもしれない。ルックスが好みだったり歌やダンスに秀でている人がいたら目を引くことはあるかもしれないが、その楽曲との向き合い方においてモーニング娘。は特別な存在だと言っていいだろう。
モーニング娘。は歌やダンスのスキルアップのための努力はもちろんだが、それ以上に楽曲を伝えるための「心」を大切にしているのである。
新曲の歌詞を渡されるとメンバーみんなで歌詞の世界観や意味を話し合うというし、特につんく♂が喉頭がんで声帯を摘出した際、当時リーダーに就任したばかりの譜久村聖とやり取りしたメールに「心を込めて、愛を込めて歌うんやで」と綴られていたというエピソードは、彼女たちにとって歌に対する姿勢を改めて考えるきっかけであり、今に繋がる大きなエールであったに違いない。

■「一緒にやる」より「魅せる」ダンス

50枚目のシングル“One・Two・Three”以降、EDMサウンドへ舵を切ったモーニング娘。だが、サウンドと同時に注目されるようになったのはそのダンスであった。
誰にでもすぐ真似できるような振り付けで一緒に楽しめるキャッチーさはもちろん大事で、アイドルには必要な要素である。モーニング娘。で言えば“LOVEマシーン”や“恋愛レボリューション21”はまさにその代表だろう。
だが「フォーメーションダンス」と銘打たれたそれは、目まぐるしく立ち位置を変え、歌詞に合わせて「?」や「×(バツ)」のマークを作るなど、初めて見たオーディエンスが驚嘆せずにはいられない、とても素人には真似できないようなショーアップされたものだった。
元はと言えば鞘師里保、石田亜佑美というダンススキルの高い二人と、ダンスがあまり得意ではないメンバーの差をカバーするために「踊っているように見えて踊っていない振り付け」でグループ全体が上手に見えるように考えたもの、とつんく♂は語っているが、今ではすっかりモーニング娘。の代名詞である。
フォーメーションダンスに取り組むうちにそれぞれのダンススキルも向上、レベルの高いパフォーマンスとなっているのも過去のライブ映像などと比べて見てみれば明らかだろう。


■アスリート顔負けの無尽蔵のスタミナ

初出演となったROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018では夏の野外のステージで約40分間ノンストップでパフォーマンスを繰り広げたその姿に、オーディエンスは衝撃を受け、彼女たちを「体力おばけ」と言って称えた。
その源となるのは毎年春と秋に行われるコンサートツアーであろう。
1日2公演を週末2日連続で行うのが慣例で、このスケジュールが約2ヶ月半から3ヶ月続く。
少人数によるユニット曲などがあれば出番まで少しは休める時間もあるが、過去には全曲全員でパフォーマンスしたセットリストもある。
このようなハードなステージを何度もこなすことで、加入当初はコンサート後半になるとバテていた新メンバーも次第に余裕の表情に、というような成長を目の当たりにすることもできる。
そんな彼女たちでもROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019のGRASS STAGEでのパフォーマンスに向けてはスタジオの暖房をつけて通しリハーサルに臨んだという。
賞賛を受けてもなお、さらなる高みを目指す向上心とストイックさが窺えるエピソードである。

■歴史と伝統、先輩へのリスペクト、現役としてのプライド

結成20周年を記念して発売されたミニアルバム『二十歳のモーニング娘。』に“WE ARE LEADERS! ~リーダーってのもつらいもの~”という曲が収録されている。
歴代リーダーが全員参加しており、それぞれのキャラクターや在任時のグループの雰囲気が前山田健一によって見事に歌詞に表されているのだが、現リーダー譜久村聖のパート、《20年という重み/プレッシャーで負けそうだ/壁にぶつかるたび/感じる 思い出す 先輩たちのあたたかさ》は彼女に限らず、現メンバー全員の想いであるように感じるのだ。
卒業と加入を繰り返し20年以上続いているグループなど日本の音楽シーン、いや世界も見渡してもモーニング娘。以外にいない。
今でこそ多くのアイドルグループがこのフォーマットに倣ってはいるが、モーニング娘。はその先頭を走り続ける存在であり、グループの歴史や伝統の重みを一番理解している。
「先輩たちがいるから今の自分たちがいる」というリスペクト、「だからこそ現役として先輩たちに恥ずかしくないような活動をする」というプライドが彼女たちの中には同居しているのだ。

■認め合い、補い合い、活かし合うチームワーク

モーニング娘。が結成され、その後の活動も『ASAYAN』(テレビ東京系)で伝えられていた頃にあった、「センターになりたい」、「ソロパートがたくさん欲しい」というような闘争心剥き出しの、バチバチとしたやり取りは最近ではあまり表に出てこなくなった。
それ以上にお互いのキャラクターや個性を理解し、認め合い、置かれた立場や状況を踏まえて立ち回っているように映る。
例えば帰国子女である野中美希はその英語力でグループに貢献したいと加入当初から語っていたが、さらなるレベルアップを目指して2018年末に活動を休止し、短期留学をした。
また、コンサート中にアクシデントでステージに立てないメンバーがいる際は、舞台袖にいる短い時間で歌割をどうカバーするか相談したり、時にはステージ上でアイコンタクトのやり取りをしている。
ダンスのフォーメーションについても穴が空かないようにそれぞれの判断で立ち位置を調整するなど、その対応力・チームワークも目を見張るものがある。
個のスキルアップに励み、得意分野を活かしたソロの仕事も全力で取り組む。ステージではグループとしていかに完成されたパフォーマンスを作り上げるかを一番に考え行動する。
「自分がこのグループのためにできることは何か」を体現しようとしているのが今のモーニング娘。なのだ。
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