4s4ki、東京発、変幻自在のオルタナポップ

『ROCKIN'ON JAPAN』最新号(2021年1月号)New Comerより

時代の移り変わりとともに「東京」を象徴するアーティストも様々に出現するが、まさしく今のTOKYOを音楽でリアルに、時にファンタジックに発信するアーティストが4s4ki(※2019年3月、「アサキ」から名義表記を変更)ではないかと思う。作詞・作曲からアレンジ、トラックメイクまでを自身でこなし、欧米の最先端のサウンドをナチュラルに吸収しながらも、TOKYO発だからこそのキッチュな世界観を描き出す。そのオルタナティブな音楽性が今、日本のみならず海外からも注目を集めている。今年8月にリリースされた“I LOVE ME”のMVは、この原稿を書いている11月時点で再生回数が88万回を超えているが、そのコメント欄は海外からの好意的な言葉で溢れている(“おまえのドリームランド”のMVもしかり)。


そんな4s4kiの1stアルバム『超怒猫仔/Hyper Angry Cat』が12月16日にタワーレコード限定でリリースされる。全24曲収録の2枚組というボリュームで、4s4kiの魅力を余すところなく網羅した作品だ。新曲でありアルバム表題曲でもある“超怒猫仔 feat.Mega Shinnosuke,なかむらみなみ”をまずは聴いてみてほしい。チープな8bitサウンドを取り入れながら遊び心満載のポップワールドを構築しているこの楽曲。現在の日本のシーンにおいて、4s4kiの感性が、いかに唯一無二なものかを瞬時に感じ取れるはずだ。かと思えば、Snail’s Houseとの共作“lover”で聴かせるドリーミーなエレクトロポップや、セルフで作り上げた“escape from”で響かせる切ない歌声、Masayoshi Iimoriとのコライト“35.5”で炸裂する高速ハイパーポップなど、その音で、歌で、めまぐるしく変化していく風景を見せてくれるかのようで、その速度感や色彩感は、まさにTOKYO発。思うままに吐き出されているかのようでいながら、見事に韻を踏み叙情的に綴られるリリックにも独自のセンスを感じさせる。


東京から世界へ。新たな可能性を感じさせる4s4kiのポップワールドは変幻自在。今後の動きに要注目!(杉浦美恵)


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『ROCKIN'ON JAPAN』2021年1月号
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