同作は、東日本大震災の原発事故で一時、人口がゼロになった街である福島県南相馬市小高にて酒蔵を立ち上げた「haccoba -Craft Sake Brewery-」の呼びかけにより制作がスタート。映像では「D2021」メンバーのGotchと永井玲衣が現地へ訪問し、haccobaをはじめとして、ふたばインフォ、双葉屋旅館、小高パイオニアヴィレッジなど、様々な復興の拠点や発信地となっている場所を巡り、出会いと対話を重ねているという。現地の人々はこれまでに何を思い今に至ったのか、またそこからどのような未来を描いているのか、来訪者ふたりが対話の中で何を感じ、どう今後へ繋げるのかなど、震災11年目の今を起点とし、相関する人たちの過去と未来をありのままに映し出した約60分の作品となっているとのこと。
あわせて、現地の酒蔵・haccobaとのコラボレーションで生まれた酒『土-D-』の醸造背景や味わいなどの詳細も発表された。同商品は、「D2021」の呼びかけで集結した5人のアーティストが作曲した「微生物に聴いてもらう音楽」を、発酵の過程で微生物たちと一緒に聴きながら酒を醸し、甘み、酸味、渋み、苦味、旨みがバランスよく交わり、瑞々しくも深みのある仕上がりになったといい、醸造の過程では、南相馬市小高の有機農家が育てた米や、音楽による微生物の変化をよりまっすぐに表現するため、「全麹」という製法を用いたとのことで、通常の日本酒づくりでは原料となる米の20%を米麹にするのに対し、「全麹」はすべてを米麹にして仕込むことで、酒づくりの要となる麹菌の個性を存分に表現することができるほか、米麹を均一ではなく4つのタイプにつくりわけ、それぞれのよさを活かせるように仕込んだとのこと。
なお、微生物に聴かせた「D2021」オリジナル楽曲もアルバムとしてパッケージ化し、5月24日(火)より酒とセットで一般販売が開始となり、5月22日(日)開催のライブイベント「D-composition」では会場内にて数量限定で販売される。
【『⼟-D-』 コメント】
⼤震災と原発事故以来、様々な思いを抱えながら歩んできた⽶農家や酒蔵がありました。苦難を乗り越えた営みの結晶とも⾔えるお⽶を使って、南相⾺に移り住んだ若者たちが取り組む酒造りは、お酒の製造を越えて現地のコミュニティを温め、新しいつながりを育むような活動でした。
「彼らの豊かなつながりと共に振動するような⾳楽を鳴らしたい。」⾳とその振動を微⽣物たちに聴かせて、特別なお酒を作るべく企画したのが今作品です。
微⽣物たちがどんな⾳に反応するのかを想像したり、出来上がったお酒を楽しむ⼈たちについて思いを馳せながら、⾳楽家それぞれが楽曲を制作しました。
【Utena Kobayashi コメント】
発酵という変化をあたたかな優しい時間の中で過ごしてほしいなと思い今回の⾳楽をつくりました。
【岡⽥拓郎 コメント】
⼈が聴くことを前提としない、植物や⽔、⽝や猫のために⾳楽を作れないかなあ、なんてぼんやり考えていたところ、ちょうど今回の麹に聴かせる⾳楽というお題をいただき制作。ヤイリのギターは、組込みの際に⼤⾳量のクラシックをギターに聴かせてあげることで、⽊材⾃体が⾳楽の響きに馴染む。バッハをはじめとしたクラシックを麹に聴かせると麹の活動が活発になるなんて話も何処かで聞いた。⾳楽は空気の振動。麹が震える事で何が起こるか麹を飼ってる訳ではないので残念ながらリファレンスを得られていないが、とにかく振動がウネリを上げやすいような仕掛けを考えながら、美味しいお酒になあれと祈りを込めながら作りました。
【Gotch コメント】
麹や酵⺟に聞かせる⾳楽について考えていたところ、お酒の仕込みのときに歌う「酛摺歌」をhaccobaの皆さんから教えていただきました。福島の様々な場所で採取した⾳や、haccobaのタンクの中で録⾳した発酵するお酒の⾳に「酛摺歌」サンプリングしながら、⼈とモノと場所と時間を丸っと編み上げて捩るような、そんな⾳楽を想像して制作しました。
※「酛摺歌」提供︓惣誉酒造株式会社
【SubtleControl コメント】
作曲をする前に、まずは麹菌のことが知りたいと思い、発酵についての講義を⾒たり、本を読みました。とても不思議な事ばかりで、その奥深さに驚嘆しました。
⼯程を経て、いろんな要素が変化していく。いろいろな変化がさまざまな現象を起こし、次から次へと繋がっていく。その変化と繋がりの様⼦に、⼈間にとっての時間の感覚を加えたものを⾳にしたいと思いました。ここでの時間の感覚は「⽼いる」とは違う、ただ淡々と時が過ぎるような⼤きなイメージです。⼈が飲み終えた後もまだまだ変化は続き、どんどんと繋がっていきます。この⾳楽も変化と繋がりが同時に起こる構成になっています。ひょっとしたら、前後の曲とも変化と繋がりの現象が起きているかもしれません。楽しんでいただけたら幸いです。
【Shuta Hiraki コメント】
今回の制作では「⽿を持たないはずの酵⺟が⾳楽に反応する」というのは⾳の振動としてのいわば物理的な側⾯、⾳楽としての何かしらの構造的美点=芸術的側⾯のどちらが影響しているのかという関⼼を起点に、おそらくそのどちらもが分かちがたく複雑に影響しているのでは、という個⼈的な思いを反映させることを⽬指しました。具体的には⾳楽の物理的な側⾯=調律を独⾃の純正律に設定したうえで、そこから複雑な(揺らぎやうなりを持った)響きを得ることを試みています。
●作品情報
『土-D-』
5月24日(火)発売
・販売予定価格:8,800円(税込)
・内容量:500ml/ 本
(D2021制作のオリジナル楽曲アルバム『土-D-』付き)
・アルバム参加アーティスト(50音順)
Utena Kobayashi
岡田拓郎
Gotch
SubtleControl
Shuta Hiraki
●主なラインナップ
・Mr.Children
・BUMP OF CHICKEN
・SEKAI NO OWARI
・清水依与吏×尾崎世界観
・星野源
・ほかラインナップはこちら
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