U2、アウン・サン・スー・チーに祈りを捧げる

U2が8月15日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われたライブで、先日自宅軟禁を1年半延長されたミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーの安全を祈った。

U2はこの9年間スー・チー女史の解放を求めてたびたび運動を行っている。2000年のアルバム『オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド』からのシングルで、グラミー賞を受賞した“ウォーク・オン”は彼女のために書かれた曲。

アウン・サン・スー・チーは1990年に国民民主連盟のリーダーとして選挙で党に勝利をもたらしたが、軍によって首相になるのを妨害され、それ以来、20年のうち14年間を自宅軟禁の状態で過ごしている。

この5月には軟禁の期限切れを迎えるはずだったが、自宅裏の湖から泳いで侵入してきたアメリカ人ジョン・イエタウを通報せずに滞在させたとして、期限を1年半延長された。このまま軟禁状態が続けば、スー・チーは2010年に行われる総選挙にも関わることができなくなる。

イギリス第2夜を迎えたU2の「360°」世界ツアー。グラスヴェガスがサポート・アクトを務めたこの夜、スタジアムを埋め尽くした8万8千の大観衆に向けて、ボノはこう話した。「類まれな女性が20年のあいだ自宅軟禁されている。彼女の罪は、選挙に出たら勝ってしまうということなんだ」

「彼女の名前はアウン・サン・スー・チーという。ロンドンからミャンマーに向けて、彼女の安全を祈りたいと思う」

それからボノがオーディエンスにライブ中に配布されていたスー・チーのお面を被るように言って“ウォーク・オン”に入ると、ステージ上をボランティアの参加者たちがお面をつけて行進した。

元レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジや俳優のケヴィン・スペイシー、元スパイス・ガールズのメラニー・チズムらも見守る中、「爪(The Claw)」と呼ばれる巨大ステージで行われたこの日の2時間のセットでは、過去のヒット曲に加え、新作『ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン』からもエレクトロ・バージョンの“アイル・ゴー・クレイジー・イフ・アイ・ドント・ゴー・クレイジー・トゥナイト”など7曲が演奏された。

曲の途中ではご機嫌な様子でローリング・ストーンズやフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、ビートルズ、レッド・ツェッペリン、ブラック・グレープらの曲のメロディを口ずさんでいたボノは、何度もロンドンの街に敬意を表し、「もしこの『爪』がオリンピックに必要だったら、ツアーが終わったあとにお手ごろな値段で売ってあげるよ」などと冗談を言った。

ボノが観客に携帯電話を掲げるように言い、スタジアムに無数の光が灯った後で始められたラスト曲は“モーメント・オブ・サレンダー”だった。

セットリスト
1.Breathe
2.No Line On The Horizon
3.Get On Your Boots
4.Magnificent
5.Beautiful Day
6.Until The End Of The World
7.New Year's Day
8.I Still Haven't Found What I'm Looking For
9.Stay
10.Unknown Caller
11.The Unforgettable Fire
12.City Of Blinding Lights
13.Vertigo
14.I'll Go Crazy If I Don't Go Crazy Tonight (Remix)
15.Sunday Bloody Sunday
16.Pride (In The Name of Love)
17.MLK
18.Walk On
19.Where The Streets Have No Name
20.One
21.Bad
22.Ultraviolet (Light My Way)
23.With Or Without You
24.Moment of Surrender

(c) NME.COM / IPC Media 2008/2009
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