ゼム・クルックド・ヴァルチャーズのニュージーランド公演 当選者レポートが到着!
2010.02.14 15:00
年末年始にかけて当サイトで募集を行ったゼム・クルックド・ヴァルチャーズのニュージーランド公演ご招待企画。多数の応募の中から見事航空券・宿泊券付きチケットを勝ち取った当選者の方から、1月30日にオークランドで行われたライブのレポートが届きました。
「正統派でゴツゴツした王道のロックが好まれる土地として把握していた、オセアニア。
数日後に控えたAC/DCのツアーポスターが街中に溢れ、ライブ会場に向かう人の中にはLed Zeppelin Tシャツを着ているファンをよく見かけた。会場近くのカフェでは、かなり若い店員さんがLed Zeppelinファンだと言っていた。
ニュージーランドも、例にもれず、70年代も2000年代の音楽も同じ棚に並べ区別せず、カテゴライズせず吸収していくオーディエンスという個人的イメージが、うなずける場所だった。
Led Zeppelinファンだと言っていたカフェの店員さんには「Them Crooked Vulturesのライブを見られるなんてラッキーだね!」とも言われた。いやぁ本当に幸運なんだよ私たちは。彼らのライブを目撃することはもちろん、このニュージーランドの地にいる事自体もラッキー以外の何ものでもないのだから。
午後8時だと言うのに外はまだ明るい。続々と酔っ払いともファンとも区別できない人たちが会場に集まってくる。オープニングのバンドは、ループを描くように、しかしどんどん力強くドラムやシンセが加味され、竜巻のように舞い上がるサウンドで会場を盛り上げていった。
いよいよThem Crooked Vultures。ベクターアリーナにはキラキラとしたビーチサンダルで来ている10代の女の子から、生粋のロックファンであろう初老の紳士まで老若男女が集まり、凄まじいライブが始まった。
バウンサー級の兄さんファンたちをも揺らす荒々しいリズム、ビートが肝だったように感じた。
とにかく、畳み掛けるドラミングがたくましく、そして重い。
ただそれだけではない。彼らのサウンドそれ自体が肉厚ジューシーなのだ。
どこかクラシックで、どこかモダン、彼ら各々のバンドではないが、3人だからこその音、絶対的なロックである。
変則的なリズムで、こちらを油断も安穏もさせない、つまり飽きさせないのだ。
くどさは無く、そこここにアレンジが効いている。
決してみんなでシンガロングできるような安易なメロディではないが、圧倒的な包容力を持っているバンドだった。
CDの曲の収まり方とは格段に違い、あらゆる枠をぶち壊していく力強さがあった。
枠なんて始めからないのだと言わんばかりのパワーで、しかしライブを心から楽しむ余裕さえ垣間見せながら、俺たちは、「カバーバンドでないから」と、「Warsaw Or The First Breath You Take After You Give Up」の大団円ジャムで終わった。CDの曲と+1曲、あっと言う間の1時間半!
いつも聴いていたはずのものなのに、なんだこの充実感は!
CDを再現しようとするライブではなく、生ものであるライブをいかに扱うか熟知した彼らの力量に打ちのめされた説得力のあるライブだった。
ありがとうThem Crooked Vultures。ありがとうSonyMusic。ありがとうロッキンオン。ありがとうニュージーランド。
田沢 真梨子」