モリッシー恒例「この新人がクル」。最新候補はブライトンの4ピース

モリッシー恒例「この新人がクル」。最新候補はブライトンの4ピース - モリッシー 09年作 『イヤーズ・オブ・リフューザル』モリッシー 09年作 『イヤーズ・オブ・リフューザル』

モリッシーはまだレコード契約にもありついていない新人バンドの女性ボーカリストを「ここ数年のイギリスでは最高」の逸材と絶賛している。

そこまでモリッシーが持ち上げるのはブライトン出身のドール・アンド・ザ・キックスとそのボーカリストのハンナ・スキャンロン。

「ドール・アンド・ザ・キックスを初めて観た時に、ぼくはどれほどの善意をもってしても、このバンドから目を背けることがままならなかった」とモリッシーは説明している。「ハンナがどれほどの器量であるかぼくは誰からもなんの説得もされえない。ハンナはここ数年のイギリスでは最高の歌い手なのだから。ハンナは1曲をまるまるそのまま息継ぎを聴かせることなく歌いきってしまうし、バンドのみんなもハンナの自信を素晴らしい演奏で完璧に仕上げている。メンバーがお互いに自分のよさを引き出していくそのさまは、ほかのどんなグループと較べてあまりあるものを聴き手にもたらしていく。柔らかな調べは力強い調子に勝るとも劣らない説得力を誇る。このグループはこれまで受けてきた関心よりもはるかに大きく真剣な扱いに値する」。

さらにモリッシーはドール・アンド・ザ・キックスを自身のライブのサポートにも招聘し、いまだにレコード契約にありついていないことに驚きを隠せないと表明している。

「このグループがまだ契約していないということは信じがたいほどに奇怪な事態だけれども、ぼくが考えるかぎりでは、『Xファクター』などをよしとするような文化は純粋な音楽を存在として殲滅していく文化であって、その対象はドール・アンド・ザ・キックスでも、あるいはぼく自身でもおかしくはないのだ」とモリッシーは説明している。

「これはなにを意味しているのかというと、ぼくが思うに、近頃ではこうした文化から排除されているということはそれ自体がひとつの殊勲であって、音楽の世界から忠誠を誓われていない者は音楽の世界に忠誠を誓うこともできないということなのだ」

こうしたモリッシーの賛辞にドール・アンド・ザ・キックスのハンナは「光栄です」とNMEに語っている。

「こんなふうにまで褒めてもらって、おまけにその褒めてる人があの誰もが認めるインディーの帝王にして今も現役として影響力を発揮しているモリッシーだなんてことになったら、嬉しくない人なんていないでしょ!」とハンナは説明する。「誰であってもこれはとてつもないねぎらいだと思うし、とっても光栄に思います」。

さらにハンナはこれまで5年ほど活動を続けてきたバンドは前のマネージャーを通してモリッシーに紹介されたと続けた。

「そこである時、わたしたちのライブを観に来てくれたのね。まさかモリッシーが本当に来るとは思っていなかったし、おまけにずっと居てくれるとは夢にも思わなかったし。モリッシーはたくさんのギグで、最初の数曲だけ聴いてとっても残念な表情で帰っていくっていう話もよく聞くし。けれども、その時モリッシーは最後まで居てくれて、しかも、前の方に移ってきてもいたのね」とハンナは振り返る。

「最後にはわたしたち全員ひとりひとりと話し込むことまでしてくれて、そこでわたしたちの音楽とそのどこが気に入ったのかを話してくれたのね。あらゆることをすごいディテールにまで気づいている人なの。その時、自分が想像していたような人とは全然違っていたって思ったのを憶えてるな」

また、モリッシーの前座を務めることになって、モリッシーのみならず、モリッシーのファンにもまた驚かされたとハンナは語る。

「モリッシーのファンはほかのどんなタイプのファンともかなり違ったファンなのね」とハンナは続ける。「わたしたちは最悪の場合、ファンからの敵意を、よくて無関心をもって迎えられるものだと覚悟しろと言われていたんだけど、それがあまりにも温かく迎えられてものすごくショックだったし、そのサポートが今もってずっと続いているのね。わたしたちはあのツアーで現在のわたしたちへと成長することができたのね。あれ以来、まったく違ったバンドのように音を出し、演奏し、態度も変わって、どのギグも強烈になって、純粋に刺激的になっていったのね」。

ドール・アンド・ザ・キックスのマイスペースはこちらから(→http://www.myspace.com/dollandthekicks)

(c) NME.COM / IPC Media 2010
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