リンキン・パーク新作『リヴィング・シングス』に寄せたマイク・シノダのテキストを全文公開

リンキン・パーク新作『リヴィング・シングス』に寄せたマイク・シノダのテキストを全文公開 - リンキン・パーク『リヴィング・シングス』6月27日発売リンキン・パーク『リヴィング・シングス』6月27日発売

6月27日に5作目となる新作『リヴィング・シングス』を発表するリンキン・パークだが、この新作に寄せてマイク・シノダが自身のブログで長文のテキストを寄せている。以下、その全文を掲載します。


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月曜日の早朝、ニュー・シングル「バーン・イット・ダウン」がリリースされます。アルバム『リヴィング・シングス』の先行予約も始まります。アルバム・ジャケット、収録曲目、ツアー日程なども発表されます。我々バンド・メンバーも今週の動きを楽しみにしています。

皆さんは僕らの今までのストーリーをよくご存じだと思います。僕らは、それぞれが好きな色々なタイプの音楽を集めて融合させるというスタイルでバンドを構成してきました。最初の2枚は努力、忍耐、知恵、運を集結し、それを道具箱として、その当時僕らが作れたベストな楽曲を作った結果でした。

僕らの成功は音楽業界が岐路にあったタイミングで訪れました。業界が下降し、大きく変革する前に、我々は立ち位置を確立する事が出来ました。『ハイブリッド・セオリー』は、その年に全世界で最も売れたアルバムになりました。『メテオラ』のヒット後、我々は少し引いた位置から将来を考える必要があると思いました。バンドに将来があるように。成功の根源となった音楽から離れてみる事も必要だと決断しました。

この決断を友人に説明した所、なかなか理解を得る事は出来ませんでした。彼は言いました。「ビッグマックとかiPodを発明して、売るのをやめちゃうみたいなもんだぜ。なんでそんな事をするんだ?」

僕らのようなバンドにとって、パーソナル、そしてアーティスティックな決断がバンドにも大きな影響を与えるという事を周囲に説明するのは難しい事でした。2010年『ア・サウザンド・サンズ』を完成させた後、インタビュー、そして自分に対して、この事をキチンと説明するように努めました。楽曲が出来上がる前から、バンドのメンバーは全員、このアルバムが方向転換となり、チャレンジとなると感じていました。聴いた人が、好きか嫌いか、意見が分かれるアルバムになると。バンドのメンバーがそれを理解して作っているなら、僕はそれでもいいと思っていました。しばらくの間、当初のリンキン・パーク・サウンドから出来る限り離れる必要があったのです。そうしなければ、同じような音楽を作り続けて、どこかで終わりが来ると思ったからです。

考えてみれば、『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』、『ア・サウザンド・サンズ』を作っていた頃、僕は最初の2枚のアルバムにあるような曲のデモを持って行った事がありました。そういうデモは、必ずバンドのメンバーに不評でした。そして、僕も結果的にそれに賛同しました。僕は新しい、未知の音への旅路が好きです。実験を重ねるごとに、新しい曲作りの方法を見出し、僕らの道具箱は新しい道具で満たされました。それぞれの曲で、カッティング・エッジな方法と今までのクラシックな方法の両方を試しました。始めは全く違う方法からトライします。目隠しをした状態でヴォーカルに挑むような感覚です。そして1年前、僕らの道具箱が新しい道具で溢れている事に気付きました。

しかし、僕らは何かを避けていました。

キャリアを歩み始めた頃の僕らは経験不足でした。今となっては後悔している決断もあります(深く後悔しているものもあれば、少しだけのものもあります)。そして、昔、髪の毛を真っ赤に染めていた事のように、全く後悔していないけど、もう今は絶対にやらない事もあります。それらの全てが絡み合って、バンドの中で過去に対する不安が芽生えましたが、しばらくそれと向き合う事が出来ていない時期がありました。

ラッキーな事に、同じ不安を感じていたのは、僕だけではありませんでした。昨年、あらゆる場面でこの話題が持ち上がり、バンド内でどうやって今まで試してきた色々な音楽をつなぎ合わせるかを話し合いました。積み上げてきた曲作りの色々なアイディアを、どうお見合いさせるか。そして、『リヴィング・シングス』が形になるにつれ、大きな変化が見えました。それは、道具箱の中にある一部の道具ではなく、全ての道具を使おうという意欲が生まれた事でした。全てを一気に使うのです。

既にニュー・アルバムを初期の作品と比較されている人がいます。僕は、問題はどう比較するか次第だとは思います(ギターじゃないですよ)。僕にとってそれは『ハイブリッド・セオリー』に立ち返る事です。あのアルバムみたいなものを作るのではなく、6人の色々な音楽の志向を持つメンバーが集まり、それらのサウンドを一つにブレンドするというアイディア。それこそが僕らのバンドの基礎なのです。
マイク・シノダ

原文はこちらから。
http://mikeshinoda.com/
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