ザ・ビートルズが1962年にEMIと契約する前にデッカ・レコードとのオーディション用に制作したデモ・テープがオークションに出品されるという。
音源はこれまでリリースされたことはないが、音質は非常によいものだとのことで、オークションを開催するフェイム・ビューローのテッド・オーウェンは『ザ・テレグラフ』紙に「まったくもってユニークな音源ですし、音質のクリアーさも透明そのものですよ」と語っている。
「バンドはこの音源の中でバディ・ホリーやチャック・ベリーなどのアメリカの音楽スタイルをコピーしています。ロックンロールの時代でしたし、名をなそうとしている人なら誰もがこのスタイルを模倣していたものですから」
ビートルズは結局、デッカとの契約を断られることになり、この時のレーベルの幹部、ディック・ロウはギター・ミュージックなど「もう廃れかかっている」と判断したとして知られていて、ロウはビートルズ側に「ショー・ビジネスでやっていける将来性はまるでない」とさえ伝えたという。その数か月後にビートルズはEMIと契約し、間もなくして世界最大のロック・バンドとなり、デッカはその後、ローリング・ストーンズと契約することになった。
この時の10曲入り音源はマネージャーのブライアン・エプスタインが費用を負担して制作したもので、最終的にブライアンはこの音源をEMIの幹部に託すことになったという。その後この音源は2002年に、ハード・ロック・カフェで陳列されるアーティスト・グッズの調達を任されているバイアーに売られることになり、今回そのバイアーが出品したのだという。落札価格はおよそ3万ポンド(約405万円)かと見込まれている。
(c) NME.COM / IPC Media 2012