ロックの殿堂でラッシュのプレゼンターにフー・ファイターズの面々が登場

ロックの殿堂でラッシュのプレゼンターにフー・ファイターズの面々が登場

4月18日にロスアンジェルスで開催された今年のロックンロール名誉の殿堂入り式典でラッシュ、パブリック・エナミー、ハート、ランディ・ニューマン、アルバート・キング、ドナ・サマーらが殿堂入りを果たした。

ラッシュの殿堂入りではフー・ファイターズのデイヴ・グロールとテイラー・ホーキンスがプレゼンターを務め、ラッシュのファンの歓声にデイヴは次のように冗談で応えた。

「いつからラッシュってこんなイケてるものになったんだよ?」

するとテイラーがラッシュを次のように称えた。

「ドラマーなんかに歌詞を書かせた最初のバンドって知ってる? ラッシュだよ。意味わかんないよね! そうやってラッシュは決まり事を全部破ってったんだよね。でも、それがロックンロールってもんだろ?」

ラッシュの前には映画監督のスパイク・リーがハリー・ベラフォンテとともにパブリック・エナミーの殿堂入りを紹介した。

「1986年にこの青年たちは登場して当時勃興しつつあったアメリカのラップという音楽的な勢力のなんたるかをすべて書き替えてしまったんだ。そして彼らは世界でも最も影響力を誇るアーティストのひとつとなったんだよ」

一方、パブリック・エナミーのフレイヴァー・フレイヴはチャックDへの感謝を次のように表明した。

「ずっといいレコードとなる作品を書き続けてありがとう……やっぱりおまえが原動力だから」

それからフレイヴは自身のラップ・スタイルを「テンション高くて腹が立ってくるもの」だと説明し、デビューした時のレーベル、デフ・ジャムの創業者のひとりであるリック・ルービンへの感謝を表明した。さらにフレイヴは87年のデビュー以来、自身のトレードマークとなっていた大きな時計のネックレスの着用をこの日を境にやめるとも宣言し、時計は名誉の殿堂博物館に寄贈すると明らかにした。なお、パブリック・エナミーがデビューした80年代後半は純金の太いチェーンを首から下げるのがヒップホップ系の若者のトレンドになっていて、フレイヴの時計ネックレスとはそうした物欲を茶化したものだった。

その一方で、チャックDは「俺たちは今夜ここで認められるべきヒップホップ・コミュニティーを代表して来ているんだ」と自身のスピーチで述べた。さらにロックンロールの名誉の殿堂にヒップホップはふさわしくないという声が上がったことも踏まえて、チャックは「俺たち全員があのブルースってやつから発祥してるんだってことは忘れない方がいいよ」と述べた。その後、PEは"ブリング・ザ・ノイズ"と"ファイト・ザ・パワー"のパフォーマンスを披露した。

式典の幕開けを飾ったのはトム・ペティ、ジャクソン・ブラウン、ジョン・フォガティによるパフォーマンスで、3人は今年の殿堂入りを果たしたランディ・ニューマンの"アイ・ラヴ・LA"を披露した。プレゼンターはザ・イーグルスのドン・ヘンリーで、ドンはランディの殿堂入りが「これほど遅れたのは恥ずかしいばかりだ」と表明してから、ふたりでパフォーマンスを披露し、受賞スピーチでランディは「正直言って、俺の場合、死なないと(殿堂入りは)無理かなとは思ってたよ」と述べてみせた。

ハートのプレゼンターを務めたのはサウンドガーデンのクリス・コーネルで、アンとナンシー・ウィルソンを「前に打って出てきてはぶちかましてくるダブル・ジャンヌ・ダルク」と形容し、スピーチでナンシーは「わたしたちが育った時代には女はロックなんかやらないもんだったから」と語り、"クレイジー・オン・ユー"、"ドリームボート・アニー"のパフォーマンスを披露し、"バラクーダ"ではクリスも参加した。

故人となって殿堂入りしたアルバート・キングに対してはジョン・メイヤーとゲイリー・クラーク・ジュニアによるトリビュート・パフォーマンスが行われ、ドナ・サマーに対してはデスティニーズ・チャイルドのケリー・ローランドがプレゼンターを務め、ジェニファー・ハドソンがトリビュート・メドレーを披露した。

キャロル・キング、サム・クック、ママス・アンド・パパスらのプロデューサーとして知られるルー・アドラー、そしてマイケル・ジャクソンのプロデューサーとして知られるクインシー・ジョーンズはそれぞれパフォーマーではない人物に贈られるアーメット・アーティガン賞に輝いた。プレゼンターはそれぞれにコメディアン・デュオのチーチ・アンド・チョンとテレビ司会者のオプラ・ウィンフリーが務めた。パフォーマンスではルー・アドラーに敬意を表して、キャロル・キングが"ソー・ファー・アウェイ"、クインシーに対してはアッシャーがマイケル・ジャクソンの"ロック・ウィズ・ユー"のパフォーマンスを披露した。なお式典がロサンジェルスで行われたのは20年ぶりのことだった。
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