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 宮本が「いぇーい! ようこそ!! 見えますかぁ?」と大きな第一声を投げる。巨大な空間を隙間なく埋めたオーディエンスに自分達のロックをきっちり伝えたい、その静かな闘志がびしびし感じられる。
 ライヴは“化ケモノ青年”でスタート。どっしりタイトな音でそこに潜む熱い衝動まで伝える演奏。宮本が一言一言、噛み砕くように言葉を発する。彼にはよく「孤高」という形容詞が付く。確かにその絶対的にオリジナルな才能と己の道を貫く表現者魂は孤高だ。でもそこに「閉じている」という意味はない。むしろ逆だ。宮本は一人でも多くの人間に自分の音楽を伝えようという意識の高い表現者だ。彼は今日もこの巨大なステージ上から我々に向けて、己の音楽を、たぎる想いを、そして人生を、全身全霊を賭けて投げつけてくる。
 相変わらず圧倒的な衝撃と暴力性で“デーデ”が響き渡り、ステージは加速度的に熱を上げていく。そこに轟く「伊達や酔狂じゃねえ これは闘いの歌だ」という叫び声。“パワー・イン・ザ・ワールド”だ。動物として圧倒的に強い宮本の闘争本能と生への貪欲なエネルギーが爆発する「歌」。その雄叫びに、闘志が湧き上がる。そう、彼からはいつも生きる力をもらう。とにかくがむしゃらにやってみるんだという気にさせられるのだ。
 ラストは退屈な世界を嘲笑う最強の宮本節が炸裂する“この世は最高!”、そして“花男”。宮本は「男」印の椅子に上がって熱唱し、そして去って行った。オーディエンスは皆そのエネルギーに圧倒されながらも、確かに2005年に向けて大きなパワーを受け取っていたように見えた。 (有泉智子)

1 化ケモノ青年
2 男は行く
3 デーデ
4 平成理想主義
5 生きている証
6 友達がいるのさ
7 達者であれよ
8 パワー・イン・ザ・ワールド
9 この世は最高!
10 花男