一番のハイライトである最優秀作品賞発表で、まさかの受賞作品名を間違うという大失態が起こってしまった今年のアカデミー賞。
一体誰が悪かったのか、どうしてこんなことが起こったのか、戦犯探しもやっと一段落した(アカデミー会員の票集計を請け負っていた大手会計事務所のスタッフが、舞台袖で間違った封筒を手渡した)。結局のところ、とても単純な人為的ミスだったので、まあ、何だかなあ……という苦い後味だけが残った感じ。
そんなわけで作品賞を獲った『ムーンライト』にも、最優秀監督賞を獲った『ラ・ラ・ランド』にも、どっちにもミソがついた一夜になってしまったわけだけど、どっちも本当に素晴らしい映画なのですよ、ということは強調しておきたい。
14部門で史上最多ノミネートを得ていた『ラ・ラ・ランド』が、結果的に総ナメには至らなかったのは、『ムーンライト』の映画としての斬新さが突出していたからだ。『ラ・ラ・ランド』もミュージカル映画の歴史を塗り替えた傑作だけど、未知の映画文法を編み出すような『ムーンライト』の切なさと美しさには、どうしても勝てない部分があったということだと思う。
で、発売中のCUT3月号では現在公開中の『ラ・ラ・ランド』だけでなく、日本公開のタイミングに先駆けて『ムーンライト』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『メッセージ』『ジャッキー/最後の使命』といった受賞&ノミネート作品のインタビューをずらっと掲載してます。結果が出た後で読むとまた、じわじわ理解が深まるポイントが満載ですよ。(松村)
今年のアカデミー賞はトホホだけど、要は『ラ・ラ・ランド』も『ムーンライト』も傑作です
2017.03.01 15:28