今日、瀬々敬久監督作品『アントキノイノチ』がモントリオール映画祭でイノベーションアワードを受賞したというニュースが届いた。
審査員特別グランプリに輝いた原田眞人監督作品『わが母の記』と併せて、日本映画がモントリオールで賞を受けるのは、これでなんと4年連続ということになるらしい。
『わが母の記』は未見なんだが、『アントキノイノチ』は先日観て唸らされただけに納得。
どのあたりが「イノベーション」なのか審査員にじっくり聞いてみたい気もするが、質の高い日本映画が海外で評価されるのはやはり誇らしい。
実際、『アントキノイノチ』は本当に素晴らしい映画。
遺品整理人という仕事を通して、生と死の有り様を見つめ、自らの傷に向き合っていく主人公……なんて書くと、いかにもなヒューマンドラマかと思われるだろうが、死生観を描くその筆致にはいっさいぬるいところがない。
その意味では、瀬々監督の前作『ヘヴンズ ストーリー』も凄まじい説得力があったけれど、『アントキノイノチ』も同様。
むしろ、「遺品整理」という具体的なモチーフがあることによって、よりリアルな感情移入を余儀なくされてしまうので、鑑賞後の余韻というか、問いかけの重みのようなものが、極めてパーソナルなかたちで残る。
インディペンデントな映画だろうが、メジャー作品だろうが、同じ強度と同じスタンスと同じ容赦なさでもって生と死を見つめ、同じ価値を見出していくような、瀬々監督のやり方は本当に誠実だと思う。
『アントキノイノチ』の公開は11月19日。ちょっと先ですがぜひ。
ご家族で観るといいじゃないでしょうか。とぼくは思います。(小柳)
(C)2011「アントキノイノチ」製作委員会