やっと聴けた“翳りゆく部屋”by荒井由実

やっと聴けた“翳りゆく部屋”by荒井由実

去年計3回インタビューさせてもらった園子温監督(最新は現在発売中のCUT2月号掲載)。
そのため、2011年は彼の作品を観まくった1年だった。
そのうち1本、それまでチェックしていなかった『気球クラブ、その後に』だが、ある大学のサークルに集まった生徒たちのドラマが描かれているこの映画でキーとなっているのが、部員たちが飲み会などのたびにみんなで合唱する荒井由実の“翳りゆく部屋”(劇中では畠山美由紀によるカバーが使用されている)。
本当に音楽を使うのが巧みな園監督なだけに、観てからもずっとその幽玄な旋律が頭から離れなくて、ずっと音源を買おう買おうと思ってたんだけど、ある日、ふと立ち止まった中古レコード屋で面出しされているこの曲の7インチを発見して、即効に購入した。
実は、この“ある日”とは、『恋の罪』の園監督インタビューを行った日だったのだ(CUT11月号掲載)。
取材現場は下北沢のタウンホールで、ふと立ち止まったレコード屋とは、その向かいにあるDisk Unionとのこと。
まあ、そういうことで、非常に運命的なものを感じたわけなんだけど、問題が。
自宅ではアナログが聴けないのだ。
いや、アナログ盤は2000枚以上所有しているんだけど、3年前に今の家に引っ越してから、いまだにオーディオを整備しておらず、新しいアンプを買おう買おうと思い、あれよあれよ、ここまで来たという感じなのである(その間に子供がもうひとり生まれたりしたんで、それどころじゃなかったんです)。
だが、この正月休み、ようやく自宅でアナログが聴けるようになったのだ。
それは別に購入を検討していた高品質なアンプを買ったからではない。
amazonでフォノ/ラインのアンプがなんと2000円で発売されているのを発見したから。
もう見た目からしてめちゃくちゃチープなデバイスなんだけど、一応、これで万全。
ようやく家で“翳りゆく部屋”を大音量で聴けました。
言うまでもなく、めちゃくちゃ心に沁みる。
音楽のダウンロードが当たり前のこの時代、なにをしているんだ、という感じだけど、まあ、これはこれでちょっとしたロマンみたいなのがあるわけですよ。

で、本当にどうでもいい話をチンタラ書かせてもらったけど、読者にとって有益な情報がこの中にあるとしたら、下記です。

1:現在発売中のCUT最新号で園子温監督のロング・インタビューが読めること。
2:園子温の『気球クラブ、その後に』は素晴らしい映画で、“翳りゆく部屋”が残す不思議な読後感だけのためでも観るべき1本だということ。
3:今更だが、荒井由実の“翳りゆく部屋”はとてつもない名曲であること。
4:amazonで激安アンプを2000円で買えること。

以上、貴重なお時間をいただきまして、まことにありがとうございました。(内田亮)
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