斉藤和義 その3

斉藤和義  その3

斉藤和義、さらに続き。

世間的には「この人といえばこの曲」みたいな代表曲扱いではないけど、自分個人はやたら好きな曲、っていうのありません?
例えば私の場合、奥田民生で言うと『29』『30』の次に出た1997年のミニ・アルバム『FAILBOX』のラスト・チューン“それはなにかとたずねたら”がそうだったり、RADWIMPSの今んとこの最新シングル“オーダーメイド”のカップリングの“グーの音”がそうだったりします。

という意味合いにおいて、斉藤和義といえば普通“君の顔が好きだ”だったり“歩いて帰ろう”だったり、“歌うたいのバラッド”だったり、最近なら“ウェディング・ソング”だったり最新シングルの“やぁ 無情”だったりするんだろうけど、それらもすばらしいけど、私にとっては、この1997年の5thアルバム『ジレンマ』の4曲目であるタイトル・チューン、“ジレンマ”です。

普通、歌物の楽曲というのは、Aメロ→Bメロ→サビか、Aメロ→サビかのどっちかのコード進行&メロディ展開になっているが、この曲、コード進行&メロディが1種類しかない。つまり、頭っから最後までずっと一緒。
で、歌詞は、ただの愚痴。
「誰かと自分をくらべっこして 結局最後は虚しくなった」で始まって、「イメージばっかに気を取られて 気がつきゃただの八方美人」とか「なんだかカッコ悪いな とってもカッコ悪いな」とか、さんざんぶつぶつ言った挙句、最後には「誰かと自分をくらべっこして 何だか もう疲れた」って、投げっぱなしで終わってしまう、どうしようもない曲。
で、掛け値なしに、日本のロック史に残る名曲。だと、僕は思っている。

アコースティック・ギターでミドル・テンポの曲なんだけど、2005年に出たベスト盤『黒盤』に入っているライブ・テイクでは、速くて激しくて荒々しいバージョンに生まれ変わっていて、そっちもすごくいい。
というか、下手するとそっちのほうがさらにいい。

時々、ものすごく、たまらなく聴きたくなる曲がいくつかあって、例えばそれは前述の奥田民生の“それはなにかとたずねたら”だったり、Theピーズの“映画(ゴム焼き)”だったり、真心ブラザーズの“頭の中”だったりするんだけど、そういう、自分にとって、すごく大事な曲たちの中の1曲です。

せっちゃんだけど。

なお、この『ジレンマ』というアルバムは、他のミュージシャンやプロデューサーの手を一切借りず、すべてをひとりで作り上げた初のアルバムだった。
このあとこの人は、その方法で何枚もアルバムを作ることになる。というか、それが基本姿勢になる。
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