もう10年以上前になるが、初めてKICK THE CAN CREWを知った時、とても新鮮なものを、MCUに感じたのを覚えている。
全然ヒップホップ・ファッションじゃなかったからだ。
それを新鮮に感じたということは、当時、他のヒップホップの人たちは、いかにもそれっぽい格好だったということだ。
言うまでもないが、今はそんなことない。
いや、ただ単に、一部の人たちだけのものだったのが、一般にまで広がるとそうなるものである、というだけの話なんですが。
ヒップホップだけじゃない。僕が大学生の頃までは、明らかに「バンドをやる人はこういうファッション」というのが決まっていた。メタルはこう、パンクはこう、みたいな。
それが最もわかりやすく表れたのが、バンド・ブームの頃の「長袖Tシャツ、細いジーンズ、頭は茶髪や金髪でツンツン」の、あの格好だったといえます。
何が言いたいのかというと、今ってそういうのがあんまりないなあ、いや、なくはないけど普通になってるよな、そのへん、健全でいいなあ、という話です。
昔は明らかにヘンだったと思う。
当時のユニコーンの写真とかビデオ、今見ると大笑いだもん。民生はともかく、テッシーまで髪が立ってたりして。
って、他人事のように書いていますが、当時バンド小僧だった私も、何の疑問も持たずにそれに従っていました。
バイトを探す基準は、常に「この髪の毛でも雇ってくれるところ」だった。
ライブのたびに、なんであんなに一生懸命髪を立てていたのか、今になると全然わからない。
なんで立てないといけないと思い込んでたんだろう。
ただ、「ほんとはイヤだけど流行りに合わせている」のではなかった。
明らかに、「これがかっこいい」「いけてる」と思っていたから、そうしていたんだと思う。
相当恥ずかしい。
さっき、渋谷の街で、「ヒップホップ・ファッションの老人」というものを見かけて、なんだかすごく動揺して、そうだブログのネタにでもして気分を落ち着けようと思って書き始めたら、己の恥をさらして話が終わってしまいました。
写真は、昔はヒップホップ・ファッションだった人の、先月出た最新アルバム。