前回の続き。
忌野清志郎、幻の2ndソロ・アルバム
『Baby #1』についてです。
このアルバム、プロデュースは、本人と小原礼のふたり。
当時、小原氏はサディスティック・ミカ・バンドの
一度目の再結成プロジェクトをやっていた頃であり
(桐島かれんがボーカルだった時です)、
確かそのレコーディングもLAだったと思うので、
それと一緒にレコーディングしたのではないかと思います。
私の推測ですが。
レコーディング・クレジットを見ると、
ベース(小原氏)とアコギ(清志郎)以外は、
基本的に現地のミュージシャンたち。
プラス、ホーンやストリングスの上物などで、
日本のセッション・ミュージシャンたちも多数参加。
これはあとから日本でかぶせたんだろうな。
現ROVOの勝井祐二と芳垣安弘、バッファロー・
ドーターの大野由美子の名前もあります。
ここに収録された全10曲のうち、9曲は、これ以降の作品に収録したり、
人に提供したりして、世に出ています。
なので、それらのオリジナル・バージョン、ということですね。
“I Like You”“ヒロイン”は、翌年のRCのラスト・アルバム
『Baby A Go Go』に入ったので、とても耳なじみがある。
が、RCバージョンが超シンプルでデッドな音作り
だったのに比べると、こっちのバージョンは
ちょっと華やか。アコギとスライド・ギターが
いっぱい入ってて、西海岸っぽい。
あと、“ニュースを知りたい”や“メルトダウン”は、
忌野清志郎&2・3’sのアルバムに入っています。
前者はTBS「NEWS 23」のエンディングテーマに
なったので、憶えている方も多いと思う。
……あれ、“恩赦”って、資料には
「小林克也&ザ・ナンバーワン・バンドの
1993年リリースのアルバム『ます』に提供」って
書いてあるけど、確か2・3’sでもやってたよね。
何度かライブで聴いた覚えがある。
調べてみたら、シングル“プライベート”の
カップリングだった。ああ、そうだそうだ……
というような楽しみ方もできます。
それから、タイトル・チューンであり、
唯一の未発表曲(ライブではやっていたけど、
音源としてリリースはされていなかった)、
“Baby #1”。
これ、すっごくいい。ピアノソロのイントロで
始まるのが新鮮だし、リズムがシャッフルというのも
清志郎楽曲としては(ゼロじゃないけど)
珍しい気がするし、ストレートなラブソングで
ある歌詞がいいし(“世界中の人に自慢したいよ”
とかに近いトーンです)、スタンダード・ソング
みたいなメロディが美しいし。
超どまんなかなソウル/R&Bな曲調とアレンジであり、
メンフィスでレコーディングされた(幻じゃなくて正式な)
2ndソロ・アルバム『Memphis』の曲たちに
近いトーンかもしれません。
いやあ、これ聴けてよかった。と、感謝したくなります。
それから、ジャケットのこの写真。
すばらしい。正に清志郎。
清志郎って、時期によってヘアスタイルとか
ファッションの変動が激しくて、みんなが思う
「これぞ清志郎」ってルックスの時期って、
実は少ないんだけど、この写真はまさにどまんなかの
「これぞ清志郎」だ。
表情もアングルも照明のトーンとかも、もういちいち完璧。
あんまりいいので、レコード会社のスタッフに
「これ、どうしたんですか?」とききました。
だいたいこの頃に、おおくぼひさこさんが
撮影したものだそうです。
で、撮ったけど、どこにも使われていなかったそうです。
それで、このアルバムを出すにあたり、スタッフが
おおくぼさんに相談したところ、発掘してくれたそうです。
聴いていると、なんか、いつまでもいつまでも
書き続けてしまいそうなので、このへんでやめます。
しかし、こんなものが出てくるとはなあ。
洋楽であるでしょ、「ビートルズの未発表デモ
が発掘!」とか、「倉庫の奥にジミヘンの
お蔵入りマルチが!」とか。
そういう感じですね。
そのへんも、清志郎ならではのスケールだと思います。
3月5日リリースです。